タイガーが劇的なパットを沈めて、4度目のマスターズを制した2005年。優勝を陰から支えていたタイガーの元パットコーチ、マリウス・フィルマルターがレッスンをしてくれた。2週間後に迫ったマスターズを前に、タイガーのパットのこと、入るパッティングのコツを本誌だけにこっそりと明かしてくれます。
画像: 【指導/マリウス・フィルマルター】 1955年生まれ。南アフリカ共和国出身。南アからジンバブエ、ドイツ経て、アメリカに移住。タイガー・ウッズ、アーニー・エルス、ブラッド・ファクソン、石川遼など、これまでPGAツアーで活躍する数多くのプレーヤーのパッティングコーチを務めてきた

【指導/マリウス・フィルマルター】
1955年生まれ。南アフリカ共和国出身。南アからジンバブエ、ドイツ経て、アメリカに移住。タイガー・ウッズ、アーニー・エルス、ブラッド・ファクソン、石川遼など、これまでPGAツアーで活躍する数多くのプレーヤーのパッティングコーチを務めてきた

画像: 【解説/吉田洋一郎】 よしだひろいちろう。1978年生まれ。北海道出身。2019年レッスン・オブ・ザ・イヤー。世界中のプロコーチの理論を直接学び、マリウス・Fとは旧知の仲。今回はレポーターとして登場

【解説/吉田洋一郎】
よしだひろいちろう。1978年生まれ。北海道出身。2019年レッスン・オブ・ザ・イヤー。世界中のプロコーチの理論を直接学び、マリウス・Fとは旧知の仲。今回はレポーターとして登場

ニクラス、クレンショー、タイガー。歴代のパット名手は“イン”から打つ

吉田 マリウスはこれまで数多くの一流プレーヤーのパッティングコーチを務めましたね?

マリウス そうだね。アーニー・エルスやブラッド・ファクソン、そして、タイガー・ウッズ。あと、石川遼もだ。

吉田 もう、ストレートに聞いちゃいますけど、タイガーには何を教えていたんですか?

マリウス うーん、鋭い質問だね。まず、タイガーには教えたというよりも、むしろパッティングの本質を教えられたという感じかな。ただ、理想とするストロークができているかの確認作業はよくやったね。

画像: 赤いラインがタイガーの軌道だ

赤いラインがタイガーの軌道だ

吉田 その確認作業とは?

マリウス PGAツアーの歴史上、パットの名手と言えば誰だと思う? ニクラス、クレンショー、そしてタイガーだ。彼らには共通点があって、全員がインサイドからボールを打つんだ。

タイガー・ウッズのパッティング

ジャック・ニクラスのパッティング

画像: メジャー18勝の帝王、J・ニクラス(44歳時、1984年マスターズ)

メジャー18勝の帝王、J・ニクラス(44歳時、1984年マスターズ)

ベン・クレンショーのパッティング

画像: B・クレンショー、マスターズ1984、95年と2度優勝(32歳時、1984マスターズ)

B・クレンショー、マスターズ1984、95年と2度優勝(32歳時、1984マスターズ)

吉田 ボールをつかまえて打っているんですね?

マリウス そういうこと。タイガーの場合は、インサイドアウト軌道で、アッパー気味に振っているんだ。インサイドからヘッドを入れることで、フェースを閉じてインパクトして強い球を打つことができる。タイガーは、ドローを打つ感覚でパットしているはずだよ。

【タイガーの特徴①】インサイドアッパーに振る

マリウス インサイドアウトに振ることで、ヘッド軌道に対してフェースを閉じてインパクトできる。さらにタイガーはややアッパー軌道でこれをやっている。そうすることで、目標に対してはスクェアにインパクトしながら、芝目や傾斜に負けない強い球を打つことができ、ラインにも乗せやすくなるんだ。

画像: ニクラス、クレンショー、タイガー。歴代のパット名手は“イン”から打つ

【タイガーの特徴②】ショットのように丸く振る

マリウス タイガーはパットをショットの延長と考えていて、パットだけ真っすぐストロークするようなことはしない。歴代のパットの名手も全員が同じで、パターを真っすぐ動かしていると、たとえ一時的に入っていても、いつか真っすぐ動かせなくなる。最悪の場合、イップスになることもあるんだ。

画像: ヘッドを丸く動かす=ショットの延長線にある動き

ヘッドを丸く動かす=ショットの延長線にある動き

画像: ヘッドを真っすぐ動かす=ショットとは違う特別な動き

ヘッドを真っすぐ動かす=ショットとは違う特別な動き

【タイガーの特徴③】フェースをローテーションさせる

マリウス タイガーは、ショットと同じようにボールをつかまえる感覚でパッティングするので、フェースローテーションを積極的に使うタイプと言える。ヘッドがインサイドアウトのややアッパー軌道で動き、その動きに伴ってフェースが開閉するんだ。

自分のリズムを掛け声で作り出す。いいストロークのコツ

マリウス ストロークでいちばん大切なものは何だと思う?

吉田 何だろう……。

マリウス リズムさ。もちろん、丸く振ることが前提だけど、自分のリズムで振ることがとても大事なんだ。そのためには、掛け声が効くんだ。口に出さなくたっていい。心のなかで唱えるんだ。パットのうまいプレーヤーはみんなそうしてるはずだよ。おすすめは、「ブーン、ブーン」。自分に合う掛け声を見つけるのも、上達の方法かもしれないな。

【ポイント①】心のなかで掛け声を唱える

マリウス ストロークで大切なのはリズム。いつも同じ自分のリズムでストロークするためには、掛け声を見つけることも必要なんだ。おすすめは『ブーン、ブーン』。大多数の人にマッチすると思うよ。

【ポイント②】ひじを開けずにま~るくストロークする

マリウス パッティングストロークは、右手をま~るく振る感覚。だから、ひじを体から離さないように振るんだ。たとえグリーン上にいなくたって、パット練習はできるってことさ。

画像1: 自分のリズムを掛け声で作り出す。いいストロークのコツ

【ポイント③】ゆっくり振る人はソフトに握る

マリウス 同じリズムで振るには、ストローク中のグリップの強さを変えないこと。スネデカーのように速いリズムならグリップを強く、クレンショーのようにゆっくりならソフトな握りが合う。

画像: クレンショーはソフトに握っていましたよ

クレンショーはソフトに握っていましたよ

後編に続く
週刊GD2019年4月9日号より

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画像2: 自分のリズムを掛け声で作り出す。いいストロークのコツ

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