砲台グリーンはピンの根本が見えないぶん距離感が合わせづらく、ショートしやすい。ましてや冬は芝が枯れ、グリーンも止まりづらいためより一層難しくなる。そんな冬の難しい砲台グリーンの攻略法を大西翔太プロが教えてくれた! 誰でも簡単に寄せられる打ち方ですよ!
画像: 【解説】大西翔太 おおにししょうた。1992年生まれ千葉県出身。青木瀬令奈のコーチ兼キャディ。“おばさまキラー”の地位の確立を目指し、日々研究を重ねる

【解説】大西翔太
おおにししょうた。1992年生まれ千葉県出身。青木瀬令奈のコーチ兼キャディ。“おばさまキラー”の地位の確立を目指し、日々研究を重ねる

【狙い方】SWの“ライン出し”がうまくいく

── 冬の砲台グリーンのアプローチが苦手です。少しでもショートしたらコロコロと戻ってきてしまいますよね。

大西 確かに難しい状況です。どうやって打っていますか?

── 打ち上げなので、SWでフワっと上げてピンを狙います。

大西 上げるアプローチは危険です! ロフトを寝かせて打つためダルマ落としになってショートしやすいんです。僕のオススメはSWでライン出しショット。距離感も方向性もよくなりますよ。

画像: SWで球を上げようとすると、ロフトを寝かせて打つため、ダルマ落としになってショートしやすい。一方、ライン出しはロフトを立ててインパクトするため、イメージどおりの距離を打ちやすい

SWで球を上げようとすると、ロフトを寝かせて打つため、ダルマ落としになってショートしやすい。一方、ライン出しはロフトを立ててインパクトするため、イメージどおりの距離を打ちやすい

── ライン出しですか⁉ それってロフトを立てるってことですよね? 球が上がらなくなって斜面にぶつかりそうな気がするんですが……。

大西 そのためのSWなんですよ。一番ロフト角が大きいクラブなので、フェースを立ててインパクトしても、ある程度、球が上がってくれます。それに、SWならバウンスが効きやすいので、ザックリの心配もありません。

【メリット①】入射角がゆるやかになる

ヘッドが低く動くのもライン出しショットのメリット。入射角がゆるやかになるので、冬の枯れた芝でも刃が刺さりにくくなり、しっかりソールが滑ってくれる。

【メリット②】スピンが入りやすい

ボールを押していくイメージなので、ボールがフェースに乗る時間が長くなってスピンがかかりやすい。冬の硬いグリーンでもしっかり止まるボールになる。

画像1: 【狙い方】SWの“ライン出し”がうまくいく

【メリット③】距離と方向性が定まる

方向性を重視した打ち方がライン出しショット。出球が安定して球筋が左右にブレにくく、狙った方向にボールを運べる。距離感も合わせやすいため、ピンに絡みやすい。

画像2: 【狙い方】SWの“ライン出し”がうまくいく
画像: 大西コーチ

大西コーチ

SWのライン出しって何?
「ボールは低くなりますがしっかりとスピンのかかる球になります」

【狙い目ワンポイント】ピンフラッグを目標にしましょう

砲台グリーンでピンの根元をターゲットにすると、イメージどおりに打ててもワンピンぶん、ショートすることになる。ピンの根元が見えない状況では、ピンフラッグを狙うと距離感が合いやすくなる。

画像: 【狙い目ワンポイント】ピンフラッグを目標にしましょう

【ヘッドの動き】入射角をできるだけゆるやかに!

── SWのライン出しは、ロフトを立ててもザックリしない! と大西コーチは言うが、刃が刺さりそうと思う人もいるのでは? 

大西 手先を使ってアプローチしたらダメ。腕の三角形を崩さずに体を回してスウィングすれば絶対にダフりません!

画像: 両わきを締め、腕の三角形を崩さずに体をしっかり回そう。ヘッドが低い位置から低い位置に抜けて入射角がゆるやかに。ロフトを立ててスウィングしても、ザックリしなくなる

両わきを締め、腕の三角形を崩さずに体をしっかり回そう。ヘッドが低い位置から低い位置に抜けて入射角がゆるやかに。ロフトを立ててスウィングしても、ザックリしなくなる

両腕の三角形を壊さずに、ヨコから打つイメージ

画像: 両腕の三角形を壊さずに、ヨコから打つイメージ

【三角形をキープする方法①】足の裏で地面を踏む

三角形をキープして体を回転させるときは、足の裏でしっかり地面をつかんでおくことが大切。体の軸がブレなくなりヘッド軌道が安定する。

画像: 大地をギュッと踏みしめて!

大地をギュッと踏みしめて!

