「ゴルフは飛ばし合いじゃない!」。そうわかっていても飛ばしたくなるのがゴルファーの性。ただ、本当にスコアを求めるなら今一度曲げないことの重要性を考えてもらいたい。今回は「曲がったことが大嫌い」な火の国・熊本の「曲げない屋トップアマ」3人衆に集まってもらい、つねにフェアウェイを歩くことの重要性と、曲がらないための方法をじっくり語ってもらった。みなさんのヒントになることがたくさんつまっています!

熊本の「曲げない屋」トップアマ3人衆

画像1: 【ティショット】フェアウェイを堂々と歩きたい! トップアマ3人衆に習う、いつも真っすぐのドライバーショット

左から
米倉慶一郎さん
九州アマなどに出場するトップアマ。仕事の前と後に練習場へ通う練習の虫。「飛んで曲がらない」ドライバーが最大の武器(45歳・HC2.5)

小杉康之さん
日本アマにも出場経験のあるトップアマ。米倉さんや井手尾さんは「フェアウェイを外しのは見たことがない」と言う(60歳・HC2.5)

井出尾力さん
多くの競技に出場するトップアマ。飛距離よりも正確性で勝負するショットが持ち味。「フェアウェイキープ率100%目指しています」(27歳・HC3)

【打つ前の準備】
不安を打ち消すのは100%の準備

「フェアウェイキープできるかは、打つ前にすでに決まっている」と話す小杉さん。

小杉 ティグランドに立ったらまず、後方からハザードなどを確認して、絶対に打ってはいけない方向を決めます。例えば右に池があるようなホールでは、まず“右を消す”ことを考える。そのためにティアップは右寄りにします。そこからドローを打って、右には絶対にいかないようにしています。このような状況では、左の斜面を狙うくらいの気持ちで振っています。スウィング中にあれこれ小細工をするのではなく、アドレスに入る前にすべてやるべきことはやってしまう。あとは怖がらずに振り切るだけです。

画像: 【打つ前の準備】 不安を打ち消すのは100%の準備

【考えること①】
ミスしてはいけない方向を消す

OBやハザードは絶対に避けたい。次の1打を打つためにまずはミスをしてはいけない方向を消すことから考える。フェアウェイキープが目的だが、保険をかけて考えることが大事。

画像2: 【ティショット】フェアウェイを堂々と歩きたい! トップアマ3人衆に習う、いつも真っすぐのドライバーショット

【考えること②】
球筋に合わせてティアップの場所を決める

ハザードなどに入れないための方法がティアップの位置だったり、持ち球を決めることだったりする。なんとなく真っすぐセンターに打とうとするとスウィングが中途半端になる。打ちたい球筋を明確に決めること。

【考えること③】
弾道をイメージしてアドレスに入る

打ちたい球筋と方向が決まったら、弾道をイメージしながらアドレスに入る。このときに具体的なイメージがないとアドレスの方向が狂いがち。もしミスになったとしても、決めてやるのと決めずにやるのではあとに引きずる度合いが大きく違う。

画像3: 【ティショット】フェアウェイを堂々と歩きたい! トップアマ3人衆に習う、いつも真っすぐのドライバーショット

小杉さんとは対照的に井手尾さんはフェードが得意。右を消す場合は同じように右サイドに立ち、左サイドに向かってスライスを打っていく。自分の持ち球とティアップの位置を組み合わせるだけでか
なりのミスを防げる。

考えてみれば当たり前のことかもしれないが、いざティグラウンドに立つと、この“当たり前”ができなくなってしまう。打つ前の冷静さが、フェアウェイキープの絶対条件になる。

「クラブの通り道を確認しています」

いつも同じリズムでスウィングするためにルーティンを大事にしている。井手尾さんはルーティンの中でクラブの通り道をいつも確認する。

井出尾 軌道のイメージを確認することで、体が動きやすくなると考えています

画像: 「クラブの通り道を確認しています」

【小杉さんの工夫】
線を合わせて振り抜くだけ!

GD 小杉さんの曲げないコツは実にシンプルだ。

小杉 目標にボールとクラブを正しくセットすること。ボーリングを思い浮かべてください。ボーリングは、少し先のスパット目がけてボールを投げますよね。ゴルフも考え方は同じです。打ち出す方向をいかに安定させるかが大事なんです。私は50センチほど先に目印を作って、それとボールに引いてあるラインを合わせます。あとは、アドレスをして、そのラインにボールを打ち出していくだけ。この単純な作業を丁寧にすることで曲がるリスクを減らすことができるんです。

目標を明確にして意識を集中させる

画像: 近くにスパットを 文字を利用見つけてボールを合わせる

近くにスパットを 文字を利用見つけてボールを合わせる

画像: 小杉さんはボールに入っている文字を利用。スパットを決めてそこにボールのラインを合わせる。単純な作業だが、仮想ラインを作ることで、アドレス自体が正確にできるようになり、打ち出し方向も安定する

