小祝さくら
1998年生まれ。北海道出身。黄金世代を代表するひとり。昨年はトップ10に13回入るも未勝利。今季サマンサタバサレディースで初優勝を果たす
フェースをオープンに使う
ややオープンフェース、アップライトなトップから打つ高いドローボールが武器
タテ振りするため、トップでは左手甲、左肩、ボールが一直線に並び、この面とフェースが揃うように意識している。そうすることでダウンでシャフトが寝る動きが押させられ、入射角度が安定するという
D・ジョンソンやJ・ラームなど、近年はフェースをシャットに使う選手が増えてきました。しかし、パワーのない女子がフェースをシャットに使うと、飛距離は出しやすいものの、球に角度がつかず、スピン不足で球がつかまりにくくなてしまいます。
そこで彼女はフェースをオープンに使うことで球の高さを確保し、強く踏み込むことでパワーを引き出しているのです。
ダウンで左斜め下45度で踏み込み、両ひざと腰がターゲットラインと平行になったポジション(写真5枚目)で、重心がもっとも低くなっているところに注目してください。
この重心の低さによって低く長いインパクトゾーンが実現され、そこから前傾角度を保ったまま地面を蹴り、パワーとスピードを引き出しているのです。
ねじれないから、曲がりが少ない
バックスウィングでフェースをオープンに使うと、インパクトゾーンではそれを閉じる動きつまり、ある程度のフェースローテーションが必要になります。そして、一般的にはこのフェースローテーションが大きくなるほど方向性にバラつきが出やすいと考えられています。
しかし、彼女の場合、入射角度、スウィングプレーン、打点が安定しているため、サイドスピンが少なく、球がねじれません。ミスして曲がったとしても、その幅はたかが知れているのです。
ダウンからフォローの動きをみると、左ひざが正面を向いたまま、胸が地面に向き、顔の向きが変わらないのが分かると思います。この不動の左ひざと上半身が安定したインパクトゾーンを支えていると言えるでしょう。
さらに、さくらの最大の強みは常に同じタイミングで打てることにあります。
本人が「私、あまり緊張したことがないんです」と言うように、プレッシャーのかかった場面でもタイミングがズレにくく、スウィングの再現性が高いのです。
そのため調子がよくなると、ずっと同じ球が打てて、ピンを指し続ける。初優勝を遂げたサマンサレディース最終日のバック9は、まさにそのような状態でした。今季はずっと調子がいいので、後半戦にも期待ができそうです。
左ひざと顔の向きが変わらない
ダウンからフォローにかけて、左ひざが正面を向いたまま。顔の向きが変わらないところに注目。この動きが安定したインパクトゾーンを作っている
週刊GD2019年9月10日号より