OBや池、バンカーなどの罠を避けるためには、「ストレートに打って避けようとしないことが、いちばん大切」と佐久間馨コーチは言う。球を曲げて、フェアウェイをキープする。佐久間流のティショット術を公開。
画像: 【解説】佐久間 馨 さくまかおる。誰でもパープレーで回れる『Sスウィング』を提唱。頭脳を武器にスコアをまとめる『本番力』を指南してくれる。2010年レッスン・オブ・ザ・イヤー。ゴルフ科学研究所主宰。

【解説】佐久間 馨 さくまかおる。誰でもパープレーで回れる『Sスウィング』を提唱。頭脳を武器にスコアをまとめる『本番力』を指南してくれる。2010年レッスン・オブ・ザ・イヤー。ゴルフ科学研究所主宰。

【問題】曲げたほうがやさしいのはなぜでしょう?

図のようなパー5。このとき、フェアウェイ中央をストレートボールで狙うよりも、フェアウェイ右サイドを狙ってドローを打ったほうが、フェアウェイキープの確率は高まります。その理由、わかりますか?

画像1: 【ティショット】真っすぐ打とうとするからミスがなくならない! ゴルフは曲げるが勝ち!

ストレートに打つのが
一番難しい

GD 多くのプレーヤーは、フェアウェイ中央をストレートボールで狙おうとします。しかし、それはやさしくない、とお考えだそうですね。

佐久間 ええ。ストレートボールを打とうとすると、ゴルフが難しくなってしまいますからね。そもそもストレートボールは、プロでも難しいショット。偶然の産物なんです。

GD 偶然の産物?

佐久間 ストレートを打つには、ストレートな軌道でスウィングして、フェースがラインに対して90度の状態でインパクトする必要があります。しかし、人間は常に同じ動きをすることができません。必ず誤差があるわけです。仮に90度±5度の誤差があるとすれば、5度左に打ち出されてフックする球も、5度右に打ち出されてスライスする球も出てしまう。

GD ストレートを打とうとする限り、左右どちらにも曲がる恐れがあるということですね。

佐久間 そのとおり。練習場でたくさん球を打てば、たまにストレートが出るかもしれません。でも、それは偶然の産物です。だから、プロはストレートを打とうとしません。必ず、左右片方にしか曲がらない球で攻めていくのです。

画像: 「意図的に球を曲げられたらゴルフは突然やさしくなります」(佐久間)

「意図的に球を曲げられたらゴルフは突然やさしくなります」(佐久間)

GD それが今回のテーマになるわけですね。

佐久間 はい。とにかく、左右どちらに曲がるかわからない球は怖い。だって、左に曲がると思って打ったとき、右に曲がったら即アウトですから。ところが、ストレートボールを打とうとしている限り、このミスを避けることはできないんです。その点、片方にしか曲がらない球、つまり、ドロー(絶対にスライスしない球)やフェード(絶対にフックしない球)を打てれば、多少曲がり幅に誤差が出ても、左右どちらかの罠は確実に避けられるわけです。さらに、フェアウェイを広く使えるというメリットもありますしね。

GD 広く使えるとは?

佐久間 たとえば、30㍎幅のフェアウェイ中央をストレートで狙ったとします。すると、運よく中央に打ち出せたとしても、左右に15㍎以上曲がれば、ラフや林、OBにつかまります。もし、10㍎右に打ち出したら、右に5㍎曲がっただけでフェアウェイから外れてしまうわけです。球を曲げれば大きなミスが減るでも、フェアウェイ左サイドをフェードで狙えば、曲がらずに真っすぐ行ってもフェアウェイ。30㍎右に曲がってもフェアウェイをキープできる。

GD 30㍎ってなかなか曲げられないものですよね。

曲げる技術を覚えたら
ゴルフが突然やさしくなる

佐久間 そうなんですよ。これから紹介する技術を身につけられたら、ゴルフは突然やさしくなるので、是非チャレンジしてほしいですね。

逆球が出ないと計算しやすい

ストレートを打とうとする限り、左右どちらにも曲がる危険がある。しかし、片方にしか曲がらない球を打てれば、逆球(左に曲げようとしたとき右に曲がる球、右に曲げようとしたときに左に曲がる球)が出ないので、左右どちらかの罠は確実に避けられるのだ。

YES!(左)
片方に曲がる球を打つ→誤差はあっても逆球は出ない

NO!(右)
ストレートを打とうとする→右にも左にも曲がる

画像2: 【ティショット】真っすぐ打とうとするからミスがなくならない! ゴルフは曲げるが勝ち!

球が曲げられると
同じホールでも難易度が変わる

フェアウェイ幅が30㍎の場合。ストレートで真ん中を狙うと、左右15㍎の曲がりしか許されない。しかし、ドローやフェードでフェアウェイの右端、左端を狙えば、30㍎曲がってもフェアウェイをキープできる。球を曲げられれば、同じフェアウェイ幅でも難易度が変わるのだ。

フェードで左サイドを狙う(左図)
→右の罠は確実に避けられる

ストレートで中央を狙う(右図)
→左右どちらの罠にもつかまる

画像3: 【ティショット】真っすぐ打とうとするからミスがなくならない! ゴルフは曲げるが勝ち!

球を曲げる前に
条件があります

佐久間 ドローとフェードを打ち分けるためには、ひとつ大きな条件があります。それは、飛距離の10%の幅に球を打ち出せるということです。

GD 飛距離が250㍎であれば25㍎の幅。100㍎であれば10㍎の幅に打ち出すということですね。

佐久間 そのとおり。これは「その幅に球を止めろ」という意味ではありません。途中から球が曲がってもいいから、その角度に球を打ち出せる技術が必要だということです。それができないと、球の打ち分けどころではありませんからね。

GD その幅に球を打ち出すにはどうしたらいいのでしょう?