小杉さんはボールに入っている文字を利用。スパットを決めてそこにボールのラインを合わせる。単純な作業だが、仮想ラインを作ることで、アドレス自体が正確にできるようになり、打ち出し方向も安定する

GD 小杉さんはアドレスに入ると、そこから打ち終わるまでが驚くほど速い。無駄な動きが一切入らないからだ。

小杉 打つ前の準備が大切ですからね。それができればあとは迷わずに振りきるだけ。多少当たりが悪くても振り切れていれば曲がりは少なくなります。今は難しいコースになるほど好きになりました。

小杉さんの考え

しっかり振り抜くほど曲がらない

インパクトでボールに当てようとすると振り切れなくなる。フィニッシュまで振り切ることを考えていれば、逆にインパクトで力が入ることがなくなり軌道が安定する。

画像1: 小杉さんの考え

【ポイント】 トップで右股関節に体重を乗せる
体が左右にブレると振り切ることができない。小杉さんはテークバックの際に右足がずれないように注意している。ここでしっかり右足に体重を乗せることができれば、軸ブレは防げる。

画像2: 小杉さんの考え

小杉さんの曲がらないドライバーショット

【井出尾さんの工夫】
つま先ば開くと体が回る

GD 持ち球がフェードの井手尾さんは、とにかくフェアウェイキープを考えている。そのために行っている工夫が体の動きを止めずに回転し続けることだ。

井出尾 小杉さんが話していたように、フィニッシュまで振り切ることは僕も大事にしている部分です。それに加えて、注意しているのは、体の回転を止めないこと。フェードを打つのに体が止まってしまうと、フェースが返って引っかけになってしまいます。そのために、左足のつま先を開いて構えています。これだけで体の回転はかなりスムーズになるんです。

画像: 下の写真がつま先を開いた状態。かかとを合わせてから開くのがポイント

下の写真がつま先を開いた状態。かかとを合わせてから開くのがポイント

画像: 井出尾さんの右つま先を開いたアドレス

井出尾さんの右つま先を開いたアドレス

GD 小杉さんと同じく井手尾さんも振り切ることさえできれば球の曲がりは抑えられると言う。

井出尾 インパクトで合わせる動きだけはしたくありません。怖いときほど振り切ることに集中します。

【つま先を開くと①】インパクトで詰まらなくなる

体の回転が止まらなければインパクトでヘッドが減速することがなくなるためボールを長く押し込める。結果、フェースにボールが乗る時間が長くなり、曲がり幅を小さく抑えられる。

画像: クラブが通るスペース確保

クラブが通るスペース確保

【つま先を開くと②】左手で引っ張りやすくなる

井手尾さんは左腕でクラブを引っ張るイメージを持っている。右手で叩くのではなく左腕で引っ張ることで、より体の回転が止まらないようにしている。

画像: 低く出せる

低く出せる

【米倉さんの工夫】
打つ前に思いっきり力む!

GD ショットに入る前に中腰になって気張るような姿勢を作っている米倉さん。これは米倉流の力み取り除き法だ。

米倉 昔は飛ばしたい気持ちがかなり強かったです。でも、競技に出はじめて真剣にゴルフをするようになってからは、自然と飛ばすことよりも曲がらないことを重視するようになりました。やっぱり曲がると戦えないんですよね。それで自分のスウィングをするために何が必要かと考えたら力みを取ることだったんです。打つ前にグググっと気張るようにして体全体に目一杯力を入れるんです。それからゆるめると脱力した状態が作れる。そのままスウィングすると力まず振り切れるんです。

画像: これ以上力めないくらい最初に力むという米倉さん

これ以上力めないくらい最初に力むという米倉さん

GD ボクシング経験者の米倉さんは見た目から飛びそうな体格。パンチ力も当然あるわけだが、それを出そうとすると曲がってしまう。曲げないコツは一瞬の瞬発力ではなく流れる動きのようだ。

チカラが抜ける3つのポイント

【ポイント①】
左右のブレがなくなりその場で回転できる

体の回転につられて腕とクラブが連動して動くのが米倉さんのスウィングの特徴。腕に力が入ると上半身にも力が入り、スムーズな回転ができなくなる。

画像: 太い筒の中にいるイメージ

太い筒の中にいるイメージ

【ポイント②】
腕に頼らず体で振れる

その場で体を回転させることを重視している米倉さん。飛ばそうとするとどうしても腕に力が入り、体の上下動が起きる。動きの主導権はすべて体の大きな筋肉にある。

画像: チカラが抜ける3つのポイント

【ポイント③】
背中を軸に回転できる

スウィング中に意識している部分は背中。背中側に軸があるイメージで体を回転させることで、反復性の高いスウィングができる。腕の力はまったく入れていない。

画像: ズレません

ズレません

試合で勝負できるスウィングになったと!

