自分のメンタルの弱さに嫌気がさしてはないだろうか? どんな状況でも100%の力を発揮するための手段を国内男子ツアー2018年賞金王・今平周吾プロから学ぶ。気持ちの変化で18ホール「5打」は変わりそうだ。
【解説】今平周吾
ツアー2勝。2018年は約1億4000万円を獲得し初の賞金王に。来季も期待の26歳
【解説】高妻容一教授
東海大学 スポーツメンタル上級指導士
調子が悪い時は悪いなりにプレーする
男子ツアー屈指の強心臓と言われる賞金王、今平周吾プロ。今平プロは自身のことをむしろメンタルは弱いと話す…。
今平 メンタルが強かったらもっと勝ってると思います(笑)
今平 2018年シーズンも数え切れないほどミスをしました。ただ、ミスしても『そんな時もあるわなぁ』と思いながらプレーしてます。周りからはマイペースとかメンタルが強いとか言われますが、自分としてはミスが多すぎて逆に諦めているのかもしれません。落ち込んでたらキリがないです(笑)
今平 参考にしている人はいませんが、人のプレーを見るのは好きです。『あっちょっと試してみよう』と思うことも結構あります。
東海大学スポーツメンタル上級指導士の高妻教授は今平周吾プロの考え方は元サッカー日本代表の遠藤保仁選手と似ている部分が多いと話す。
高妻教授 ミスをした時に、悔しがるのではなく「仕方ない」と受け入れる点は全く同じです。遠藤選手は他の選手を参考にしないとのことでしたが『とりあえずやってみる』という気持ちは常に持っていると話していました。
高妻教授 今平プロが他のプロを参考にすることがあると言う部分に似ていて、双方ともに言えるのは楽しむ姿勢を持っていること。「新しいことをするのは楽しい」から楽しむためめに情報を得る。その姿勢は強心臓を維持するうえでのキーポイントです。
遠藤選手のコロコロPKと同じように信念を持ってやり続けていることが今平にもある。例えば、グリップをつねに短く持つプレースタイルだ。
今平 クラブを短く握ることは誰に言われようと続けるつもりです。ミート率が上がるので、一発の飛びは長く持つより劣りますが平均飛距離は高いんです。
強メンタルと弱メンタルの違いが出やすい3つのシーン、そのとき今平は?
【シーン1】ずっとパープレーだったのに突然のダボ
ダボを叩き、崩れていく人に共通しているのが『こんなはずはない』と事実を受け入れないこと。ミスを受け入れれば気持ちが切り替わる。
〇【今平脳】「仕方ない」とミスはあきらめてクヨクヨしない
✖【アベレージ脳】「どうして??」と不安になりあれこれ考え出す
【シーン2】プレー前に今日はなんだか調子が悪いと思った
人間誰でも好不調はあるもの。『いつも通りに』と無理に平常心を保とうとすると空回りする場合が多い
〇【今平脳】絶対に無理はしない。調子が悪いなりのプレーをしよう
✖【アベレージ脳】自分を信じていつもどおりのプレーをしよう
人間のバイオリズムは毎日変化する
無数にある人間の細胞は常に動いている。バランスがかみ合わないときはどうもがいても調子は出ない
【シーン3】フェアウェイが狭いけど、同伴者全員がドライバー
人と違うことをするとなんだか恥ずかしくてためらう。日本人にありがちが思考だが、自分のスタイルを確立し貫くことが重要になる
〇【今平脳】人は人、自分のスタイルを貫く
**✖【アベレージ脳】自分もドライバーを持つ
【3つの注意】
①バーディを取った直後
②スコアを数え始める
③同伴者の「○○さん飛ばすからなぁ」
ラウンド中は気持ちを変化させるきっかけがたくさんある。今平選手のような動じない気持ちが必要
こんな時こそ要注意! ミスした後に気持ちの切り替えが難しい5つの原因
①ラウンド前日に300球の猛練習
②前ラウンドで自己ベストを更新した
③にわか仕込みのルーティーン
➃明日のラウンドが楽しみで眠れなかった
⑤大事なコンペのために禁欲生活
過度な興奮や自分への縛りを設けると自然体でいられなくなり体が硬直しやすくなる。
前日練習は調子を上げるためではなく、整えるためにある。自分への期待値が高まりすぎるので注意が必要
月刊GD2019年3月号より