ハイフィニッシュが正解
バンカーはカットに振ろうとするから難しい!
オープンスタンス・カット軌道で上から打ち込むのがセオリーだが、実はこれが原因でヘッドが走らず砂が飛ばせなくなっている!
砂が飛ばせない3大元凶
―― バンカーショットは多くのアマチュアが苦手とする鬼門。しかしその背景には、従来の「オープンスタンスで、カットに、上から打ち込む」というレッスンに問題があると重田栄作プロは言う。
重田 バンカーから確実に脱出するには、ボールを砂と一緒に目標方向に飛ばすことが大事です。しかし『カットに振って上から打ち込む』という意識ではヘッドを走らせるのが難しく、砂の抵抗に負けて砂を飛ばせないんです。
―― スウィングの精度が高く、普段からゆるやかな入射角でインサイドからボールをとらえているプロにとっては、砂の取り方を調節して距離やスピンをコントロールするためにカットに振る意識は有効。
【元凶1】 打ち込みすぎになる
普段からカット軌道で入射角が鋭角なアマチュアに「上から打ち込め」と言ったらヘッドが上から入りすぎて砂に潜ってしまい、砂とボールを前に飛ばせなくなってしまう。
【元凶2】 ヘッドが走らない
カット軌道を意識しすぎると、フォローでスウィングが詰まってヘッドが走らないのでインパクトで砂の抵抗に負け、砂とボールを前に飛ばせない。
【元凶3】 構えが狂いやすい
カットに振るためにはオープンスタンスで構える必要があるが、正しくオープンスタンスを作れず、ボール位置などが狂って本来のスウィングを妨げているケースも多い。
―― しかし普段からカットで鋭角な軌道のアマチュアが同じ意識でスウィングしたら、それらが過剰になって砂を飛ばせなくなってしまうのだ。
重田 大事なのはヘッドを走らせて砂を前に飛ばすこと。脱出してグリーンに乗せるだけなら、スクェアに構えてまっすぐ振るのがいちばん確実で安全ですよ。
正解のアドレスはこれ!
フェースを開いてボールを少し左に置けばバウンスは効く
スクェアに構えるバンカーショット
重田プロが推奨する「真っすぐ構えて真っすぐ振る」バンカーショット。大きなフォローで高いフィニッシュに収まるのが特徴。
大きなフォローで
ヘッドを加速させる
―― バンカーショットではヘッドを走らせ砂を飛ばすことが大事だと重田プロ。それにはスクェアに構えることに加え、スウィング面でも注意が必要だという。
重田 ヘッドを走らせるというと、手首を使ってヘッドを先行させるようなイメージを持つ人が多いんですが、実はこれもバンカーで失敗する原因の1つ。手首をこねてヘッドを走らせようとしても、実際はアーリーリリースになってヘッドを加速させられず、砂の抵抗に負けてしまうんです。
―― ヘッドを走らせるには、ダウンスウィングでタメを作り、インパクトからフォローにかけてそれを開放していくことが重要だという。
重田 アーリーコック気味にバックスウィングしたら、インパクトで腕とクラブが一直線になるようにヘッドを落下させるんです。インパクトで手元を止めるのではなく目標方向に少し押し込んでいく感じ。そのままクラブを放り出すように大きなフォローで振り抜いて、高いフィニッシュを作りましょう。実際はこれが一番ヘッドが走るんです。
バンカーこそタメを作る意識を持とう
【リリースのポイント】
シャフトが水平な位置から一気にリリースする
ダウンスウィングでは手元が右腰の位置に下りてくるまで手首のタメをキープし、そこから手元を目標方向に押し込みつつ一気にリリースすることでヘッドを加速
【フォローのポイント】
腕を伸ばしたまま体を回そう
フォローでもヘッドを先行させるのではなく、腕を伸ばしたまま体を回していき、手元を高い位置に振り抜いていこう。
【スウィングのポイント①】
左手を目標方向に押し込んでヘッドを遠くに振っていく
インパクト以降は左肩を支点に手元を目標方向に放り出していくイメージ。ヘッドはしばらく低く真っすぐ動いた後、左腕と一緒に大きなアークで振り抜いていく。
【スウィングのポイント②】
ヒール寄りのソールから砂に接地させる感覚
アドレスで少しハンドダウンにしておくぶん、インパクトでもヒール側から接地していくイメージ。アップライトに入ることで、フェースを開いても球が左に飛びにくい。
バウンスが効く
手首の使い方
―― しっかりと砂を前に飛ばしバンカーから確実に脱出するには、ウェッジのバウンスをうまく使うことが大事。それには、左右の手首の使い方がカギになると重田プロ。
重田 アーリーリリースになると、ヘッドが手前に落ちてバウンスが使えません。それを防ぎ、タメをキープした状態でダウンスウィングするには、右ひじを体にくっつけ、右手首が甲側に折れた状態を保つことが大事。手元が右腰の高さで右手のひらは正面を向いていることがポイントです。
【〇】右ひじが体にくっついても、右手のひらが上を向くとクラブが寝てダフる。手元が右腰の高さで、右手のひらが正面を向くようにする。また、ダウンスウィングで右ひじが体から離れて外を向くとカット軌道になる。右わきを締め、右ひじを下に向けて右わき腹にくっつけよう
―― また左手首は、インパクトで親指を下方向に押し込むように、小指側に折る。
重田 これはアドレスの形から手首の動きだけでヘッドを上下させるときの動きです。これがヘッドを走らせつつバウンスからソールを接地させるカギになります。手の甲・ひら側ではなく、親指・小指側の動きを意識しましょう。
左右の腕のポイント
【右腕のPOINT】
右ひじを伸ばして高い位置に振っていく
インパクト後は右腕を伸ばしながら体を回して振り抜いていく。右手首の角度をほどかずに振り抜くとフォローでシャフトが立つ。
【左腕のPOINT】
左腕を伸ばしたまま目標方向に出していく
インパクト後は左肩を支点に手元を体から遠ざけるように押し込んでいくことでヘッドを加速させる。左わきは開いてOK。
構成/鈴木康介
撮影/姉﨑正
月刊GD5月号より
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