一本足は当たり前。キレイなフィ ニッシュのほうが珍しいという チェ・ホソン。元漁業のフィッシャーマン ズスウィングと呼ばれるス ウィングを、プロコーチの内藤雄士が分析する。

【チェ・ホソン】
Ho-Sung CHOI。水産高校を卒業後、水産加工工場に勤める。その後に勤務したゴルフ場で、25 歳のときにゴルフを始め、翌年セミプロテスト合格。13 年から日本ツアーに参戦、5年連続でシード権、2018年カシオワールドで初優勝

今年話題になった超変則いいの? 悪いの?

始動でやや手を使い、クラブを外に上げる動きが見られます。このようにバックスウィングが手上げになると、トップで胸椎の回旋量が足りなくなりやすいのですが、ホソン選手の場合は、しっかりと胸椎が回旋し、右股関節に乗れているので問題はありません。

バックスウィングを外に上げることで、切り返しでループを描き、クラブをインサイドから下ろしやすくしているのだと思われます。

注目すべきは、ダウンスウィングで左腰よりも右腰が高いところ。そして、ダウンの軌道よりも、フォローの軌道が低く左へ抜けているところです。これは、ドライバーもダウンブローで打っている証拠です。

これらの動きを見ただけでも、ホソンが低い球を得意とし、風のなかのプレーに強いであろうことが容易に想像できます。狭くてアップダウンが激しく、風が強い韓国のコースで育ったことが彼のスウィングに大きく影響しているのではないでしょうか。

ドライバーも強いダウンブロー

キレイがいいとは限らない、アイアン型スウィング

現代のクラブで飛距離を稼ぐためには、フェースをシャットに使いつつ、ややアッパーブローにボールをとらえることがポイントになります。

このアッパー軌道を実現するため、ジャスティン・トーマス、パトリック・リード、レクシー・トンプソンなどは、ダウンで右足を強く踏み、右股関節を使ってスウィングしていくのですが、その結果、インパクトからフォローにかけて左足が外れることがあるわけです。

そういう意味で言うと、ホソンは彼らとは対照的な動きをしていることがわかります。ドライバーでも完全に左股関節に乗り込んでインパクトし、強いダウンブローで打っていくのです。打った後に右足が外れることが多いのもそのためで、完全なアイアン型スウィングと言えるでしょう。

この動きでも大きな飛距離を実現できるのは、ホソンの身体能力が高いことの証明と言えるかもしれません。打った後にフィニッシュが崩れることについてはさまざまな意見があると思いますが、私は問題がないと考えています。

もちろんレッスンの現場では、バランスのいいスウィングを目指してもらいたいのでキレイなフィニッシュを教えます。とはいえ、コースのなかでキレイなフィニッシュを取ろうとして球を曲げていたのでは本末転倒というものです。

絶対、そこへは行くなという意思が見える(内藤)

左が嫌なら左には行かせない、右が嫌ならそれを絶対に避けるスウィングをしたほうが、ゴルフは簡単になります。その点、ホソンのスウィングには、毎回「絶対にそこへ行くな!」という意思が見えます。それはとても大切なことだと思うのです。

プロのなかには、すべてのショットをターゲットに振り抜き、ストレートボールで狙っていく選手もいないではありません。しかし、オーバーリアクションでも、すべてのショットに意思が伝わるホソ
ンのスウィングには、一定の真実があると考えるのです。

【解説】内藤雄士
ないとうゆうじ。プロコーチ。日大ゴルフ部時代、米国にゴルフ留学し、最新の理論を学ぶ。その後、丸山茂樹、平塚哲二、矢野東らのコーチを務める。ラーニングゴルフクラブ代表。

週刊GD12月11日号より

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