【解説/吉田洋一郎プロ(2019レッスン・オブ・ザ・イヤー)】
Dr.クォンとの「反力打法」で、2019年のレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞。最新理論の探究に余念がないゴルフスウィング研究家。
「つねに300ヤード」のドライバーショット
今回、マスターズを見て改めて感じたことは、やはり「ある程度の飛距離がないと戦えない」ということです。当たり前と思われるかもしれませんが、「飛距離」が、今までよりも世界で戦う上で重要なポイントになってきています。(吉田)
「ある程度」とは、具体的には300ヤード。一発ではなく、あくまでも平均で300ヤード飛ばないと戦えません。それが世界のゴルフのスタンダードと言えるでしょう。まずそこに、日本と世界には大きな差があると感じました。
松山英樹選手は予選の2日間からドライバーショットが不安定だったのが残念でした。初日のドライビングディスタンスは9位とよかったのですが、予選2日間で見ると25位と本来の実力を発揮できていません。
調子がよければ普通に300ヤード以上飛ばしていける選手ですから、そのあたりが非常にもったいなかったですね。小平智選手は、一緒に回ってたのが飛ばし屋のバッバ・ワトソンだったので、一概に比較はできませんが、ドライバーだけでいうと30ヤード近く置いていかれていました。
小平選手はショット力があるのでPGAツアーで戦えるとはいえ、7番アイアンで打つところを、かたやPWで打たれたらさすがに精度の差が出てきてしまいます。バッバとの予選2日間で、それが顕著に感じられました。
世界のトップクラスは平均310ヤード超え!
ドライビングディスタンストップ10
1位トニー・フィナウ 318.25Y
2位デボン・ブリング(アマ)316.25Y
3位ルーカス・ビェルレガード 316.00Y
4位ジャスティン・ローズ 312.25Y
5位ローリー・マキロイ 311.75Y
6位アダム・スコット 310.75Y
7位ゲーリー・ウッドランド 310.25Y
8位ブランデン・グレース 310.00Y
9位ジャスティン・トーマス 309.50Y
10位ブルックス・ケプカ 309.00Y
※予選2日間でのデータ
日本ツアーの賞金王、今平周吾選手は飛ばしにいって失敗した
今平選手本人も飛距離の差を痛感した様子でしたが、それ以外の部分で技術は高いのに、予選落ちとなってしまったのは、それだけ「平均300ヤード」が世界のスタンダードだということの証明でもあると思います。
「相手が自分より飛ぶので、置いていかれないように初日は振りました。普段あまりやらないことなので、精度が悪く2打目をいいところから打つことができませんでした。反省を生かし、2日目は方向性を重視してスウィングしました。結果、フェアウェイから打つ回数は増えましたが、2打目の距離が残ってしまい、難しいショットが続くことになってしまいました。やはり、もう少し飛距離が出ないと厳しいなと感じました」(今平)
金谷拓実選手はアマチュアながら見事に予選を突破しました。まだまだ発展途上のスウィングですが、伸びしろがたくさんあります。日本では飛ばないほうではありませんが、今後はさらなる飛距離アップが課題となるでしょう。
②調子の波へ続く
週刊GD2019年4月30日号より
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