アドレスやストロークを見直しても、ツアーで人気の最新パターに持ち替えても、今日もパットが入らなかった……。お手上げ状態のあなたは、眼の付けどころが違うのかも!?

画像: 【解説】阪上勝基さん 尼崎市内にある「メガネのアマガン」に勤務する眼と眼鏡の専門家。スポーツ用メガネやサングラスなどに詳しく、アスリートもサポートしている

【解説】阪上勝基さん
尼崎市内にある「メガネのアマガン」に勤務する眼と眼鏡の専門家。スポーツ用メガネやサングラスなどに詳しく、アスリートもサポートしている

画像: 【解説】田村哲也さん 株式会社ビジョナップ代表取締役。野球やサッカーなど、多くのプロチームも採用した眼の機能を向上させるトレーニング用メガネ「Visionup®」を開発・販売

【解説】田村哲也さん
株式会社ビジョナップ代表取締役。野球やサッカーなど、多くのプロチームも採用した眼の機能を向上させるトレーニング用メガネ「Visionup®」を開発・販売

視力は40代から急激に低下する

── パッティングの不調に悩むゴルファーは、その原因に「視力」を疑ってみる必要がありそうだ。そもそも、視力はどう衰えるのか。関西の有名店「メガネのアマガン」の阪上勝基さんに聞いてみた。

阪上 個人差はありますが、視力は5〜6歳からだいたい20歳くらいまでの間に発達・向上します。ところが、それ以降は発達が止まり、ゆるやかに下降、または横ばいの人がほとんどです。その後、多くの人が40代以降で急激に視力を落とし、50歳を過ぎるとより落ち方がスピードアップする。いわゆる『老眼』は、この過程のなかにあるものと言えます。

画像: “見る力”は就学年齢の時期に急発達し、20 歳前後でピークに。その後、加齢とともにゆるやかに低下し、40 代から急激に衰えていく

“見る力”は就学年齢の時期に急発達し、20 歳前後でピークに。その後、加齢とともにゆるやかに低下し、40 代から急激に衰えていく

── 老眼は加齢とともに避けられない現象だが、ゴルフでは老眼が問題なのではないという。

阪上 じつは老眼は、ゴルフではあまり大きな影響はありません。アドレスでボールを見る場合、ボールとの距離は、1メートル以上ありますから、老眼は関係ありません。しかし加齢により、カメラでいえばフォーカスや絞りを調節する機能が衰えるので、距離感やライン読みに影響します。

── 視機能の衰えは加齢により避けられない現象とはいえ、ゴルフへの影響は最小限にとどめたい。一体、どんな手を打てばよいのだろう。

阪上 ゴルフでよく使う眼の機能は、おもに2つあります。遠近感や立体感を動きながら識別する『深視力』と、目標をとらえ、その周辺にあるものを認知して距離感や目標までの目測を正確に把握しようとする『周辺視力』です。複数ある視機能のうち、この2つに狂いが生じると、パッティングの距離感が合わなくなります。

画像: 視力は40代から急激に低下する

阪上 また、乱視が進んだり近眼になったりと、視力低下に悩む中年の方は多いのですが、『深視力』は左右両方の眼で情報を識別しようとする機能でもあるため、どちらかの眼に狂いが生じると、明るさの調節が弱くなり、立体感を認知する機能が弱まるという影響が出てきます。パットのラインや傾斜が読みにくくなる『見えにくさ』は、『深視力』の低下が原因と考えられます。

── 視力の低下は誰もが避けられない現象とはいえ、少しでもゴルフへの影響を抑えたいもの。何か推奨するものはないでしょうか。

阪上 ゴルフ場ではサングラスをすることをおすすめします。眼を保護するとともに、偏光レンズのサングラスは、過度な明るさによって『見え方』に狂いが生じるのを防げるからです。また、偏光レンズを使用することで、ものの輪郭がはっきり見えるようになりますから、ラインが読みやすくなります。つまり、眼の衰えをサングラスがカバーしてくれるのです。

ラウンド中に感じる“衰え”サイン日なたに出て「クラッ」ときたら……

画像: 「林の中からフェアウェイに出たときにまぶしく感じたり、クラッと立ち眩みしたりするのは、眼が日陰と日なたの光量差についていけずに起こるものと考えられます」(阪上さん)

「林の中からフェアウェイに出たときにまぶしく感じたり、クラッと立ち眩みしたりするのは、眼が日陰と日なたの光量差についていけずに起こるものと考えられます」(阪上さん)

