ジャック・二クラスのプロデビューから今年で60年。その間、クラブやボールの進化、プレーヤーたちの技術革新によって、スウィングは大きく変化した。現在では350ヤード超のビッグドライブも当たり前になりつつある。今回は70年代~90年代、日本ツアーの発展を支えた、青木功、尾崎将司、中嶋常幸のスウィングを江連忠(プロコーチ)が振り返った。

【解説/江連忠プロ】
東京都出身。高校卒業後、米国に渡り、ジム・マクリーンの元で最新のティーチングメソッドを学ぶ。その後、片山晋呉、諸見里しのぶ、上田桃子ら、多くのプロを育てる。日本におけるプロコーチの草分け的存在

【尾崎将司】ギアでも世界に影響を与えた。「ニクラスを研究したカリスマスウィング」

画像: 【尾崎将司】ギアでも世界に影響を与えた。「ニクラスを研究したカリスマスウィング」

尾崎将司
プロ野球からゴルフに転向。70年にプロ入り。圧倒的な飛距離と巧みなショートゲームを武器に勝利を積み重ね、世界記録となる通算113勝(うちツアー94勝)を挙げる。12度の賞金王は国内最多

グレッグ・ノーマンがジャック・二クラスを見て育ったのと同様に、二クラスの影響は日本にも大きく及びました。その代表がジャンボさん(尾崎将司)です。

画像: プロ通算100勝を挙げた1996年のスウィング

プロ通算100勝を挙げた1996年のスウィング

画像: 「どんなに力を入れてもフィニッシュでは力んでいるように見えないところ。これがクラブにストレスをかけず、狙ったところに球を運ぶ秘訣です」

「どんなに力を入れてもフィニッシュでは力んでいるように見えないところ。これがクラブにストレスをかけず、狙ったところに球を運ぶ秘訣です」

アップライト軌道、脚使い、ルーティン、力感など。ジャンボさんは二クラスのスウィングを大いに参考にしました。その強さと実績、カリスマ性のもとに多くの選手が集い、神がかったショートゲームは、多くの若手が参考にしたのです。

また、ジャンボさんは、道具でもゴルフ界を引っ張りました。スパイクレスシューズ、ピッチングサンド、ソリッドボールの開発。メタルヘッドをいち早く取り入れ、番手ごとの重量フローを設計するなど、現代ではスタンダードになっているギアの多くに、ジャンボさんのあくなき探求心が息づいているのです。

【青木功】世界で高く選手の先駆者「体の重心が終始低い」

画像: 優勝した1983年のハワイアンオープン最終日のアイアンショット

優勝した1983年のハワイアンオープン最終日のアイアンショット

青木功
64年プロ入り。プロ通算85勝(国内、海外シニアなどを含む)。賞金王5度。80年の全米オープンで2位、83年のハワイアンオープンで日本人初となるPGAツアー優勝を飾るなど、国内のみならず海外でも強さを見せた

青木さんのスウィングは非常に個性的で。誰にもマネできませんが、そのスウィングプレーンは世界クラス。よく青木さんは手打ちではないかと言われるのですが、手打ちでこのプレーンは描けません。

画像: 米シニアツアーに主戦場を移し、初優勝を決めた1992年のスウィング

米シニアツアーに主戦場を移し、初優勝を決めた1992年のスウィング

画像: 「青木さんの素晴らしさは、スウィング中、重心の高さがまったく変わらないところ。車高の低いF1マシンが地面にピッタリと張り付いたまま走っているような感じです」

「青木さんの素晴らしさは、スウィング中、重心の高さがまったく変わらないところ。車高の低いF1マシンが地面にピッタリと張り付いたまま走っているような感じです」

なにより、青木さんは世界で戦うスポーツ選手の先駆者として、多くのプレーヤーに影響を与えました。1980年の全米オープンで二クラスと優勝争いをした姿は、今でも僕の脳裏に焼き付いています。

画像: 1980年の全米オープンではジャック・ニクラウスと優勝を争い、2位になった

1980年の全米オープンではジャック・ニクラウスと優勝を争い、2位になった

【中嶋常幸】セベ・バレステロスが絶賛した「柔のスウィング」

画像: 1986年のスウィング

1986年のスウィング

中島常幸
1975年プロ入り。セベに絶賛された美しいスウィングでツアー48勝を挙げ、4度の賞金王に輝く。4大メジャーすべてでベストテンフィニッシュするなど、海外でも活躍した。

中嶋さんは、セベ・バレステロスに「世界で5指に入る美しいスウィング」と評されたことがあります。それは、柔のなかに剛を感じさせる中嶋さんにセベが共感したためでしょう。

さらに言えば、セベと同じ柔らかさ、タッチを持っていながら、セベよりも中嶋さんのほうが「ゆるみ」が少なかったからかもしれません。

画像: 1992年撮影。スウィング改造した中嶋は、この年3勝を挙げた

1992年撮影。スウィング改造した中嶋は、この年3勝を挙げた

画像: セベ同様、見てもらいたいのは、その柔らかさ。とくにテークバックの上がり方はスムーズで参考になります

セベ同様、見てもらいたいのは、その柔らかさ。とくにテークバックの上がり方はスムーズで参考になります

個人的に言えば、力が抜けて、流れのなかで動き出せる余裕のあるアドレス。そこからスムーズにクラブが上がっていくテークバックなど、いまだにあこがれる部分があります。

画像: 1986年のマスターズでは8位タイに入った

1986年のマスターズでは8位タイに入った

画像: 【中嶋常幸】セベ・バレステロスが絶賛した「柔のスウィング」

【スウィング大進化論③】スウィング理論の発展。そして、タイガー・ウッズの登場。随時配信予定です

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