コースをまわりながら、「直感ゴルフの大事さ、楽しさ」について話す2人。ふと、海老原の意外な行動が、奥田の目に留まった。今週の通勤GDは新企画「もう一花のゴルフ」Vol.6。直観力を衰えさせずに鍛える、その行動とは……。
画像: 【通勤GD】海老原清治&奥田靖己 もう一花のゴルフVol.6  打ってから、測る ゴルフダイジェストWEB

海老原清治
千葉生まれ。02年欧州シニアで3勝、賞金王。還暦すぎて飛距離を伸ばす超ベテラン
奥田靖己
大阪生まれ。93年日本OPなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂びを追求する

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

前回のお話

距離感はやっぱり直感
海老さん流レーザー活用術

奥田 こうやって、エビさんとまわらせてもらうと、ゴルフの面白さというものが、ほんまにようわかります。

海老原 いやいや、オクちゃんのゴルフも、いつものことだけど、見ていて楽しいよ。

奥田 さっきのセカンド、打った後でレーザー測定器で距離を測っとったでしょう。普通は、打つ前に測るもんやのに、エビさんは打ってから、測る。

海老原 僕のほうが先に打つ番だから、待たせちゃいけないと思って、打ってから「どんなものかな?」と測ってみたんです。

奥田 なるほどー。自分の距離感が正しいかを測るためにレーザー使っとったんですか。確かに、キャディさんや機械のヘルプも大事かもしれんですけど、やっぱり基本は本人の直感ですよ。パットのラインも、残り距離も。

海老原 本当です。直感を大事にしたほうが、ゴルフは絶対に面白い。測定と計算ばかりじゃ、コースでプレーしているんじゃなくて、ヤーデージブックとプレーしているようになっちゃいますからね。

奥田 それやったら、シミュレーションゴルフで十分ですわ。

海老原 ハハハ。

画像: 海老原プロは、自分の距離感が正しいか、打ってから距離測定

海老原プロは、自分の距離感が正しいか、打ってから距離測定

ジャッジは2秒

奥田 (スコットランドの)セントアンドリュースの近くにあるキングスバーンというコースに行ったときなんですけどね。

海老原 キングスバーンね。いいコースです。

奥田 そのとき、年配のキャディさんがついてくれたんです。ちょっと、そのキャディさんをビックリさせたろうと思って、そのころ出始めたばかりのレーザーで何㍎か測った。そしたら、そのオッサンが怒ってね。「スルーアウェイ! 」って。「ほかれ! (捨てろ)」と言うんです。

海老原 へー。

奥田 「そんなものを持っているから、ゴルフがわからないんだ」って。「6番か、7番か迷って、お前が判断するのがゴルフだろう」と言うんです。

海老原 なるほどね。確かにそうだよね。

奥田 さっきエビさんが打ってからレーザーで測っているのを見て、思い出しました。だいたい、エビさんはカートから降りてボールのところに行くのに、クラブ1本しか持って行かない。ヤーデージブックも見とらんし。レーザーも持っているのに使わんし。それでも、ちゃんと距離は合っとる。

海老原 昔、我孫子に飯塚と言うプロがいてね。200㍎と150㍎の木の目印を間違えて、200㍎なのに、8番アイアンで打った。試合中です。そしたら、あとピン手前の20㍎というところまで行ったの。ということは、180㍎飛んだっていうことだよね。

奥田 自分がそう思って打てば、それなりに行ってくれるということですね。

海老原 そうそう。自分が「これだ!」と思って、その気になったら、近くまで飛んでったというのが、ゴルフの不思議で面白いところ。クラブ2本持ってボールのところへ行って構えて、「これは行きそうもないな」とか「これだったら行きそうだな」とか、そういうのを大事にしたい。「何㍎だったら何番」じゃなくてね。

奥田 そういうジャッジは、エビさんなら、風とか、打ち上げ、打ち下ろしの状況判断も含めて、2秒ぐらいでしょう(笑)。

海老原 まあ、それぐらいですね。今のプロトーナメントでは持ち時間がありすぎだよね。

奥田 プロがスロープレーだから、アマチュアもそうなっとるような気がしますね。

ラインはグリーンに
上がる前に見ておく

海老原 ハーフで2時間15分か20分ぐらいでしょ。あれを1時間50分ぐらいにしないとダメです。そうすればアマチュアの人も速くなります。

奥田 間違いないですね。

海老原 グリーンに着いてからラインを読み始めるでしょ。あれがダメなんです。遠くからグリーンの大きな傾斜を見ながら歩いて行って、近づいて行くときも、どっちが高くて、どっちが低いかを見ておかなくちゃ。

奥田 ボールとカップの間しか見てないと、細かなところがわからなくなってくる。しかも、グリーンに着いてから読み始めるから、時間食うとるしね。

海老原 そう。今の人は、ラインも前後ばっかり一生懸命読む。グリーンに向かって歩きながら観察すれば、どっちが高いのか、どっちが低いのか、それでラインを見ておけば、そんなに時間をかけなくても読めるはずなんです。

画像: グリーンに向かって、傾斜を観察しながら歩いていく

グリーンに向かって、傾斜を観察しながら歩いていく

奥田 みんな、ボールとカップの間の線ばっかり見てますもん。まわりを見とけばそのラインはわかるんやけど、その線だけ見てたらわからんやろと思います。

海老原 今、オクちゃんが立っているのを見ると、僕のところより高いってわかりますよ。そうすると、僕のところからは上りだし、オクちゃんのところからは下りだっていうことだよね。

奥田 前にも言いましたけど、人のプレーを見てないと、そんなことにも気づかなくなってしまうんです。

【花咲く一言】
「〇㍎は△番」よりも
「これだ!」をクセにする

画/伊藤方也

TEXT/Chiharu Kubota

週刊ゴルフダイジェストより

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