【三角形をキープする方法②】胸を開くように回す

バックスウィングは右の肩甲骨を動かして胸を回し、ダウンスウィングは左の肩甲骨を意識して胸を回す。胸を開くように使うと、体をしっかり回すことができる。

画像: 胸が回ると軸がブレない。軸ができると三角形が崩れない

胸が回ると軸がブレない。軸ができると三角形が崩れない

【フェースの動き】インに引かず真っすぐ上げる

冬の砲台グリーンではSWのライン出しが最適であること教えてくれた大西プロだが、ライン出しはフェース面の向きがとくに大切だと言う。

大西 フェース面をボールに向けたままクラブを上げるんです。ヘッドが体から離れていくようなイメージですね。フェースの開閉をさせないように、低く真っすぐ動かしてください。

画像: フェースがボールを見続けるようにクラブを上げる。フェース面の向きを変えずにクラブを上げると、ヘッドを真っすぐ低く動かすことができ、入射角がゆるやかになる

フェースがボールを見続けるようにクラブを上げる。フェース面の向きを変えずにクラブを上げると、ヘッドを真っすぐ低く動かすことができ、入射角がゆるやかになる

画像: フェースをローテーションさせるとフェース面の向きが不安定になり、方向性がバラつく。打点が狂ってダフリやトップが出るので要注意

フェースをローテーションさせるとフェース面の向きが不安定になり、方向性がバラつく。打点が狂ってダフリやトップが出るので要注意

【ヘッド軌道】フォローで左手甲を目標に向ける

大西 ダウンスウィング以降もフェース面を変えずにヘッドを動かすことがライン出しショットのポイントです。

── 腕の三角形はキープ! ですよね。

大西 そうです。腕の三角形をキープしながら左手の甲を目標に向けて出してください。ヘッドを真っすぐ動かしやすくなるし、ロフトを立ててインパクトできますよ。

画像: 腕の三角形をキープしたまま、左手の甲を目標に向ける。すると、フェース面の向きが変わらずに目標に向かって真っすぐヘッドが動かせるので、ボールの左右のバラつきが抑えられる

腕の三角形をキープしたまま、左手の甲を目標に向ける。すると、フェース面の向きが変わらずに目標に向かって真っすぐヘッドが動かせるので、ボールの左右のバラつきが抑えられる

──  実際にやってみると、フォローで手元がインに入ってくる感覚になります。これで合っていますか?

大西 腕を使わず、体を回転させて振っているので、そのイメージでOKです。ポイントは肩を縦に回してフォローを出すこと。

大西 ヘッド軌道が直線的になって球を押しやすくなります。それに、左のほほに壁があるイメージを持つと、体の軸がブレずに軌道が安定します。

【ポイント①】左ほほに壁があるイメージ

左のほほに壁をイメージするだけで体の軸がブレなくなり、軌道が安定する。体が突っ込むことが抑えられるので、フォローで真っすぐヘッドを動かしやすくなる。

画像1: 【ヘッド軌道】フォローで左手甲を目標に向ける

【ポイント②】肩を縦に動かす

肩は横ではなく、縦に回転させよう。ヘッド軌道が直線的になりインパクトゾーンでのヘッドの動きがより安定する。肩を横に動かすと、イントゥインのヘッド軌道になり、インパクトが点になりやすい。

画像2: 【ヘッド軌道】フォローで左手甲を目標に向ける
画像: バックスウィングではフェース面の向きを変えないように真っすぐクラブを上げることで、入射角がゆるやかになりヘッドが低い位置をとおる。ボールを押すイメージを持って左手甲を目標に向けて振っていこう

バックスウィングではフェース面の向きを変えないように真っすぐクラブを上げることで、入射角がゆるやかになりヘッドが低い位置をとおる。ボールを押すイメージを持って左手甲を目標に向けて振っていこう

【アプローチドリル】ボール運び練習

軌道が真っすぐになっているか確認するには、「ボール運び練習」が効果的。アドレスしたら目標方向に腰を回してインパクトの形をつくる。その状態から球を押して前に飛ばすことができればOK。軌道がずれるとボールは飛ばない。

画像: 【アプローチドリル】ボール運び練習

【傾斜ラフ】冬の枯芝ならパターもあり

大西 SWのライン出しを解説してきましたが、冬の砲台で距離が近いならばパターでアプローチするのもありです。

── え!? 距離感が合わない気がするのですが……。

大西 枯芝は芝の抵抗が少ないので、ボールが転がりやすい。ピンまで10 メートルくらいならパターのほうが確実ですね。

画像1: 【傾斜ラフ】冬の枯芝ならパターもあり

── でも、それならアイアンで転がしてもいいのでは。

大西 もちろんアイアンでもOKですが、練習しておかないと距離感がつかめませんよね。いつも使っているパターなら、イメージが出やすくミスする確率が低くなりますよ。

【ポイント①】払い打ちのイメージ

ストロークは振り子のイメージ。インパクトでヘッドを止めず、芝の上を滑らせるように払い打つと転がりがよくなる。

画像2: 【傾斜ラフ】冬の枯芝ならパターもあり

【ポイント②】大股で傾斜なりに構える

傾斜地からパターを使うときはスタンスを広めにとって土台を安定させ、肩のラインを傾斜と平行になるようにセットしよう。傾斜に逆らって立つと、フォローでヘッドが抜けなくなる。

画像3: 【傾斜ラフ】冬の枯芝ならパターもあり

PHOTO/Hiroaki Arihara、TEXT/Yusuke Ozawa

週刊GD2020年1月24日号より

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