前回は、ヘッドの大きなドライバーを選ぶにあたって、重心位置がどれだけ大切かをクラブデザイナーの松尾好員さんがレクチャーしてくれました。今回はその2回目。クラフトマン兼試打のスペシャリスト・小倉勇人さんが「芯を外しても飛ぶ」と外ブラ3モデルのドライバーを重心視点で試打。「重心スペック」と併せてチェックすれば、ぴったりの1本が見えてくる。

【試打・解説/小倉勇人】
ゴルフフィールズユニオンゴルフ店の店長兼クラフトマン。5下シングルの腕前

【M5・M6】プロ支給品レベルの反発性能(テーラーメイド)

画像: 【M5・M6】プロ支給品レベルの反発性能(テーラーメイド)

新作のMシリーズは、あらかじめルールを超える反発係数のヘッドを作り、フェースに設けた2つの赤いポートからヘッド内にレジン素材を注入して、反発係数をルールの限界値にチューニング。

そのうえで1個1個のヘッドを検品して、反発係数がルール適合のリミットになっているかチェックしているという。

【M5】ヘッドは重く「長く低い」重心位置で衝突エネルギーが大きい

画像1: 【M5】ヘッドは重く「長く低い」重心位置で衝突エネルギーが大きい

かなり重くてスウィートスポット(SS)が低めで、ネック軸回りの慣性モーメント(MI)が大きいヘッド。フェースをゆるやかにターンさせて、スピンを抑えた"重い球"で飛ばしたい方におすすめだ。

M5
ヘッド重さ201.9g(非常に重い)
重心距離42.3mm(長い)
重心深度37.3mm(標準)
フェース高さ54.5mm(ややシャロー)
SS高さ34.3mm(やや低い)
低重心率62.9%(標準)
ヘッド左右MI4387g㎝2(標準)
ネック軸回りMI7492gcm2(大きい)

小倉 低スピンでありつつ、サラッと振っても球が上がるので、気持ちよく高い弾道で飛ばせます。フェースがヒールに寄っていてヘッドを返しやすいです。

画像2: 【M5】ヘッドは重く「長く低い」重心位置で衝突エネルギーが大きい
画像3: 【M5】ヘッドは重く「長く低い」重心位置で衝突エネルギーが大きい

       

【M6】「深く低い」重心で平均的に飛距離が伸びる

画像1: 【M6】「深く低い」重心で平均的に飛距離が伸びる

シャローフェースでかなり深い重心と低いSSで、高弾道&低スピンに。慣性モーメントがかなり大きくて、打点がバラついても弾道がブレにくい。

M6
ヘッド重さ199.1g(やや重い)
重心距離40.8mm(長い)
重心深度42.1mm(非常に深い)
フェース高さ52.9mm(シャロー)
SS高さ33.4mm(低い)
低重心率63.1%(標準)
ヘッド左右MI5030gcm2(非常に大きい)
ネック軸回りMI8154gcm2(非常に大きい)

小倉 向いた方向へ打ち出して、直線的に飛ばすタイプ。目標へストレートに飛んでいきます。ミスヒットしても球が曲がりにくいです。

画像2: 【M6】「深く低い」重心で平均的に飛距離が伸びる
画像3: 【M6】「深く低い」重心で平均的に飛距離が伸びる

【エピック フラッシュ シリーズ】AIフェースで初速MAX(キャロウェイ)

画像: 【エピック フラッシュ シリーズ】AIフェースで初速MAX(キャロウェイ)

「エピックフラッシュ」シリーズは、クラブの開発にAI(人工知能)を導入、ボール初速を最大化した「FLASHフェース」が強み。

クラウン内部の進化した2本の柱との相乗効果で、初速と飛距離が伸ばせると大評判。

【フラッシュ スター】「長く深い」重心、慣性モーメントも大きい

画像1: 【フラッシュ スター】「長く深い」重心、慣性モーメントも大きい

重心が「長・深」で慣性モーメントが大きい、現代の大型ヘッドの「スタンダード」的ヘッド。

エピック フラッシュ スター
ヘッド重さ194.8g(やや軽い)
重心距離40.9mm(長い)
重心深度39.1mm(深い)
フェース高さ56.6mm(標準)
SS高さ35.6mm(標準)
低重心率62.9%(標準)
ヘッド左右MI4623gcm2(大きい)
ネック軸回りMI7459gcm2(大きい)

