どんなパターが自分に合うのか。それを決める要素は「ヘッド形状」と「ストロークタイプ」のマッチングだと言われてきた。今回取材した伊藤大祐プロは「実は自分の利き目が重要なんです」と話す。
画像: 【解説/伊東大祐プロ】 8歳でゴルフを始め11歳で単身渡米。17歳で渡豪し、ジェイソン・デイと同じゴルフ部に在籍。豪州PGAツアーメンバー。ゴールドコーストのクロスゴルフアカデミー校長

【解説/伊東大祐プロ】
8歳でゴルフを始め11歳で単身渡米。17歳で渡豪し、ジェイソン・デイと同じゴルフ部に在籍。豪州PGAツアーメンバー。ゴールドコーストのクロスゴルフアカデミー校長

そもそもフェースの向きを「ターゲットに合わせられている」のか?

グリーン上で慎重にラインを読んで、狙ったところにきちんとフェースを向けて構えたはずなのに、実際に打ったボールが狙いより左右にズレてしまうことがある。

もしかしたら、それは打ち方の問題ではなく、パターが「合っていない」のかもしれない。オーストラリアでゴルフアカデミーを主宰し、最先端のゴルフ理論に詳しい伊東大祐プロに聞いた。

伊東 パターを選ぶ際、フェースの開閉を使うタイプは『ピン型』、ストレートにストロークするタイプは『大型マレット』というように、ストロークタイプとの相性で選ぶ人が多いと思いますが、それだけだと本当に自分に合ったパターを選んでいない可能性が高いです。

ボールが「狙ったところに転がらない」という場合、そもそも「フェースを狙ったところに正確に向けられていない可能性が高い」という。

伊東 人間の目は、少しのことで『だまされ』やすく、たとえばボールの後ろから見たときと、ボールの横に立って見たときでは、見え方が変わってしまうことがあります。本当に自分に合ったパターというのは、真っすぐ構えているように『見えて』、しかも、実際に真っすぐ『構えられる』パターです。そういうパターを選ぶためには、実は自分の『利き目』を知ることが重要なんです。

【利き目の判別】指で作った輪っかにティを入れて見よう

ティなどを体から離して持ち、それがもう一方の手で輪をつくり、ティが輪の中に見えるようにする(このときは両目)。その状態のまま片目ずつで見る。ティなどの対象物が「ズレない」ほうが利き目。

画像: 【利き目の判別】指で作った輪っかにティを入れて見よう

パター選びで重要な「利き目とネック形状の関係」

「利き目」が「右」の人と、「左」の人では、パッティングの際にどんな違いが出るのだろうか。

伊東 利き目の違いによって、ボール位置にわずかですが、差が生じます。それぞれの利き目に近いところ、つまり、『利き目が右』の人は、少しだけスタンスの中央寄りに、『利き目が左』の人は、少しだけ左足寄りにボールをおくほうが、“しっくりくる”ケースが多いんです。

その「ボール位置」に対して、安定的にスクェアに構えやすいパターを選ぶ必要があるということだ。

伊東 フェースの見え方、構えやすさにいちばん影響があるのは、『ネック形状』です。オフセットがあるタイプのネック(グースネック)と、ないタイプのネック(ストレートネック)で比較すると、『利き目が左』の人はオフセットがあるものと相性がよく、『利き目が右』の人はオフセットがないものと相性がいいという傾向があります。

「利き目が左」はオフセット、「利き目が右」はストレートネックが合う

①オフセットが強いクランクネックなど…左目が効き目の人に合う
オーソドックスな「ピン型」などにみられる、「グースネック」や「クランクネック」は、「利き目が左」の人との相性がいい。利き目が左の人はボールを左足寄りに置く傾向がある

画像1: 「利き目が左」はオフセット、「利き目が右」はストレートネックが合う
画像: 写真は「テーラーメイド アードモア3」

写真は「テーラーメイド アードモア3」

②オフセットが弱いスラントネックなど…左右の効き目の中間
「スラントネック」など、オフセットはあるが「弱い」ものに関しては、「利き目が右」、「利き目が左」の両方の人に合う可能性がある。「サイトライン」の入り方によっても、合う、合わないが分かれる

