気持ちよく振ってグリーンをとらえ、あわよくばピン狙いたい残り100ヤード。しかし、ピンまで打ち上げているというだけで、引っかけやダフリのミスのみならず、距離が合わなくなる……。いったいなぜ? この疑問を解決すべく、必ずグリーンオンできるコツを教えてもらった!

距離計算と番手選び:打ち上げ10ヤード以内なら上り距離を無視してOK!

10ヤード以上から上り分を加味する

GD 残り100ヤードの打ち上げのショットにについてお聞きしたいんですけど。
小斉平 実はボク、苦手でグリーンを外すことあるんですよ。

GD プロでもグリーンに乗らないことがあるんですか?
小斉平 ありますよ(笑)。その原因は、打ち方や構え方もですが、まずは打ち上げの度合いに応じて、距離の計算や番手選びでミスをしていることがあると思います。

――ここでプロと距離測定などを行い、その結果……。
GD 10ヤード打ち上げは、フラットな状況とほぼ変わらないですが、打ち上げが20、30ヤードになると、約10ヤード近く落ちましたね。

小斉平 以前から残り100ヤードで打ち上げ10ヤードだとオーバーすることがあったんですが、これでよくわかりました。実際のピンまでの距離は、0.5ヤードしか変わらないんですしね。あと、打ち上げぶんをプラスするのは、10ヤード以上打ち上げの場合。打ち出し角も高くなりすぎるので、番手も10ヤード打ち上げで1~2番手上げる感じですね。

画像: 上りだからといって、いつも大きめに打つ必要はない

上りだからといって、いつも大きめに打つ必要はない

計測してわかった!打ち上げ10ヤード以内なら、ピンまでの実測はたった0.5ヤードしか変わらない

打ち上げ10ヤードの場合:フラットな状況と数値も同じで、足元も違和感なし

画像1: 計測してわかった!打ち上げ10ヤード以内なら、ピンまでの実測はたった0.5ヤードしか変わらない

打ち上げ10ヤードの場合、斜度が5度強のため、ギリギリ傾斜なりに振れる。そのため、フラットな状況と飛距離も弾道もほぼ同じで、ショートすることはない。打ち上げを考える必要なし。

キャリー/107ヤード 最高到達点/36ヤード 打ち出し角/36度

打ち上げ20ヤードの場合:やや足元が不安定なので飛距離が出せない

画像2: 計測してわかった!打ち上げ10ヤード以内なら、ピンまでの実測はたった0.5ヤードしか変わらない

打ち出し角は高くなるが、傾斜に対して下半身を踏ん張って振らなければならないので、体を使えなくなる。そのため、10ヤード打ち上げに比べて飛距離が出なくなる。

キャリー/90ヤード 最高到達点/33ヤード 打ち出し角/44度

打ち上げ30ヤードの場合:フラつかないよう振るだけで精いっぱいの状況

斜度が15度以上になると、振るのもかなり困難な状況。ヘッドスピードが落ち、最高到達地点も飛距離も落ちる。通常よりも20ヤード程度飛距離が落ちる結果に。番手選びが重要。

キャリー/84ヤード 最高到達点/29ヤード 打ち出し角/49度

画像: 数値はすべて52度のウェッジを使用し、無理なく振れる範囲での力加減でスウィングしたときのもの。算出した数値は四捨五入したもの

数値はすべて52度のウェッジを使用し、無理なく振れる範囲での力加減でスウィングしたときのもの。算出した数値は四捨五入したもの

インパクトイメージ:打ち上げ10ヤード以上はサラッと打つのが正解

傾斜に逆らって打つと、ミスにつながる

GD  10 ヤード未満の打ち上げの場合は、通常通りのスウィングでいいということでしたが、それ以上の打ち上げの場合、注意する点はなんですか?

小斉平  まずは傾斜に逆らわず、ヘッドをサラッと振り抜くことが大事です。斜面に逆らって振ると、ヘッドが急激に返って引っかけたり、入射角が鋭角になりすぎるため、ザックリのミスが出やすくなります。入射角が鋭角になりすぎると、仮にダフらなかったとしても、インパクトが強くなるため、縦の距離の計算ができなくなります。

GD  傾斜の度合いに応じて振り幅などは変えますか?
小斉平  20 ヤード打ち上げは8 割、30 ヤード打ち上げは7割の力感と振り幅でスウィングするといいですね。このとき、フィニッシュで体がフラつかない程度で振ることを忘れないでください。

