かつて日本人のメジャー制覇にいちばん近い存在と言われた伊澤利光。しかし、2000年代に入ってから思わぬ「敵」が現れた。それが460㏄の大型ヘッドドライバー時代への突入だったいう。そのとき、伊澤は?

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

伊澤利光プロ
1968年生まれ。プロも憧れる美しいスウィングの持ち主。2001年、03と2度賞金王に輝き、2001年マスターズで4位入賞。大崎と碑文谷で「伊澤ゴルフアカデミー東京」を開校。
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昔のプロは遠くから見ても誰だかわかったよね

GD 過去2回(2001、2003年)の賞金王で、多くのツアープロがベストスウィンガーに挙げていた伊澤プロ。早速ですが、伊澤プロは現在、ツアーの最前線からは一歩退いた形でゴルフと関わっているように見えますが、ツアーに完全復帰する意識はいかがでしょう(質問時は2015年)。

伊澤 復帰の気持ちはゼロではないですが…。そのためにはまず、ドライバーを何とかしないとダメでしょうね(笑) やっぱり私はスチールシャフトにパーシモンヘッドという組み合わせでゴルフを覚えた世代ですからね。メタル時代までは何とか対応できましたけど、チタン時代になって、ヘッドの体積が300ccを超えるあたりから、ちょっと道具とスウィングが合わなくなっちゃって…。

GD 確かに、ツアーのデータを見ると、2度目の賞金王になった2003年のドライバー平均飛距離が295ヤードを超えているのに、その後ヘッド体積が460cc時代に向かう過程で、平均飛距離が伸びていかなかったようですが…。

伊澤 飛距離はともかく、フェアウェイに飛ばなくなったのが痛かったですね。ヘッドが400ccとか460ccとかになると、重心距離がものすごく長くなって、振るタイミングとか、インパクトのフィーリングが、それまでとは全然変わってしまうんですね。私はどちらかというと、インパクトに向かって、プワッとヘッドを急加速させるタイプのスウィングなんで、大きいヘッドとは特に相性が悪いんです。タイガー・ウッズも、大きいヘッドのドライバーに上手く移行できずに、もう長いこと苦しんでいますよね。タイプとしては、私もあれと同じなんです。

GD タイガーは、ドライバーのミスがほぼ右へのプッシュアウトですね。460ccで、ヘッドターンが「鈍感」になったぶん、タイガーの鋭いヘッド加速についてこれない。

伊澤 そうですね。その点でいうと、今のジュニアの世代とかは、最初から460ccでゴルフを覚えられるから、すごくいいですよね。

GD クラブの性能を、100%生かしてプレーできるということになります。

伊澤 ええ、ただ、それでスウィングの個性がなくなってきているというのは、少し面白くないかなと思います。今、若手のプロだと、遠くからスウィングを見ただけだと、誰だかわからないからです。私らの世代は、個性的なスウィングのプロがたくさんいましたからね。アドレスとか、テークバックを見れば大体、誰だかわかるくらいに(笑)。

GD 今みたいに、スウィングが画一化してくると、例えば体の大きさとか、いわゆる「地力」の差が出やすくなる気がします。

伊澤 確かに、飛距離というのは、どちらかというと生まれ持った才能だと思います。飛ぶ人というのは最初から飛ぶ。私も飛距離ではそんなに苦労しなかった方ですが、大きいヘッドはとにかく球筋が思い通りにならなかった。それなら、「思い切り振るな」と思うかもしれませんよね。でも、軽く振ったって、曲がる人は曲がるでしょ?(笑)

【通勤GD・今日のポイント】460ccを味方につけるアドレスのイメージ

画像: ILLUST/Koichi Tanaka

ILLUST/Koichi Tanaka

イザワの法則/グリップは支えるだけで絶対力を入れない

画像: 「アマチュアはとにかくグリップを強く握りすぎ」と伊澤プロ。ヘッドを上にして持って、ずり落ちない最低限の強さで握るのが正解

「アマチュアはとにかくグリップを強く握りすぎ」と伊澤プロ。ヘッドを上にして持って、ずり落ちない最低限の強さで握るのが正解

イザワの法則/ドライバーは右足に比重を置いて構え、そのままクラブを上げる

画像: パーシモン時代も現在も、テークバックの動きはあまり変わっていない。大型ヘッドドライバーは、最初から少し右足に多く体重をかけておくと、トップまでスムーズに

パーシモン時代も現在も、テークバックの動きはあまり変わっていない。大型ヘッドドライバーは、最初から少し右足に多く体重をかけておくと、トップまでスムーズに

イザワの法則/今のクラブは右太ももの前でインパクトするイメージ

画像: スチールシャフトを力ずくでしならせるような動きは、今のクラブには必要ない。トップから、あまり左に動かず、右足の上でくるっと回るイメージでいい

スチールシャフトを力ずくでしならせるような動きは、今のクラブには必要ない。トップから、あまり左に動かず、右足の上でくるっと回るイメージでいい

画像: 昔のプロは遠くから見ても誰だかわかったよね

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