── サングラスを嫌う人も多少いるようですが、そんなゴルファー向きのメガネもあるとか。

阪上 サングラスはどうも苦手という方には、色つきの『染色メガネ・染色レンズ』もあります。赤や茶色系統の色を入れたレンズにもサングラスと同じように、外からの光や眼のストレスにつながるものを緩和できる『紫外線カット』効果があります。
 
── 視力機能の向上にまつわる研究や商品開発に携わっている株式会社ビジョナップ・代表取締役の田村哲也さんは、阪上さんと同様に、ゴルフに重要な視機能に『深視力』を挙げるとともに『瞬間視』の機能も挙げた。

ゴルフで主な視機能

深視力
遠近感や立体感を判断する能力。人は左右両目を使ってものを見るが、どちらかの視力が落ちたりすると、深視力が低下しやすい

周辺視力
中心を見ると同時に周りの状況を把握・識別する能力。距離の目測や方向性の判断力、スウィングのバランス維持にも影響する

田村 止まっているものを打つゴルフは、目標物を最後まで注視することが求められる競技です。そこでは距離感を正確にとらえる『深視力』とともに、短い時間で多くの情報を得る『瞬間視』の眼の能力も大事になってきます。

── スコアを大きく左右するシーンに、この『瞬間視』が大きく関係しているという。

「眼筋」の衰えが脳への やすい情報伝達を遅らせる
「人は行動を起こすための情報の8割を視覚から得ています。情報を吸収する『情報伝達能力』と、それに反応する『情報処理能力』をつかさどる場所が脳。視力の衰えは、脳の能力が量的、速度的にも衰えることなのです」(田村さん)

眼筋を鍛える! 3日に1回のジャグリングで眼の衰えを防げます

── ゴルフのプレーと『瞬間視』との関係を田村さんが解説する。

田村 比較的近い距離のパッティング時に、カップが視界に入っているがゆえに、頭が動いてしまいボールを引っかけてしまうのは『瞬間視』が影響しています。止まっているボールを打つのに、本来は人の眼の『中心視』はボールに集中するのですが、カップなど『周辺視』の距離感覚があいまいになっていると、体が反射的にその不十分な要素を補おうとする。それがヘッドアップとなって動作に表れるのです。

── それでも「対策はある」と田村さん。眼筋を鍛えれば、そんなミスも防止できるというのだ。

田村 眼を鍛えて『瞬間視』の能力を鍛えるということは、情報伝達能力や処理能力を高めることでもあり、脳を活性化させることでもあるのです。

── それでは「瞬間視」トレーニングの方法を具体的に教えてもらえませんか。

田村 瞬間視・周辺視に刺激を送るという意味で、お手玉、ジャグリングは有効です。最初は2つでも続けるのが難しい人もいると思いますが、確実に眼筋に刺激を送ることができます。

画像: ジャグリングは効果的

ジャグリングは効果的

── ゴルフボールを使っても同じ効果が得られるというから、誰でも気軽に取り組める。

田村 最初は確実に続く(キャッチできる)距離から始めて、徐々に玉を上げる高さを上げていったり、玉の数を増やすことによって、眼球への負荷を高めていくことができます。一連の動作で主に使っているのは『眼』ですが、その眼を介して脳が精力的に『情報伝達』と『情報処理』を繰り返し、その結果、眼筋そのものが鍛えられるのです。

── ジャグリングは2〜3日に1回、週2回程度で十分。やりすぎはかえって逆効果になるという。

田村 なぜ逆効果かというと、『眼筋を鍛える』作業には眼の筋力を使うためです。眼の筋肉も、完全に蘇生するためには、下半身の筋肉と同程度の時間が必要になります。若い人でも2日に1回、それ以外の方なら3日に1回程度。1日10~15分程度が最適です。時間についても、眼の筋肉を使う作業なので、それ以上の時間やっても効果は同じか、逆効果になってしまいます。

── お手玉で眼筋を鍛えて、苦手だったパットを手玉に取れるわけだ。

眼を鍛えるトレーニング用メガネもあるぞ「ビジョナップ®」

レンズ内に体に影響のない特殊な光を発することで、意図的に目標を見えにくくし、眼球を強化するトレーニング用メガネ。写真は「Athlete VA11(4万5360円税込み)」

画像: 眼筋を鍛える! 3日に1回のジャグリングで眼の衰えを防げます

TEXT/Toshiaki Muraki

週刊GD2019年7月23日号より

This article is a sponsored article by
''.