ローリー・マキロイ(Roly Mclloy)
1989年生まれ、北アイルランド出身。今季の成績、世界ランク3位、賞金ランク1位、優勝回数1回、トップ10入り7回と絶好調。
下半身の減速がスピードを生む
まず、❺に注目してください。トップからダウンへ切り返し、両ひざがアドレスの位置に戻っていますが、この直前に上半身と下半身の捻転差は最大になっています。次に、❻を見ると、両ひざの位置はあまり変わらないのに、胸が目標方向に大きく回転しています。
これは上半身に対して下半身の減速度が高い証拠です。この下半身の減速によって、捻転差は急激にリリースされ、そのエネルギーがスピードに変換されます。この捻転差のリリースの強さこそがマキロイの飛距離の源なのです。
そして、この下半身の減速を実現しているのが、右脚のエクステンション(蹴って伸ばす動き)です。❺から❼にかけて、右ひざを伸ばし、力を上に使うことによって、下半身の回転にブレーキをか
けて捻転差をリリースし、クラブの最大スピードを引き出しているのです。
クラブの加速を抑えて目標を狙い撃つ
次に、飛距離よりも方向性を重視して目標を狙い撃つ、ショートアイアンのコントロールショットを見てみましょう。
基本的に、ボールを狙ったところに運ぶためにはクラブの加速を抑え、体がクラブに振られる動きを減らす必要があります。アイアン(写真下)のフルスウィング(高さを出して球を止めにいくドライバー並みに振り切っている)と比べると、その違いがよくわかると思います。
たとえば、ウェッジのショットはインパクト以降、みぞおち、手元、ヘッドの関係がほとんど変わっていません。また、明らかにクラブを振り抜いていく方向が違います(ウェッジはフォローで、クラ
ブと肩甲骨のラインが平行になっている)。
これはクラブの加速を抑え、体の回転を重視した結果です。フォローにおけるリストワークが抑えられているところにも注目してください。これらはすべて、ボールを運ぼうとする意志の表れ。ライン(方向性)を出していくときの、典型的な動きと言えるでしょう。
【解説】石井忍
いしいしのぶ。プロコーチ。現在、薗田峻輔、安田彩乃らのコーチを務める。小誌にて『考えないショートゲーム』連載中。
PHOTO/Tadashi Anezaki
週刊GD2019年4月30日号より