3年前にガレス・ジョーンズ氏がヘッドコーチに就任して以降、JGAナショナルチームは国内外で好成績を収め、将来有望なプレーヤーを多数輩出している。選手育成の手腕と今後のビジョンについて、ジョーンズ氏を直撃した。

ガレス・ジョーンズ(Gareth Jones)
1971年英国生まれ。1995年にプロ転向。ツアープレーヤーとして活動後、オーストラリア国立スポーツ研究所などを経て、オーストラリアナショナルコーチなどを歴任。2015年10月からJGAナショナルチームのヘッドコーチを務めており、世界水準の強化プログラムを取り入れることで好成績につなげている

── 昨年のJGAナショナルチームは、国内外で快進撃を見せましたね。

ガレス・ジョーンズ(以下、ジョーンズ) チームとしても個人としても、素晴らしい結果を残せました。オーストラリア、シンガポール、アイルランド、インドネシアと、世界各地で実力を発揮できたことも大きいですね。ゴルフ場はもちろん、食べ物、文化が違うなかで十分なパフォーマンスを見せられたのはよかったと思います。

── ヘッドコーチに就任して昨年の10月で3年が過ぎました。これまでどのようなことを選手に伝えてきたのでしょう。

ジョーンズ 大きく3つあります。ひとつ目はトーナメントに向けてどのように準備するのか。練習ラウンドは情報を集めるために行うものであるという考えです。その集めた情報をヤーデージブックにどんどん書いていくことにより、効果的な準備ができます。

ジョーンズ 2つ目は、データを蓄積していくこと。統計ソフトに自分のラウンドの結果を入れていき、どうしてうまくいったのか、どうしてスコアが伸びないのかを知る材料にします。3つ目はショートゲームに集中すること。練習の65%をショートゲームに、35%をロングゲームに当てるよう指示しました。

── ヤーデージブックには具体的にどのようなことを書き込むのですか?

ジョーンズ グリーン上では想定されるピン位置や傾斜の向き、角度、そして「ゼロ
ライン」ですね。想定されるピンに対して、どこが真っすぐな上りのラインなのかを書き込みます。ゼロラインがわかれば、パットだけでなくアプローチにも役立ちます。

── かなり細かく書き込むのですね。

ジョーンズ グリーンの硬さやスピンのかかり具合、グリーン周りの芝の状況、バン
カーの砂の状況、風の方向や強さ、さらに何ヤードを打とうと考えて実際にどのクラブで打ったのか、1打1打の情報も書いていきます。そうすれば、ラウンド後の統計ソフトの入力作業が簡単になりますし、頭を整理できる。より多くの情報を整理できれば、より多くのミスを防げます。練習ラ
ウンドはもっともエネルギーを消費しますし、もっとも努力すべきです。

── 日本のゴルフの未来に対して描いているビジョンがあれば教えてください。

ジョーンズ ジュニアに関しては、全国各地から、先ほど挙げた基本的なことがすで
に身についている選手がナショナルチームに入るシステムを作りたいと思います。できれば、日本人のコーチがスポーツ科学、スポーツ医学に関することをしっかり学び、ナショナルチームの選手を海外に連れていけるようになればいいですね。

── そのなかでジョーンズコーチ自身はどのような動き方をするのでしょう?

ジョーンズ チームを卒業した選手で、ある程度の項目を満たした選手はその後もサポートしていきたいですね。私が練習プログラムをつくり、選手には自立性を持ってそのプログラムに取り組んでもらいます。

── それが日本のゴルフを世界水準にまで押し上げる最短のルートになると。

ジョーンズ 彼らがナショナルチームで学んだ良い習慣を続けていけば、成功する確
率は高まるでしょう。とくに女子は、1、2勝できればロレックスランキングでトップ75に入れるだけの強さが日本のツアーにあります。トップ75に入れば、米女子ツアーのファイナルQTを受けられるので、違うレベルでチャレンジすることも可能です。強くなるための手段を選手に提示していく
のが私の役割だと思います。

画像: 【ガレス・ジョーンズ】世界に通用する日本人選手を育てる方法とは? JGAナショナルチームのヘッドコーチインタビュー

「ゼロラインとは?」過去のガレス・ジョーンズ氏インタビュー

PHOTO/Kotaro Fujii

THANKS/日本ゴルフ協会(JGA)

週刊GD2019年1月22日号より

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