小倉 球が前へ強く飛んでいきます。ヘッドがターンしやすくつかまるドライバーです。

画像2: 【フラッシュ スター】「長く深い」重心、慣性モーメントも大きい
画像3: 【フラッシュ スター】「長く深い」重心、慣性モーメントも大きい

【フラッシュ サブゼロ】打ち分けやすさも備わる極重ヘッド

画像1: 【フラッシュ サブゼロ】打ち分けやすさも備わる極重ヘッド

極重ヘッドで力強い球に。ネック軸回りMI(慣性モーメント)が標準的で大型のわりに操りやすい。

エピック フラッシュ サブゼロ
ヘッド重さ202.3g(非常に重い)
重心距離37.8mm(標準)
重心深度37.0mm(標準)
フェース高さ56.2mm(標準)
SS高さ35.5mm(標準)
低重心率63.2%(標準)
ヘッド左右MI4633gcm2(大きい)
ネック軸回りMI6935gcm2(標準)

小倉 叩きにいっても左にいかないクラブです。スピンが少なくてランが稼げます。

画像2: 【フラッシュ サブゼロ】打ち分けやすさも備わる極重ヘッド
画像3: 【フラッシュ サブゼロ】打ち分けやすさも備わる極重ヘッド

【G410】大慣性モーメント。打点がブレてもヘッドはブレない(ピン)

画像: 【G410】大慣性モーメント。打点がブレてもヘッドはブレない(ピン)

ピンのニューモデル「G410」シリーズは、先代からの大慣性モーメントのコンセプトを受け継ぐ「ブレない飛び」が持ち味。

サイズは455cc、ヘッド自体の空気抵抗を減らして速く振り切れるようになった。

「PLUS」はヘッド後方のスライド式ウェートで弾道を調節可能だ。

【G410PLUS】重心は、深く、長く、高重心。程よいスピン量で安定感アップ

画像1: 【G410PLUS】重心は、深く、長く、高重心。程よいスピン量で安定感アップ

「長い・深い」はそのままに、新作は重心が高くなって適度なスピン量が得られるようになった。

G410 PLUS
ヘッド重さ200.5g(やや重い)
重心距離45.2mm(非常に長い)
重心深度45.4mm(非常に深い)
フェース高さ54.6mm(ややシャロー)
SS高さ38.6mm(高い)
低重心率70.7%(高重心)
ヘッド左右MI5416gcm2(非常に大きい)
ネック軸回りMI9527gcm2(非常に大きい)

小倉 適正スピンで安定して飛ばせます。打ち手を選ばず幅広いゴルファーに合いますね。

画像2: 【G410PLUS】重心は、深く、長く、高重心。程よいスピン量で安定感アップ
画像3: 【G410PLUS】重心は、深く、長く、高重心。程よいスピン量で安定感アップ

【G410SFT】プラスよりも重心距離は抑えめ。打点ブレに強く、つかまる

画像1: 【G410SFT】プラスよりも重心距離は抑えめ。打点ブレに強く、つかまる

重心の「長さ・深さ」はPLUSよりも穏やか。つかまりの良さを求めるならこちら。

G410 SFT
ヘッド重さ198.5g(やや重い)
重心距離42.4mm(長い)
重心深度43.0mm(非常に深い)
フェース高さ54.2mm(ややシャロー)
SS高さ38.9mm(高い)
低重心率71.8%(高重心)
ヘッド左右MI4889gcm2(大きい)
ネック軸回りMI8315gcm2(非常に大きい)

小倉 大きな重心角でヘッドが自然に返って球をつかまえてくれるクラブです。スライスを止めるならば「G410SFT」。

画像: ヘッドが返りやすい

ヘッドが返りやすい

画像2: 【G410SFT】プラスよりも重心距離は抑えめ。打点ブレに強く、つかまる

月刊GD2019年4月号より

次回は、試打ドライバーのウェート位置を変えることで、重心位置と弾道がどう変わるのかを検証します

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