「相手をだまくらかすスポーツとは一線を画す」。今週の通勤GDは、名師弟・高松志門プロと奥田靖己プロによる「一行レッスン」です。その第十五話。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

奥田 先生はゴルフダイジェストに出始めて、もうどのくらいですか?

高松 もう16年(取材当時)や。これ以上なんのダシも取れんから勘弁してくれ言うてるんやけどな。

奥田 あんなエグいショット連発しといて、何をおっしゃっていますか。技術は昔よりさらに進化してますし、自分の師匠のことをこんな風に言うのはおかしんですけど、先生みたいなゴルファーどこにもおりません。すべてが無茶苦茶えげつないです。

高松 まあ技術論はもうええねん。技術ページやる奴は仰山おるから、技術はそういう人にまかせとったらええのや。それより、日本のゴルフもちょっとポピュラーになってからまだ40年の歴史やのに、もうまともなゴルファーというものが、ほとんどおらんようになってもうた。

奥田 ええ。たとえばアマチュアの人やったら30台が出たら嬉しい。でも、自分のことだけ考えてゴルフしたり、ちょっとでも人の邪魔したり。そんなことしてたら、いくらゴルフが上手くなっても、ゴルファーとしては成長してないのと違いますの、いう話ですわね。

高松 例えば将棋なんて言うのは、上位の数人を除いては、もう勝ち負けがすべてと言ってもいい。下は勝てばなんでもええいう世界やね。相手が“あっ!”いうて打ち損ねても、勝てばええ。

奥田 上の数人はやっぱり美学ですか。

高松 そう。美学とかね、自分の主義主張が通るかどうかを重視して指してるんよ。そやからな、俺の解釈では本来のスポーツというものに、一番近いのがゴルフやねん。あとはいろんなスポーツあるけど、相手だまくらかしたらええんやから。

奥田 なるほど。相撲やったら相手の顔の前で“パチン”言わせて勝ったらええし、野球かてバッターの後ろでボソボソいうたりですね。

高松 テニスのボレーかて、違う方向見といて、別の方向に打つんやろ。だから50パーセントは実力かもしれんけど、基本的にだませばいいという世界。でもゴルフはそうじゃない。

奥田 フィギュアスケートはどうですか?

高松 あいつは分からんな。

奥田 だますという部分はないけど、瞬間的な“きれいさ”いうもんを点数に置き換えられる部分では、やっぱりかなり違いますかね。

高松 結局、ゴルフがいちばん原始的で一番誇り高いんよ。

奥田 僕、ツアーの予選会でわずかな差で失敗した時に、もうあかん思うて先生に会いに行ったら「お前は成績と向かいおうとる。オレはゴルフと向かいおうとるねん」言われて涙しそうになったことを、今でもよう覚えています。

高松 そやからな、自分しか見えんと先に状況が分からんのに打つやつがおるやろ。たぶんグリーン上に前の組がおるはずやのに、乗せに行きよるもんさえおる。

奥田 あれは自分の飛距離を見せびらかしたいんですうかね。オレはこんなでかいのもっとるで言うて。

高松 そうよ。それはもう鼻水をぶわぁ出して、チンチンまで出して「どや!」言うてるのと一緒や。村にひとりくらいおるやろ、チンチン出してみせるおっちゃん。あれ、ちっちゃいのってひとりもおらんで。人よりもだいぶん大きいもの持っとる。

【通勤GD・今日のことば】ゴルフが一番原始的で一番誇り高い

画像: 【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.15「ゴルフこそスポーツ本来の姿や」ゴルフダイジェストWEB

EDIT/長田編集事務所

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