ヘッドスピードによって変わる「適正なクラブMOI」
通常「慣性モーメント」というと、ヘッド単体の回転のしにくさを指すことが多いが、クラブ慣性モーメント(クラブMOI)とは、クラブを動かすために必要な力を数値化しものだ。当然、非力な人、体力がある人などで、適した数値は変わってくる。
往年のプロたちは、クラブMOIを計測できない時代に、ヘッドに鉛を貼ったり、グリップを重くしたり、さまざまな方法で『振りやすさ』を追求していたが、今は、クラブMOIを計測できる機械がある。振りやすさが数値化されたことで、ぴったり合ったクラブを選ぶことができるのだ。
クラブMOIの目安とは?
週刊ゴルフダイジェスト誌の連載「ギアログ」でおなじみのクラブ設計家・松尾好員氏は、
「クラブMOIは数値が小さいほど、振りやすいといわれますが、長年の研究により、それぞれのヘッドスピード(パワー)領域で、最適な数値があると考えています。これは単に振りやすいということではなく、クラブMOIが合えば、タイミングよく振りやすい、つまりミスショットが少なくなり、飛距離と方向性のバランスが整う、トータルドライビングに優れたクラブとなるのです」と語る。
自分にあったクラブMOIの選び方について聞くと、
「クラブMOIは長さと重さによって決まりますが、最近のドライバーは長さによる影響が大きく出ている印象もあります」と言いながら、松尾氏は下図の数値を教えてくれた、プレーヤー別の最適なクラブMOI値と、最近のドライバーのクラブMOI値だ。クラブ選びの参考にしてみてはいかがだろう。
ヘッドスピード | 最適なクラブMOI | |
---|---|---|
男子プロ | 49m/s以上 | 297万g㎠以上 |
上級者 | 46m/s | 292万g㎠ |
女子プロ | 43m/s | 287万g㎠ |
一般男性 | 40m/s | 282万g㎠ |
男性シニア | 37m/s | 277万g㎠ |
一般女性 | 34m/s | 272万g㎠ |
女性シニア | 31m/s | 267万g㎠ |
最近のドライバーは、クラブMOIが大き目
M5(テーラーメイド)
クラブMO:295万g㎠
クラブ長さ:45.375インチ
クラブ重量:310g
シャフト:クロカゲTM5(S)
G410 PLUS(ピン)
クラブMO:291万g㎠
クラブ長さ:45.25インチ
クラブ重量:314g
シャフト:ALTA J CB RED(R)
スリクソン Z785(ダンロップ)
クラブMO:290万g㎠
クラブ長さ:45.375インチ
クラブ重量:303g
シャフト:ミヤザキマハナ(S)
2019年7月5日発売予定
TS1ドライバー(タイトリスト)
クラブMO:284万g㎠
クラブ長さ:45.625インチ
クラブ重量:275.7g
エピックフラッシュ スター(キャロウェイ)
クラブMO:287万g㎠
クラブ長さ:45.5インチ
クラブ重量:291g
シャフト:スピードエボリューションfor CW(S)
ファイズ(ブリヂストン)
クラブMO:277万g㎠
クラブ長さ:45.625インチ
クラブ重量:270g
シャフト:オリジナルPZ-409W(R)
最近のドライバーは、飛距離が求められるため昔よりも長くなっている。短く握ればクラブMOIも小さくなるので、振りやすさが大幅にアップすることがある。ぜひお試しを。
週刊GD2019年7月2日号より
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