ピンを狙って弾道を自在に操るプロのようなアイアンショット。野仲茂プロは、構え方やフェースの向き以上に、どう振り抜くかというフォローのイメージが大事だと言うが、その極意とは?
画像: 【解説】野仲茂プロ 1970年生まれ。制度の高いショットと堅実なゴルフを武器に、長くツアーで活躍し、2010年の関西オープンで優勝。横浜CC所属

【解説】野仲茂プロ
1970年生まれ。制度の高いショットと堅実なゴルフを武器に、長くツアーで活躍し、2010年の関西オープンで優勝。横浜CC所属

覚えたい球筋は、「カットショット」、「ドローボール」、「ライン出し」の3つ

画像: フォロースルー、ヘッド軌道の違い

フォロースルー、ヘッド軌道の違い

野仲 最近のクラブやボールは、昔と比べて直進性が高く、大きくボールを曲げにくくなっています。ですので僕も、障害物をよけるような特殊な場合以外は、あまり積極的に球を曲げて狙うことはしません。

野仲 球を曲げる技術は、どちらかというと球の高さやスピン量などを調節し、タテの距離をコントロールする手段として有効なんです。球を止めたいときや、距離の微調整が必要なときなどなど、若干は左右に曲がりますが、ストレート弾道の延長として球を曲げて操る技術があれば、よりシビアなピンを積極的に狙っていけるようになるはずです。

カットショット(ラン少なめ マイナス5ヤード)
左向いてちょっとプッシュのイメージ

画像: カットショットのフォロー。ターゲットよりもかなり左を向いて構え、スタンスとターゲットの中間に振っていくことでプッシュスライス気味の球を打つ

カットショットのフォロー。ターゲットよりもかなり左を向いて構え、スタンスとターゲットの中間に振っていくことでプッシュスライス気味の球を打つ

ショートを防ぐために、カットに振りすぎない

アイアンショットで「曲がる球」はいろいろあるが、実際にコースでいちばん多用するのは「カットショット」だと野仲プロは話す。

野仲 カットショットはフェースを開いてカットに振るフェード系の球。ボールにはスライス回転がかかりますが、その曲がりよりも高めに打ち出してスピン量が増えることが重要で、普通のショットよりも球がグリーンに止まりやすいのが特徴です

そのためバンカーや池越えのピンを狙う場合や、ピン位置がグリーンの手前にある場合などに、ピンをデッドに狙うのに非常に有効だという。

画像1: ショートを防ぐために、カットに振りすぎない

野仲 フェースを開いて球をとらえるため、普通のショットよりも半~1番手飛距離が出ませんし、カットに振りすぎるとさらにショートしやすい打ち方です。しかし、実際に使用する場面は、バンカー越えなどショートしたくない状況がほとんど。そこで目標よりもかなり左を向いて構えて、カット軌道があまり極端にならないよう、少しプッシュスライス気味に打つのがポイントです。こうすればショートしにくい逆球も出にくいので安心なんです。

アドレスのポイント
オープンスタンスで右足内側体重で立つ
ボール位置は少し右寄りにセットし、飛距離が落ちるぶん1番手大きいクラブを持とう

画像2: ショートを防ぐために、カットに振りすぎない

カットショットのポイント①
インパクト後までフェースを返さずハンドファーストで打つ
手首を使ってフェースを返すとヒッカケの危険が大きい。インパクト後までフェースを返さずにハンドファーストでとらえよう。

画像3: ショートを防ぐために、カットに振りすぎない

カットショットのポイント②
右足を内側に倒すように踏む
体の動きを止めずに、下半身主導で回転する。ダウンスウィングからインパクトにかけて、右足を内側に倒すように踏んでいこう。

画像4: ショートを防ぐために、カットに振りすぎない

カットショットのポイント③
やや右軸で回転を止めずに振り抜く
右足内側あたりに軸を意識し、頭の位置を動かさずに回転するイメージ。手をあまり振らず、体の回転と同調させてスウィング。

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ドローボール(ラン多め プラス5ヤード)
フィニッシュで手は左耳の上!

