このルーティンには、「常に同じ手順を踏んでショットに入ることで、動作をスムーズにするとともに、緊張感を解き、集中力を高め、いつもどおりのプレーをしやすくする効果がある」と言うのは中井学プロ。今回、そのルーティンから見える選手の心理を読み解きながら、プレーの参考になるポイントを解説していきます。
プレショットルーティンを調査したのは、2019年の女子ツアー最終戦リコーカップ。出場32人をチェックしました。
プレショットルーティンのタイプは2つに分かれる
ルーティンには、大きく分けて2つのタイプがあります。ひとつは「出球のライン&スパット」を重視するタイプ。もうひとつは、「球筋&弾道」を重視するタイプです。
【出球&スパット派】
打ち出していくラインやスパット(ボールの先の目標)を確認する動作が多く、目標を確認するときの目線が低い。
【球筋&弾道派】
飛んでいく球筋、弾道をイメージするため、全体的に目線が高く、目標を確認するときの顔の上げ方が大き。
スパットタイプは目線が低く、弾道タイプは目線が高まる
出球&スパットタイプは、打ち出していくラインを大事にするため、飛球線後方で素振りをする、クラブをかざしてラインを確認する、アドレスに入るときにスパットから目を離さない、出球のライン
を目でなぞる(目線が低い)、などの仕草を見せます。
これに対し、球筋&弾道タイプは、それをイメージするために、ボックス(アドレスのポジション)で素振りをする、飛球線後方に立ってもクラブをかざさない、弾道を目で追う(目線が高い)などの
仕草を見せるのです。
このように、ルーティンの動作にはプレーヤーの心理が表れます。ルーティンは、常に同じ手順で行うことも大切ですが、目的に合わせた動作を行うことが重要です。
プロのルーティンを参考にするときには、自分の感性や目的に合ったものを採り入れるとよいでしょう。
原英莉花、柏原明日架が「出球&スパット」派
柏原明日架
出球&スパットを重視するタイプは、目標を確認するときの目線が低い。
三ヶ島かな
アドレスに入ってからスパットを数回確認する仕草が見られた。
テレサ・ルー
打ち出しを重視するため、目線を低くしたままセットアップに入っている。
原英莉花
遠くの目標から近くの目標に目線を移すのは、出球やスパットを大切にしている証拠。
渋野日向子、上田桃子は目線が高く遠い「球筋&弾道」派
渋野日向子
球筋&弾道を重視するタイプは、目標を確認するときの目線が高い。
上田桃子
上田選手のように球を曲げて(ドローで)攻める選手には、球筋&弾道派が多い。
イ・チヒ
意識が常に遠くにある典型的な球筋&弾道派のルーティン。
イ・ボミ
目標を見るときの目線が常に高い(低いところはあまり見ない)。
50%以上の選手が飛球線後方でクラブをかざす
飛球線後方でクラブをかざすのは、出球やラインを重視しているか、ストレートボールで戦略を立てている証拠。
【かざす派】
32人中17人
鈴木など
【かざさない派】
32人中15人
シン・ジエなど
これはヘッドスピードが速く、球を曲げて攻める男子プロにはほとんど見られない仕草で、球が曲がりにくい女子ならではの傾向と言えそう。女子でも、飛ばし屋や球を曲げて攻める選手には、クラブをかざさない人が多いようだ。
ショット前の素振りには3種類あるに続く
PHOTO/Hiroyuki Okazawa
週刊GD2020年1月28日号より
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