芹澤プロは「日本」と名の付くタイトルをひとつ持っている。それは1996年の「日本プロマッチプレー」だ。現在のツアーにはなくなってしまったマッチプレーを勝ち抜いてメジャーチャンプとなった背景とそこに隠されたゴルフの面白さについて聞いた。

唯一の日本タイトルは“日本プロマッチプレー”

今、国内ツアーにマッチプレーの試合はなくなってしまいましたが、ほとんどの試合がストロークプレーで行われる中、番狂わせが多く劇的な展開も起こりやすい、異色の試合として結構面白かったんです。

ただ、番狂わせの結果、無名選手同士の決勝戦なんかになってしまうとテレビの視聴率が取れないというので03年を最後になくなってしまいました。歴代チャンピオンとしては残念でなりません。

マッチプレーは勝ち残っていくと、連日36ホールかそれ以上を戦わなくてはならないタフな試合。しかも相手と1対1のサシの勝負ですから、精神的にも堪えます。僕は、自分が勝つまではマッチプレーに強い選手は性格が悪いと思っていました。(笑)

昔の選手は、パー3のティショットなんかで、わざと大きな番手を持って少し芯を外して打ったり、パッティングでもラインを消して打って相手を惑わせたりとか、そういう駆け引きをしていたって話をよく聞きますからね。

でも僕の場合は勝ったというよりは、「飛ばないから勝てた」みたいな部分はあると思います。マッチプレーでは、飛ばない選手が相手だとやりにくいみたいですよ。実際、僕が勝った時は、湯原信光さんや田中秀道くん、決勝はブラント・ジョーブと、飛ばし屋ばかり当たりました。

いつも2打目を先に打つ僕に、先にグリーンに乗せられると、飛ぶ選手はもっと近いところから打つわけですから「それよりも内側につけなくちゃ」と考えて、無茶したりするんです。それでリズムを崩してしまう。

僕は普段通りのゴルフをするだけですが、相手は知らず知らずのうちに僕との戦いになって、勝手に余計なことを考えてくれるんですね。

一方で、マッチプレーに勝つにはボギーを打たないことも重要です。相手にバーディを獲られての1ダウンは仕方がないと諦められますが、ボギーというのは自分のミスですから、それで1ホール落とすと精神的に苦しくなっていくんです。

スコアを気にしないというのと矛盾する部分もありますが、1対1の差し向かいで戦っていると、取りこぼさない選手というのは手ごわいものです。ピンチでも粘っこくパーを獲り続けて、相手に「こいつ、ボギーを叩かないな」と思わせれば、相手は「俺もボギーを打てないぞ」と、勝手にプレッシャーを感じてくれる。

こういったせめぎ合いは、最終的には、どちらが精神的に優位にいるか、気楽にゴルフをしているかに左右されます。

自分がボギーを打っても「たった1ダウン。気にしない」と割り切れば問題ないし、逆に自分がコツコツパーを重ねていても、「バーディーを獲らなきゃ勝てないぞ」と思ったらリズムは崩れてしまう。結局は自分との闘いなんです。

マネジメントは簡単です。5番アイアン以上の番手を持ったらピン位置に関係なくグリーンセンター狙い。このくらいの番手は、欲を出して狙うとミスにつながりますが、プロにとって乗せるだけなら難しくない。

僕が乗せると、相手はその内側を狙ってきますから、自滅することもある。そして得意のショートアイアンを持てる場合はワンピンを狙ってプレッシャーをかけていく。たったそれだけのことです。ね、性格悪くないでしょ?(笑)

【通勤GD・今日のポイント】“ワンピン”を狙えるコントロールショット

【ポイント①】肩幅スタンスで6対4の左足体重
正確な距離、方向を出したいコントロールショットは、大振りせずバランスを崩さず振り抜くことが大事。PWの場合、スタンスは肩幅、6対4の左足体重で構えよう。

画像1: 唯一の日本タイトルは“日本プロマッチプレー”

【ポイント②】トップで肩はあごの下、フォローでクラブを立てる
振り幅は小さくてもゆるまないように、トップで左肩があごの下まで入るように体を回す。フォローではクラブを立てるように振り抜く。

画像2: 唯一の日本タイトルは“日本プロマッチプレー”

【ポイント③】胸の面を右、左に向けるようにスウィング
スウィング中は手元が体の正面から外れないように注意。両肩と腕でできる三角形を崩さず、胸の面を右、左へ向けるイメージだ

画像: 両肩と腕の三角形を崩さない

両肩と腕の三角形を崩さない

画像3: 唯一の日本タイトルは“日本プロマッチプレー”

月刊GDより

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