画像: ドローボールのフォロー。インサイド・アウトのアッパー気味に振る。スタンスより右に打ち出そう

ドローボールのフォロー。インサイド・アウトのアッパー気味に振る。スタンスより右に打ち出そう

ひじをたたみながら、高いフィニッシュを作る

スライス系のカットショットが球を止めるときに使うなら、ドロー系の球はどんなときに使うのだろうか。

野仲 ドロー系の球は通常のショットよりも飛距離が出るので、フルショットだとちょっと届かないなというときの距離のちょい足しなどに有効です。上の番手を抑えて打つとゆるみやすいので、下の番手でドローで狙っていくと安全なんです。

またドローボールはランが多めに出るので、グリーン奥のピンに足を使って寄せたいときなどにも有効だという。

画像1: ひじをたたみながら、高いフィニッシュを作る

野仲 僕がフェードヒッターということもありますが、強いフックを打つときのようにターゲットよりも右を向いて右に打ち出すのは動きが極端でミスしやすいので、僕はスタンスラインは目標、スクェアに立ちます。そしてインサイド・アウト軌道で球をつかまえながら、スタンスよりも少し右に打ち出していくのがポイントです。ひじを早めにたたんでフォローを高く振り抜き、手元が左耳の上にくるようなフィニッシュを意識しましょう。

アドレスのポイント
フェースをかぶせてハンドファースト弱め
スタンスはスクェア、ボール位置は真ん中でOK。フェースを少しかぶせてセットし、ハンドファーストが強くならないように構えよう。

画像2: ひじをたたみながら、高いフィニッシュを作る

ドローボールのポイント①
前腕の回旋でフェースを返す
積極的に手を使ってフェースを返し、球をつかまえる。ダウンスウィング、フォローの腕が地面と平行になる位置で左手の親指が上を向くように前腕を回旋して振ろう。

画像: 腕が地面と平行になるときに、左手親指が上を指す

腕が地面と平行になるときに、左手親指が上を指す

ドローボールのポイント②
切り返しでクラブを立てつつ右ひじを落とす
切り返しで右ひじを真下に落とすようにしてクラブをインサイドから下ろす準備をする。このときシャフトが寝ないように注意しよう。

画像3: ひじをたたみながら、高いフィニッシュを作る

ドローボールのポイント③
インパクトで手元が体から少し離れる
アウトサイドに振り抜いていくために、インパクトでは手元が体から少し離れる感覚があってもいい。ただし、フェースが開かないように。

画像4: ひじをたたみながら、高いフィニッシュを作る

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ライン出し(低い球でマイナス10ヤード)
左手甲の"面"の意識が大切

画像: ライン出しのフォローは右ひじが伸びてシャフトが立つ。若干のカット軌道で手首リリースせずに体の回転で球を運ぶ。

ライン出しのフォローは右ひじが伸びてシャフトが立つ。若干のカット軌道で手首リリースせずに体の回転で球を運ぶ。

低スピン低弾道で左右にブレない球

左右に曲げる球の次は、高低のコントロールについて。

野仲 高い球はカットショットでも番手を下げてドローでも応用できるので、僕はあまり特別なことはしませんが、高さを抑えた低い球は、ライン出しなどで多用しますね。

ライン出しとは、高さを抑えたライナー系の球で、方向性を出しやすく左右にブレにくいので、目標を真っすぐに狙いたいときに使うという。

画像1: 低スピン低弾道で左右にブレない球

野仲 肩から肩くらいの振り幅で、手首の動きを抑えて体の回転で運ぶショットです。振り幅が小さいぶん飛距離は1番手くらい落ちますが、高さも低くなりスピンも減ります。同じスウィングを応用し、インパクトを強めないようフィニッシュだけ最後まで振り切れば、アゲンストに負けない高さを抑えたライナーボールになるので便利ですよ

アドレスのポイント
左足体重で立って、ボール位置は左より
ハンドファーストに構えるが、ボール位置は真ん中より左。スタンス、フェースはスクェア。

画像2: 低スピン低弾道で左右にブレない球

ライン出しのポイント①
右手首をキープして右ひじを伸ばす
右手首を甲側に折ったままほどかずに、体の回転と連動させて右腕を押し込んでいく。フォローでは上体の前傾を保ったまま、シャフトが立ち、右ひじが伸びる。

画像: このかたちがフィニッシュ

このかたちがフィニッシュ

ライン出しのポイント②
クラブを短く持って握りの強さを変えない
トップはコンパクトだが体はしっかり回す。切り返しでは力まないように。

画像3: 低スピン低弾道で左右にブレない球

ライン出しのポイント③
左足体重のまま体をしっかり回転
アドレスの左体重をくずさず、左軸のままスウィング。番手を思い切って上げ、ゆるまないようにコンパクトに振り抜こう。

画像4: 低スピン低弾道で左右にブレない球

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