小さな動きのパットなのに、思いもよらぬ方向へ打ち出してしまうことがある。“引っかけ”や“押し出し”のミスだ。何が原因で起こり、どうすれば防げるのか。早速、ほしや先生に聞いてみることに使用。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 【星谷孝幸先生】 自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた ほしや先生オフィシャルサイト

【星谷孝幸先生】
自作ロボットや解析装置を使い、日夜パット研究にイソシム科学者。転がりの仕組みを解明し、自らパット数を激減させた
ほしや先生オフィシャルサイト

ボールを真ん中に置くと押し出しやすい

右に押し出しやすい人の多くは、ボールをスタンスの真ん中に置いているケースが多いです。振り子の理論では、ボールは“左耳の下”とかなり左寄りに置くようにしています。

これは適正なロフトでかつアッパー軌道でボールをとらえて、きれいな順回転で転がることに加え、ボールを真っすぐ打ち出すことにも一役買っています。

ではなぜ、ボールを真ん中に置くと右に押し出しやすいのか。それは、ボールの位置が中に寄ることによって、クラブの引き方が変わってくるからです。実際に試してもらうとわかるのですが、左耳の下に置いた場合とスタンスの真ん中に置いた場合では、明らかに後者のほうがヘッドがインサイドに上がります。

それでもインパクトでアドレスの位置にしっかりと戻せればいいのですが、多くの人がテークバックでヘッドの動きを目で追ってしまうため、クラブを引いた時点で、目線そのものが右にずれてしまっているのです。それに気づかずにインパクトに向かうので、押し出すパットになりやすい、というわけです。

テークバックを目で追うと“押し出す”軌道に

画像: ボールをスタンスの中央に置くとテークバックがインサイドに上がりやすくなる。それを目で追うと軌道が変わる

ボールをスタンスの中央に置くとテークバックがインサイドに上がりやすくなる。それを目で追うと軌道が変わる

さらに、この二つのボール位置を比べた場合、左耳の下に置いたほうが、ターゲットへの意識が強くなるのが分かるはず。これに対して真ん中にボールを置くと、テークバック側に意識が向きやすく、これがさらにヘッドの動きを目で追いやすくなることにつながり、目線が右に傾いてしまうのです。

インに引くと押し出しやすい
パットストロークは多少なりとも弧を描くため、パターヘッドを目で追ってしまうと無意識のうちに目線が右に傾きやすい。目線が傾いてしまうと、インパクトにかけてその目線に沿ってヘッドを動かそうとするので、当初のラインに対しては、ボールを押し出してしまう。

画像: インに引いたヘッド軌道に目線を取られると修正は難しい

インに引いたヘッド軌道に目線を取られると修正は難しい

では、“引っかけ”はどうして起こるのかというと、ボールを押し出すのを修正する過程で引っかけグセがついてしまっている可能性が高いのです。

押し出すのを直すために、①オープンスタンスにしてカップの右サイド(押し出し)を消す②アウトサイドにクラブを上げて相殺しようとする、大きくはこの2タイプに分かれますが、いずれにしても、パット自体は確率の悪いものになってしまうことは否めません。

ボールを目で追うと情報が蓄積されていく

テークバックでヘッドを目で追うから押し出す、それを防ごうとしてオープンに構えたりして引っかける。つまり、ミスの根本原因はヘッドの動きに目線が動かされることにあります。

これを解決するには前述通り、ボールを左に寄せ、ターゲットを意識してパターを引くこと。ヘッドを目で追わないことが大切です。

私は、逆に打ったボールをしっかり目で追います。ただし、その時頭は上げず、顔を左に向けるようにして追うのです。これならヘッドアップしないからヘッドの軌道はゆがまないし、なによりボールがどう転がるのか、自分の読みに対してどのくらい切れたのか、という情報が蓄積される。上達にはこれが大切です。

ルックアップならはヘッド軌道が歪まない
打った後に頭が起き上がらないように顔を上げていけば、ストロークはゆがまずに狙った方向に打ち出せる。目でボールを追うことで、どう転がったか、ラインの読みは正しかったかなどの情報が蓄積され、上達につながる

画像: ルックアップ

ルックアップ

“ヘッドアップ”は押し出しも引っかけも出る
打った後も頭を残す方がストロークが安定すると思いがちだが、そうは思っても結果が気になってつい頭は上がってしまうもの。ストロークは不安定になり、押し出し、引っかけ両方出る可能性がある

画像: ヘッドアップ

ヘッドアップ

パッティングにおいて目線のずれは、ショットのそれと比べ物にならないくらい影響が大きいものです。引っかけ、押し出しのクセのある人は、一度自分の目線がストローク中にどう動いているのか、チェックしてみてください。

それを注意するだけで、一気に悩みが解消されることもあると思います。

【通勤GD・今日のポイント】パット上手は“頭”を上げずに“顔”を上げる

【科学の広場】大慣性モーメントのパターは実に押し出しやすい
大慣性モーメントのパターは、直進性の高さがウリですが、ひとたび開いてしまうと開いた方向にそのまま動いていこうとする性質があるため押し出しやすい。一方、L字系パターは重心距離が長く、トウ側がひとたび走るとフェースが閉じるため、引っかけやすいのです

画像1: ボールを目で追うと情報が蓄積されていく

プロラインに打てれば“重力”が味方する
傾斜の高い側をプロライン、低い方をアマラインと言いますが、入りやすいのは重力がカップインする側に作用する前者。引っかけや押し出すクセがあるとプロラインに打ち出しにくい。苦手ラインを作らないためにも直しましょう。

画像2: ボールを目で追うと情報が蓄積されていく

【即効ドリル】左右のティを狙いどっちが苦手かチェックしよう
自分が引っかけタイプなのか、押し出すタイプなのかわからない場合は、左右10㌢ずつずらした目印を狙って打ってみましょう。左を狙った方が違和感があれば、押し出すクセがあると考えていいでしょう。

画像3: ボールを目で追うと情報が蓄積されていく
画像: 左に打ちにくい押し出しタイプはスライスラインが苦手。コースでは苦手なラインは厚めに読むなど工夫も必要だ

左に打ちにくい押し出しタイプはスライスラインが苦手。コースでは苦手なラインは厚めに読むなど工夫も必要だ

Illust/Shigehisa Kitatani

月刊GDより

画像4: ボールを目で追うと情報が蓄積されていく

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