画像2: 「利き目が左」はオフセット、「利き目が右」はストレートネックが合う
画像: 写真は「スパイダーミニ」

写真は「スパイダーミニ」

③オフセットのないストレートネックなど…右目が効き目の人に合う
「センターシャフト」のパターなどは、オフセットがないパターの代表例。基本的には、「利き目が右」の人と相性がいい。ただし、利き目は右だが、左目のほうが視力はいいといった場合には、逆になるケースもある

画像3: 「利き目が左」はオフセット、「利き目が右」はストレートネックが合う
画像: 写真は「ピン ヴォルト2.0」

写真は「ピン ヴォルト2.0」

「利き目」と相性の合わないネック形状を使っていると、実はフェースが「かぶったり」、「開いたり」していても、それに気づきにくいという。ただ、それでも、きちんと狙ったところに打てることも多いのはなぜか。

伊東 人間の脳というのはスーパーコンピューター並みの処理能力があるので、フェースアライメントの間違いに敏感に気づいて、瞬時にストロークを調節して『合わせて』しまいます。ただし、それによってアライメントが狂っていることになかなか気づけないという弊害もあります。

画像4: 「利き目が左」はオフセット、「利き目が右」はストレートネックが合う

フェースを開くクセがあると肩を止めて手を返す(写真左)
フェースが開いていても、脳が迅速に命令を下し、わざと引っかけるような打ち方をして、結果的に真っすぐ打ててしまう。打ち方に特定のクセがある場合、アライメントの影響であることも考えられる

フェースが被っていると手首を固めて押し出すクセがつく(写真右)
自分では気づかずに、フェースがかぶってしまっている場合、脳がそれを察知して、わざと右に押し出すような打ち方をして調節してしまう。そのため、アライメントが狂っていることに気づきにくい

伊東 ヘッドにつけられている『サイトライン』(直線やドットなど、正しいアドレスをアシストする目印)によって、かなり見え方が変わってきます。真っすぐ構えられるパターと同じ形状でも、サイトラインのデザインが違うと、真っすぐ構えられなくなることがあるので注意が必要です。

意外なことにピン型やマレット型など、ヘッド形状の違いは『見え方』に影響することは少ないと伊東プロ。「そこは好みで選んでいいと思います」という。

利き目によって適正ボール位置は違う

【利き目が右→ボールは中央寄り】
誰でも「利き目」で見やすい位置にボールを置く傾向があるため、「利き目が右」の人は右足寄りのボール位置になりやすい。

画像1: 利き目によって適正ボール位置は違う

【利き目が左→ボールは左足寄り】
「利き目が左」の場合も、利き目側に近いところにボールを置いたほうが見やすくなるので、ボール位置は左足寄りになりやすい。

画像2: 利き目によって適正ボール位置は違う

真っすぐ構える「3つの手順」

【手順1】距離は1メートル、何も考えずカップに向かう

1メートルくらいの「上りの真っすぐ」のラインを探しボールをセットしたら、ただフェースを真っすぐカップに向けることだけ考えてセットアップする。その後、フェースが本当にカップを向いているかどうか、後方から確認する。

【手順2】「真っすぐ」構えられるネック形状を探す

手順1でフェースがカップに真っすぐ向いていなかった場合は、別のネック形状のパターを使って、同じ手順を繰り返す。最終的に真っすぐ構えられるものが見つかったら、それが自分にとっていちばん合っている形状ということ。

画像1: 真っすぐ構える「3つの手順」

【手順3】最後にボールとの距離を微調整

自分にマッチしたネック形状のパターが見つかったら、そのパターで、より真っすぐ「見えやすい」アドレスの仕方を模索する。とくに気にしたいのが、ボールと体との距離。「ボールが目の真下」を基準に、真っすぐに見えるベストの距離を探す。

画像2: 真っすぐ構える「3つの手順」

3つの手順はショップのパターコーナーでもできるのでチェックしてみよう。

TEXT / Daisei Sugawara PHOTO/ Norio Tsuburaoka

週刊GD2019年4月16日号より

画像3: 真っすぐ構える「3つの手順」

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