インパクトイメージの作り方① 足場の傾斜に応じて、振り幅を変える

[打ち上げ10ヤードの斜度]10割弱のほぼフルスウィング

画像: フラットな状況とほぼ変わらない感覚で振れるので、バランスが崩れない程度に通常と同じように振ればOK

フラットな状況とほぼ変わらない感覚で振れるので、バランスが崩れない程度に通常と同じように振ればOK

[打ち上げ20ヤードの斜度]バランス重視の8割スウィング

画像: 10ヤード打ち上げに比べ、斜度がきつくなるので、左足6割体重を乗せて8割のスウィングに収める

10ヤード打ち上げに比べ、斜度がきつくなるので、左足6割体重を乗せて8割のスウィングに収める

[打ち上げ30ヤードの斜度]足場がふらつかない7割スウィング

画像: スタンスを取るのも一苦労のライ。左足7割体重のを乗せたまま、フィニッシュを取る意識を持たず傾斜なりにヘッドを動かすことだけに集中

スタンスを取るのも一苦労のライ。左足7割体重のを乗せたまま、フィニッシュを取る意識を持たず傾斜なりにヘッドを動かすことだけに集中

インパクトイメージの作り方② 体の中心を軸に、コマのように体を回転する

画像: 打ち込まないようにするために、体重移動は意識しない。コマのようにみぞおちを中心にクルッと回転するイメージを持つ

打ち込まないようにするために、体重移動は意識しない。コマのようにみぞおちを中心にクルッと回転するイメージを持つ

インパクトイメージの作り方③ 重心を下げるために、指一本ぶん短く握る

画像: 足元が不安定なので、通常よりも振りにくい。ミスヒットを防ぐために、少しだけ短く握る。すると、アドレスで重心が下がりミート率が上がる

足元が不安定なので、通常よりも振りにくい。ミスヒットを防ぐために、少しだけ短く握る。すると、アドレスで重心が下がりミート率が上がる

ダフリ&引っかけを防止:フォローは右手で下手投げ

左足上がりならヘッドは自然と下から上に動く

GD  10 ヤード以上の打ち上げの場合は、傾斜なりにヘッドを動かして打つということですが、難しくないですか?

小斉平  右手のひらをフェース面だと考えて、下手投げでボー ルを投げる、ソフトボールのピッチャーの動きをイメージしてください。真っすぐボールを投げるには、右手のひらを返さずに目標方向へ動かしますよね。このイメージでヘッドを動かすことが、傾斜なりに振るコツです。

GD  下手投げですか?
小斉平  あとは、腰をしっかり回転させること。腰の回転を止めると、フェースが急激に返りやすくなるので、引っかけのミスが出ます。

GD  腰の回転させることは重要なポイントですね。
小斉平  そうです。体重移動せず、その場で腰を回しますのです。体重移動すると、入射角が鋭角になりすぎて、ザックリや飛びすぎなどのミスが起きやすくなりますからね。

GD ナイスショットのコツは?
小斉平  左足上がりは、傾斜なりに振ろうとすると、インサイドアウト軌道になりやすいので、自然と下から上へ動きます。ボールを上から叩くイメージを持たなければ、傾斜なりに振れて、ミスがなくなり、イメージどおりの飛距離が出せます。

ダフリ&引っかけの防止のコツ① ボールを高く、まっすぐ投げるイメージ

画像: まっすぐボールを飛ばすイメージ。横にボールが飛ぶのは引っかけ

まっすぐボールを飛ばすイメージ。横にボールが飛ぶのは引っかけ

ダフリ&引っかけの防止のコツ② 左腰をフィニッシュまで回し続ける

画像: 腰を思いっきり回すのがコツ

腰を思いっきり回すのがコツ

ダフリ&引っかけの防止のコツ③ ダウンで内側からクラブを自然と下ろす

画像: ダフリ&引っかけの防止のコツ③ ダウンで内側からクラブを自然と下ろす

ベタピンのコツは”旗包み”のイメージが大切

旗狙いでショートするミスが激減する

GD  最後に狙い方についておしえてください。
小斉平  10 ヤード以上打ち上げの場合、大きめのクラブを持っても、ショートすることがあります。多分、インパクトで無意識のうちに加減してゆるんでしまうからだと思います。こんなとき、ピンまで打つ方法として旗にボールを当てる気持ちを持って打ってみてください。

GD  旗包みですか?
小斉平  あとは、打ち上げの度合いによって斜度もきつくなりフックの度合いも強くなるので、ピン右サイド狙いをすることを忘れないでくださいね。

画像: 小斉平優和プロ。こさいひらゆうわ。1998年生まれ、大阪府出身。小学生時代から天才ゴルファーといわれ、高校3年には日本ジュニア優勝。高校卒業後プロ転向しプロ1年目の昨年は、チャレンジツアーを中心に活躍。今年はPGAチャイナツアーを主戦場に孤軍奮闘中

小斉平優和プロ。こさいひらゆうわ。1998年生まれ、大阪府出身。小学生時代から天才ゴルファーといわれ、高校3年には日本ジュニア優勝。高校卒業後プロ転向しプロ1年目の昨年は、チャレンジツアーを中心に活躍。今年はPGAチャイナツアーを主戦場に孤軍奮闘中

PHOTO/Tadashi Anezaki
THANKS/宝塚クラシックゴルフ倶楽部

週刊GD2018年6月12日号より

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