「中央亭」の行列は、今やちょっとした沼津名物
待ちに待った入店の順番。暖簾をくぐり店内に入ると数卓ある4人掛けのテーブルはすべて相席。地元客と観光客が入り混じり、みんな黙々と餃子を食べている。奥に見える厨房には20人ほどの客数に見合わない10人ほどのスタッフが忙しく動きまわっている。店内で供するほか、大量の持ち帰り予約分もここで作っているから、それもそのはず。
厨房を覗かせていただくと、皮に餡を入れる班と、焼く班にわかれシステマチックに働いていた。「いっぱい餡が入る」という理由で中央亭の皮は四角形をしている。自家製の四角い皮にたっふりの餡を置き、三角形になるよう握り込んでいく。中央亭では「餃子を包む」ではなく、「餃子を握る」というようだ。
平底の丸い鉄鍋にぎっちり餃子を並べ、こんがりと焼いた次の瞬間! たっぷりの水を鍋にそそぎ蓋をした。この「焼いて茹でる」工程が中央亭の真髄である。「初代が考えた作り方は60年以上変わっていませんね」と教えてくれた3代目の古橋正美さん。「茹で」が独特な食感を生み、地元客だけでなく、今では全国の餃子好きが注目する「沼津餃子」の文化を作り上げた。
鶏の卵ほどある大きさの餃子は6個、8個、10個の3つから注文することができる。今回は「大人が食べる普通の量」という8個を頼んでみた。箸で持ち上げるとずっしりと重く、プリプリした感触の皮を箸で割ると中からジュワーと餡からでたスープが溢れだしてきた。口にパクリ。豚の粗挽き肉と同じくらい入れられたキャベツの食感が程よく、見た目通りのジューシーさ。水餃子のような……、そうでないような……不思議な旨さがある。
中央亭
静岡県沼津市大手町4-4-7
TEL.055-962-4420
営業/11時~17時(売り切れ次第閉店)
ほぼ毎日13時30分には完売
定休/月曜、第3火曜