2019年から一切のペナルティなしで「ピンを挿してのパッティング」が可能になる。このルール改正を国内の男女ツアープロはどう捉えているのか直撃してみた。

2019年からゴルフ規則が大幅に変更される。そのひとつとして、プレー面で大きく影響しそうそうなのが、ピンに関するルールの変更だ。これまではピンが挿してある状態でパットし、それが旗竿に当たれば2打罰を科せられたが、2019年からは無罰へと変更。

画像: 男子プロ、女子プロ、シニアプロに聞いてみた

男子プロ、女子プロ、シニアプロに聞いてみた

プレー自体のシンプル化とプレー時間の短縮を意識してのルール変更だが、実際に旗竿を挿したまま打ったほうがいいのか、抜いてから打ったほうがいいのか、ツアープロはどう思っているのだろうか。男子プロ8人、女子プロ12人、シニアプロ7人の合計27人に話を聞いた。

抜く派(17人)

画像1: 抜く派(17人)

秋吉翔太 「挿さったピンにパットするイメージがわかない。これまでずっと抜いてやってきたので、挿したままだと違和感を感じると思います」

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星野陸也 「カップに入ったのに弾かれるのは嫌です。すごく損した気分になってしまうので。これまで通り普通に抜くと思います」

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市原弘大 「ピンに弾かれること自体が嫌です。この間も一緒に回った人がグリーンの外からパターで打って、ピンに弾かれたんです。だからではないですが、ボクは絶対に抜くと思います」

重永亜斗夢 「ピンの弾き具合は見ますが、基本抜きます。遠めは挿したほうがいいのかなと思いますけど、これまで通りじゃないですかね。練習日に弾き具合だけは確認しようと思っています」

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小祝さくら 「練習の時でも必ず抜いて打ってきました。感覚的に抜いて打つのが普通になっているので、そこは変えないと思います」

画像5: 抜く派(17人)

松田鈴英 「ピンとの"相性"が悪いんです(苦笑)。挿したまま打つと弾かれそうな気がします。カップに行っているのに弾かれたら精神的にダメージが大きいです」

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原英莉花 「今までもなかったので"ない"ままで。カップが遠いときは「挿さっていたら」って思ったことはありましたけど、今まで通りやりますね。何かを変えることはあまりしたくないです」

【その他の挿さない派】
鈴木亨、室田淳、羽川豊、大山雄三、ファン・アルム、葭葉ルミ、佐伯三貴、西山ゆかり、上原美希、大山志保

挿したまま派(10人)

画像1: 挿したまま派(10人)

時松隆光 「ピンをオーバー後の"下り"は挿します。下りはなかなか強く打てませんが、ピンがあれば強めに打ってもボールの勢いは止まるので」

堀川未来夢 「ロングパットは挿して打ちたいです。視覚的にピンがあることで距離感が出しやすいと思う。今でも距離が遠いときにキャディさんにピンを持ってもらうと距離感の判断がしやすいですから」

画像2: 挿したまま派(10人)

木下裕太 「パットの引き出しが増えるかもしれない。下り傾斜でピンに当てて止めるみたいなパッティングが状況に応じてできるようになればいいかなと思います」

画像3: 挿したまま派(10人)

額賀辰徳 「人にピンを持ってもらうよりいいです。ロングパットでキャディさんがピンを持ってくれていましたが、ボクは人が立っていると気になってしまうので」

画像4: 挿したまま派(10人)

イ・ミニョン 「ピンが挿さっていれば距離感が出しやすい。カップまで遠いときは挿したままのほうが打ちやすいと思います。カップに向けて目標があるほうが距離が出せますよね」

画像5: 挿したまま派(10人)

ジョン・ジェウン 「じつは練習日では今までもやっていました。遠い距離からピンを挿して打てるのはプラスです。ルールになっても変な感覚にはならないと思います」

画像6: 挿したまま派(10人)

林菜乃子 「ルールになるということは、徐々に当たり前になっていく気がするので、挿したまま打つ機会は私も増えるかなと思います」

【その他の挿す派】
川岸良兼、鷹巣南雄、奥田靖己

2018年シーズン終了時点では「挿さない」が多数。ロングパット時の距離感の合わせやすさや、下りのパット時で強く打てるメリットは認めつつ、これまでの感覚を重視したいといったところか。

経験豊富なシニアプロの意見は?

ピンを「挿す」「抜く」の選択で判断材料となるのはグリーンの傾斜やピンまでの距離だけではない。ピンの材質に目を向けているのがレギュラーツアー6勝の奥田靖己プロだ。

「来年からは練習ラウンドで必ずピンの材質を確認するだろうし、パッティングでもわざとピンに当てて弾き具合を確認することになる」と話す。

「基本的にはピンが太いときは弾かれる場合が多いのだけれど、細いピンであればむしろ挿したほうがいい場面もありますね。細ければガシャーンって衝撃を吸収して入る場合もありますから。ピンが太いか細いか、硬いか軟らかいか、その確認は本当に大事になると思います」(奥田)

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「科学者」の異名を持つB・デシャンボーは「反発係数にもよる。いろいろ実験したい」と、いち早くピンの材質に注目

国内男子ツアーで使われるピンは2種類
ブリヂストンとダンロップの2社のものを採用。素材の指定はなく、新ルール施工後も現行どおりを予定。運営会社と開催コースが風や日照条件などを加味して決める(JGTOツアーディレクター・小山氏)

ピンを挿すことの利点に"強気に打てる"とメンタル面でのメリットを語ったのがレギュラーツアー6勝の川岸良兼プロだ。

「1メートル程度の距離でこれまでなら"入れなきゃ"と重圧がかかり、打ち切れず外したパットが、ピンに当ててカップインさせるなど思い切りが出しやすくなりますね」(川岸)

挿すべきか、抜くべきか、プロを悩ませるピン問題。2019年のトーナメントでは、プロのグリーン上での振る舞いにも注目だ。

週刊GD2018年12月18日号より

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