2019年度のレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは「反力打法」を展開したクォン教授と吉田洋一郎プロ。驚異の打法をマスターするには「軸」について正しく理解することが大切だと吉田プロ。本人の解説による「反力打法の基礎知識」その後編。

スウィングには3つの軸がある

ゴルフスウィングとは3つの軸による3次元的な動きで構成されます。3つの軸とは「垂直軸」「前後軸」「飛球線方向軸」。下の図は、それらを模式的に示したものです。(吉田)

「垂直軸」「前後軸」「飛球線方向軸」

1つ目の「垂直軸」とは、その名の通り地面に垂直な軸。これに対して回転する動きは、その場でくるりと回るコマのような動きになります。

2つ目の「前後軸」は体の正面から見た時にお腹側から背中側へ突き抜ける軸です。1つ目の「垂直軸」と直角に交わる軸です。

「地面反力」を回転に転換する動きのモデルとして示したのがこの「前後軸」で、この軸を中心に回転すると、腕やクラブは振り子のように動きます。

3つ目の「飛球線方向軸」は、飛球線に対して平行に存在し、「垂直軸」や「前後軸」とそれぞれ直角に交わる軸。この軸を中心に回転すると、上体の前傾が変化しやすくなるためゴルフスウィングではあまり取りざたされませんが、実際のスウィング中にはほかの動きと連動しながらこの軸を中心とした動きも生じます。

画像: 「垂直軸」「前後軸」「飛球線方向軸」

どんな物体でも、物体の重心を中心に回転しようとします。ですからこれら3つの軸は、すべて体の重心(一般的にはお腹のオヘソよりも少し下、「丹田」などと呼ばれる部分)を通っていると考えてください。

ゴルフスウィングは、股関節から上体を前傾して構え、その前傾に沿って回転するというイメージが広く浸透しています。それ自体は大きな勘違いではないのですが、ゴルフスウィングの三次元的で複雑な回転運動を理解するためには、それだけでは不十分で、様々な矛盾が生じます。

3つの軸に沿って回転運動がそれぞれどのように行われ、どのように影響しあっているか正しく理解することが大事なのです。

1つ目の軸「垂直軸」

ゴルフスウィングを回転運動だと説明する際に、その回転軸として説明されることが多い軸です。スウィング写真や動画を解説する際に、地面に垂直に線を引いて説明されたりします。

バックスウィングで右を向いて、フォローで左を向くような回転運動を説明するうえでは、この「垂直軸」を意識することでスムーズに回転できますし、実際、スウィング中にはこの「垂直軸」に沿った回転運動も生じているので、比較的万人に受け入れやすいイメージといえます。

画像: 1つ目の軸「垂直軸」

しかし、この「垂直軸運動」だけではクラブは地面と水平にフラットに振られるだけで、ボールに届きませんし、前傾姿勢を考慮したとしても不自然です。「垂直軸」は、3つの軸のうち重要な1要素ではありますが、スウィングの唯一の軸ではないということを忘れないでください。

ちなみに、この「垂直軸」に沿った回転運動を促すのは、左右の足の裏を前後に使う動きです。バックスウィングで右足のかかと側と左足のつま先側に加重し、ダウンスウィング以降は左足のかかと側と右足のつま先側に加重することで体を回転させるのです。

2つ目の軸「前後軸」

3つの軸の打ち「前後軸」は、前述したように「地面反力」を使ってスウィングするうえで非常に重要な意味を持っており、このメソッドのキーポイントと言っていいでしょう。

というのも、この「前後軸」を中心とした回転運動は、従来のスウィングメソッドでははっきりと言及している例が少なく、ゴルファーにとってはあまりなじみのないイメージだからです。

とくにアマチュアゴルファーにおいてはこの動きを正しく意識できている人は非常に少なく、それゆえにスムーズなスウィングを妨げているボトルネック的要因でもありました。

画像: 2つ目の軸「前後軸」

「前後軸」の動きが欠落し、「垂直軸」に偏ったイメージでスウィングすると、肩や上体が地面に対してフラットに動きやすく、前傾角度が起き上がったりクラブが寝るなどの様々な問題を引き起こします。

だからこそ、この「前後軸」に対する回転運動を正しく理解し、意識してスウィングに取り入れることは非常に重要といえます。

画像: 前後軸を中心に回るので、テークバックで左肩は下がる

前後軸を中心に回るので、テークバックで左肩は下がる

画像: 前後軸を中心に振るので、右肩はダウンで下がる

前後軸を中心に振るので、右肩はダウンで下がる

体の「前後軸」周りの回転は、スウィング中に肩が上下に動くため、「右肩を下げるな」というような旧来のゴルフレッスン用語に慣れ親しんだ人には違和感があるかもしれません。しかし、スウィングの動作を客観的に分析していけば、それらの動きは決して悪い動作ではなく、自然で理にかなったものであることが分かるはずです。

3つ目の軸「飛球線方向軸」

実際のスウィングでは、足を地面につけた状態での動きとなるため、「飛球線方向軸」に対して回転すると上体の前傾角度や頭の高さが変化します。

こういった動きは、従来のゴルフレッスンにおいてはスウィング中のタブーとされがちでしたが、これを利用しなければ遠心力に引っ張られながら動くクラブを、うまくボールにミートさせることはできないのです。

具体的には、インパクト直前に、飛球線後方から見た時に左回り、つまり上体が起き上がる方向に回転します。これによって、遠心力で体(スウィングの軸=体の重心)から遠ざかっていこうとする腕やクラブと体が引っ張り合い、バランスをとってクラブヘッドの軌道を整えます。

インパクト直前に、飛球線方向軸の左回り、上体が起き上がる方向に回転。これにより遠心力に負けず引っ張り合える

画像: 3つ目の軸「飛球線方向軸」

この動作がなければ、体がクラブの遠心力に引っ張られてヘッドは地面に激突してしまうでしょう。動きとしては大きくありませんし、軸を中心とした回転運動だとは意識しにくい動きですが、これを「飛球線方向軸」に対する回転運動だと正しくイメージすることで、クリーンなインパクトが可能になるのです。

吉田洋一郎プロの反力打法マスター合宿はこちら↓

クォン教授と吉田プロの共著「驚異の反力打法」はこちら↓

This article is a sponsored article by
''.