【絶対に曲げたくないときは?】
今平打法なら曲がらんばい

―― 右も左もハザードやプレッシャーがかかるなど、「絶対に曲げられない場面」は、いくら「曲げない屋」と言えどそう簡単ではない。井手尾さんは「短く持ってとにかくミート率を上げる」と話す。

画像: グリップを短く持つ今平周吾プロ

グリップを短く持つ今平周吾プロ

井出尾 曲げたくないときや風が強くて球を抑えたいときは極端に短く持ちます。短く持った分だけミート率が上がるので、左右に大きく曲がるミスは防げるんです。今平プロのスウィングを見て盗みました。

画像: クラブを短く持つことが多い井手尾さんは、それを想定して重量を重くしている。「短く持つと軽く感じるので、それを調整する意味で総重量は重めに設定しています」

クラブを短く持つことが多い井手尾さんは、それを想定して重量を重くしている。「短く持つと軽く感じるので、それを調整する意味で総重量は重めに設定しています」

小杉さんは200㍎地点にレイアップするときもドライバーを使うほどのドライバー巧者だが、そのコツはウェッジで振るイメージでスウィングすることだ。

小杉 ドライバーのコントロールショットはよく使います。コツは打ち急がないこと。私の場合はウェッジのスリークォーターのイメージです。

画像: 「どうしても曲げたくないときはスウィングをよりコンパクトにします。ウェッジを打つような気持ちでスリークォーターショットです。ただ、ゆるむとミスになるので、変えるのは振り幅だけです」

「どうしても曲げたくないときはスウィングをよりコンパクトにします。ウェッジを打つような気持ちでスリークォーターショットです。ただ、ゆるむとミスになるので、変えるのは振り幅だけです」

米倉さんは弾道を低くして、狭いホールを攻略していると話す。

米倉 とにかく早く地面に着地させたいので、ティアップを目一杯低くして弾道を抑えます。多少ボール位置は右になりますが、スウィングは何も変えていません。

画像: ティアップを低くする

ティアップを低くする

画像: 「ティアップを低くすることで、低い球を打つ意識を持たせます。すると、自然に目線も低くなってきます。早く着弾させれば曲がり幅が小さく抑えられえるので、絶対曲げられない場面では保険をかけて使います」

「ティアップを低くすることで、低い球を打つ意識を持たせます。すると、自然に目線も低くなってきます。早く着弾させれば曲がり幅が小さく抑えられえるので、絶対曲げられない場面では保険をかけて使います」

ここで一番曲げたくない場合の3人に共通しているのは芯に当てるということ。芯に当てるのが上手いのではなく、どうすれば芯に当たりやすいかを知っているのだ。

打ち方で調整するのではなく、準備と心構えで芯に当てる確率を高める。達人は“ここぞ”の場面のひと工夫もしっかり持っている。

【最後に】
リズムがいいと疲れも感じない

3人のプレーを見ているとすごくリズムがいい。つねにフェアウェイをキープしているからプレーが早い。小杉さんは、フェアウェイを歩くことの重要性を話す。

画像1: 【最後に】 リズムがいいと疲れも感じない

小杉 フェアウェイをキープできていたら自然にリズムがよくなります。スウィングのリズムもプレー全体のリズムも。だから、たとえスリーパットがあっても、フェアウェイを歩き続けることができれば、スコアは崩れません。そういう意味でも、曲げないことは、本当に強いことなんですよ。

【小杉さんのリズム】
いつも「チャーシューメン」

「私はチャー、シュー、メンのリズムで振っています。なんでもいいと思うんですけど、自分なりのリズムを決めておくと、ミスが出たときにそのリズムに戻ればいいので楽ですね」

画像12: 【ティショット】フェアウェイを堂々と歩きたい! トップアマ3人衆に習う、いつも真っすぐのドライバーショット

【米倉さんのリズム】
打つ前に「急がない急がない」

「私はリズムは気にしていますが、どうしても早くなる癖があるので、つねに急がないことを心で唱えています。ゆっくり振るつもりでちょうどいい感じになっています」

画像: 打ち急がない

打ち急がない

【井出尾さんのリズム】
歩きながら「イチ、ニ、イチ、ニ」

「ボクの場合はつねにイチ、ニ、イチ、ニと数えています。歩いているときもスウィングに入る前も。そう言う意味では朝起きてからプレーが終わるまで、1日中同じリズムを心がけていますね」

画像: イチ・ニ、イチ・ニ

イチ・ニ、イチ・ニ

※3人にはボランティアとしてご協力いただきました

TEXT/Masato Ideshima

PHOTO/Takanori Miki

週刊ゴルフダイジェスト4月21日号より

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画像2: 【最後に】 リズムがいいと疲れも感じない

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