「朝イチミスの3大要因」
1、体が硬いまま
体が十分に温まっていないので、スウィングが小さくなり、タイミングがズレやすい
2、リズムが速い
ミスをしたくないという気持ちの焦りから、どうしてもスウィングが速くなりやすい
3、みんなの目が気になる
同伴者だけでなく、後続の組のプレーヤーにも見られたりして、緊張感がマックスに
朝イチ専用
スウィングを身につける
「朝イチのティショットは、どうしても緊張して、いつもミスが出ちゃうんだよなぁ……」
そんなアマチュアは多いはず。
西村 一般的にアマチュアの方は、朝イチからフルスウィングを基準にし、そこから力を抜くことを意識するからスウィング中にゆるんでミスが出てしまいます。なので振れない体のことを考えた『朝イチ専用』のスウィングを身につけると、ミスを防ぐことができます。また、この『朝イチ専用スウィング』という引き出しを持っているだけで、緊張も和らいで思ったとおりのスウィングができます。
と言うのは、豊富なアマチュアのレッスン経験を持つ西村至央プロだ。
西村 朝イチでミスが出やすいのは、硬い体、スウィングリズム、緊張感の3つが主な原因です。これをすべて解決するのは難しいですが、1つでも2つでも克服できれば、ミスの確率をかなり減らすことができるんです。
そのために、まず重要なのが、アドレスだと西村プロはいう。
西村 ポイントは3つ。まず、グリップを短く持つことで、腕と体を一体化させやすくなります。次に、スタンスで両つま先をハの字に開き、体の回転不足を補います。普段よりもボールに少し近づいて構えることも大事。前傾がキープしやすく、わきが開くのも防げます。
【アドレスのポイント】
【ポイント①】グリップを短く持つ
【ポイント②】スタンスを狭くする
【ポイント③】ボールに近づく
グリップを短く持つとヘッドのバランスが軽くなり、クラブをコントロールしやすくなる。朝イチはバックスウィングで体が回りにくいので、スタンスを狭くし、両つま先をハの字にすることで回転不足を補うことができる。また、ボールと体の距離が遠いと、結果が気になる朝イチは体が起きて前傾が崩れやすいので、普段より近づいて構えよう。
では、スウィングで気をつけることは?
西村 同じくポイントは3つ。手先でクラブを上げず、右腰を引くことからテークバックを始動します。フッカーはダウンで右わき、スライサーはインパクトから先で左わきの締めを意識。あとは右足のかかとを上げず、ベタ足で振り抜く。軸がブレにくくなり、朝イチで起こりやすい体の突っ込みや、起き上がりのエラーが防げますよ。
スウィングのポイント①
始動は右腰から
上手く当てたいという意識が強く働くので、手先でクラブを上げてしまいやすい。ヘッドをアドレスの位置に残したまま、右腰を後ろに引く動きでテークバックを始動。体の回転に連動して、ヘッドがつられて動く意識が必要。
スウィングのポイント②
わきを締める意識
スライサーはインパクト以降で左わき、フッカーはダウンで右わきを締める意識を持つと、ダウンスウィングからフォローにかけて前傾角度キープできる。これにより腕と体が一体化し、ヘッドの軌道が安定する。
スウィングのポイント③
右足はベタ足
ヘッドをボールに当てにいって、体が目標方向に突っ込んだり、上体の開きが早くなるのが、朝イチのあるあるパターン。右足かかとを浮かさず、ベタ足のまま振り抜くことで、軸をキープしやすくなり、ミート率も上がる。
【おたまでチェック!】
ボールを乗せてハーフスウィング
オタマに乗せたボールを落とさないようにすることで、余計なフェースの開閉を矯正。ステイホームでも苦手な朝イチの練習は可能。
魔法のウラ技❶
「ボールを左前と右後ろのポケットに入れる」
朝イチのショット時は、当てにいって体の右サイドが前に出るエラー動作が起きやすい。パンツの左前と右後ろのポケットにボールを入れると、違和感もあって、下半身に意識が集中しやすい。股関節の前傾をキープしやすくなるし、ポケットのボールに意識が向くことで、緊張感を上手に分散できる。
朝イチショットを完全再現
アドレスとスウィングで提示した、それぞれの3つのポイントを意識すれば、朝イチの大きなミス
が減り、気持ちよくラウンドをスタートできるようになる。ただ、朝イチのティショットは、独特な緊張感ゆえに、いきなりコースで実践しようとしても、頭が真っ白になりやすい。日頃から朝イチを想定した意識づけと練習をやっておくといいと西村プロ。
西村 もし、朝イチのティショットが苦手なら、練習で打つ1発目のショットをムダにしてはいけません。まだ体もほぐれていないし、ウェッジのウォームアップではなく、いきなりドライバーを握ることで、朝イチの緊張状態も再現することができますよね。
たとえば、よく行くコースの1番ホールを思い浮かべ、明確なショットのイメージを描いて、普段
と同じルーティンで打つ。
西村 想定したスタートホールで、やってはいけないミスが出たら、素振りを10回とか、腕立て伏せ10回など、自分にペナルティを課すのもいいですね。
とにかく、コースの朝イチショットに近い状況を作り、その緊張感に慣れることが大事なのだ。
西村 コンペのときなどは、朝イチのティショットを打つときに、同伴者に『今日は一日、よろしくお願いします』と挨拶しますよね。練習場でもドライバーを打つときに毎回、『お願いします』と声を出したり、心のなかで呟くんです。当然、連続で打たずに一球ごとにアドレスを取り直す。また、友人と一緒に練習へ行ったら、お願いして後方から見ていてもらうのも、効果的な練習法です。
また、本番で使える朝イチ専用の3つの裏ワザも、西村プロが伝授してくれた。そちらもコースで試してみて、「朝イチショットは得意です」と言えるようになろう。
魔法のウラ技❷
「帽子の先を右にズラす」
結果が気になると顔が早く上がり、体の開きも早くなってしまう。そこでキャップのツバを少し右にズラし、インパクトでもその向きが変わらないように意識。顔が左を向いているという錯覚が起き、ヘッドアップや体の開きを防ぐことができる。
魔法のウラ技❷
「ベルトのバックルをズラす」
ベルトのバックルを右にズラすウラ技は、ツアープロも実際によくやる方法とか。違和感を利用して、下半身に意識を集中させる効果がある。キャップのツバと同じく、腰が左に向いている感覚から、開きを抑えることができる。
TEXT/Toshiyuki Funayama
PHOTO/Tadashi Anezaki
週刊ゴルフダイジェスト5月26日号より
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