佐久間 大事なのは、狙ったラインに対して、腕をタテに真っすぐ振ることです。でんでん太鼓のように腕を横に振ってはいけませんよ。まずは、ウェッジで100㍎先の目標を狙い、左右5㍎の幅に落とせるようになりたいですね。

【ポイント】250㍎なら25㍎幅に打ち出す

画像: 100㍎のクラブなら10㍎幅、250㍎のクラブなら25㍎の幅に球が飛んでいく

100㍎のクラブなら10㍎幅、250㍎のクラブなら25㍎の幅に球が飛んでいく

【ドリル1】障害物に沿って腕を真っすぐ振る

球を真っすぐ打ち出すためには、首の付け根を軸に、腕をタテに振る(ラインと平行に振る)ことが大切。イスやテーブルに沿って腕を振ると腕をタテに振る感覚が身につく。

画像: 【ドリル1】障害物に沿って腕を真っすぐ振る
画像: 左人差し指を伸ばし、イスやテーブルを擦るようにスウィングするといい

左人差し指を伸ばし、イスやテーブルを擦るようにスウィングするといい

【ドリル2】ウェッジで100㍎先の目標を狙う

ウェッジを使い、100㍎先の目標を狙って、左右5㍎以内に球を落とせるようになろう。ウェッジは球が曲がりにくいので、この幅に落とせる確率が上がったら、飛距離の10%幅に打ち出せるようになった証拠と言える。

画像: 【ドリル2】ウェッジで100㍎先の目標を狙う

球の位置を
扇形に変える

佐久間 飛距離の10%幅に打ち出せるようになったら、ちょっとした実験をやってみます。10%幅に打ち出せるボール位置を基準に、球を左右に動かして打ってみるんです。このとき、ボール位置を変えても首の付け根からボールまでの距離を一定にしておくのがポイントですよ。

GD ということは、ボール位置は扇形に変化するわけですね。

佐久間 ええ。そうすると、球を左に置くほど、上半身が左を向き、フェースも左を向くのがわかるはずです。逆に、球を右に置くほど、上半身は右を向き、フェースも右を向きます。

GD 上半身を左右にねじった形になるわけですね。

佐久間 そうです。あとは、そのフェースが向いた方向に振って、球を打ちます。すると、球を左に置いたときには、必ずスタンスに対して球が左に出て左に曲がり、球を右に置いたときには、必ずスタンスに対して球が右に出て右に曲がるはずです。

GD たしかに。絶対に逆の球は出ませんね。

佐久間 そのとき、球をどのくらい左に置いたら、どのくらい左に曲がるか。どのくらい右に置いたら、どのくらい右に曲がるかをチェックしておきます。あとは、その曲がり幅のぶんだけ右を向いて立ち、球を左に置いて打てば、絶対にスライスしないドロー。左を向いて立ち、球を右に置いて打てば、フックしないフェードが打てるのです。

球の位置で球筋が変わるのを
体感してみよう

スタンス位置を変えず、ボールを右に置いて、フェースの向いた方向に振ると、軌道がインサイドアウトになってフェースの返りが少なくなるので、右に出て右に曲がる球になる。逆に、左に置くと、軌道がアウトサイドインになって、フェースの返りが大きくなるので、左に出て左に曲がる球になるのだ。

【ドロー】左に置くほど、左に出て左に曲がる球になる(左方向)
【フェード】右に置くほど、右に出て右に曲がる球になる(右方向)

画像: 球の位置で球筋が変わるのを 体感してみよう

曲がるぶんだけ左右を向いて立つ

どのくらい球を左右にズラすと、どのくらい曲がるかがわかったら、その曲がり幅のぶんだけスタンスを左右に向けて構えればいい。右を向いて、球を左に置けばドロー。左を向いて、球を右に置けばフェードになる。

【ドロー】スタンスを右に向けているので、正面から見ると、球の位置が右に見えるが、スタンスに対しては、左に置いて打っている

【フェード】スタンスを左に向けているので、正面から見ると、球の位置が左に見えるが、スタンスに対しては、右に置いて打っている

コースに2つの
フェンスをイメージする

佐久間 実戦でドローとフェードを使うときは、2つのフェンス(練習場のネットのようなもの)をイメージするのがコツです。たとえば、右サイドのバンカーを避けたいときには、ボールの少し先からバンカーの左を通る、300㍎くらいのフェンスAと、ボールの先からフェアウェイ真ん中に向かって立つ、短いフェンスBをイメージします。あとは、2つのフェンスに当てないように、フェンスAと平行に立ち、球を左に置いて、ドローを打つんです。

画像1: コースに2つの フェンスをイメージする

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画像2: コースに2つの フェンスをイメージする

真っすぐ飛んでも罠につかまらない線にフェンスを立てる
右の罠(OBやバンカーなど)を避ける場合は、フェアウェイの右サイド(真っすぐ飛んでも罠につかまらないライン)と、フェアウェイ中央にフェンスをイメージしてドローを打つのが基本。2つのフェンスの間に打ち出せれば、多少曲がっても、大きなケガにはならない。

GD それができれば、球はスタンスよりも左に出て左に曲がるので、右のOBにはつかまらないというわけですね。

佐久間 そのとおり。左サイドの罠を避けるときはこの逆です。この技術が身につけば、左右の罠を確実に避けられるようになるので、スコアアップは間違いないと思いますよ。

画像: 球を曲げられるとゴルフはやさしくなりますよ

球を曲げられるとゴルフはやさしくなりますよ

PHOTO/Hiroaki Arihara 
ILLUST/Koichi Tanaka

週刊ゴルフダイジェスト2020年4月7日号より

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画像3: コースに2つの フェンスをイメージする

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