ついに先週からPGAツアーが再開された。その頂点にいま立っているのが、世界ランク1位のローリー・マキロイだ。身長175㌢と日本人に近い体格の彼だが、飛距離は300ヤードを軽々超える飛ばし屋で、プロ仲間から絶大な人気を誇っているという。そこで今回、本人への直撃取材なども含め、マキロイの驚異の飛ばしについて解明していく。
画像: 【ローリー・マキロイ】 7年前に来日したときに撮影したマキロイ。このとき黒板に「世界一のプレーヤー」と目標を書き記し、いま現実となっている

【ローリー・マキロイ】
7年前に来日したときに撮影したマキロイ。このとき黒板に「世界一のプレーヤー」と目標を書き記し、いま現実となっている

【ローリー・マキロイ】

AGE:31
HEIGHT:175cm
WEIGHT:72kg
BIRTHPLACE:Holywood,Northern Ireland
Career Wins:18
フェデックスカップランク:3位
世界ランク:1位
賞金ランク:3位
優勝回数:1回
獲得賞金:$3,874,596(約415,593,041円)
トップ10回数:6回
平均ストローク:68.527(1位)
平均飛距離:319ヤード(3位)
フェアウェイキープ率:56.9%(165位)
パーオン率:71.2%(13位)
平均パット数:1.74(50位)
※2020年6月15日現在

マキロイ先生
僕のドローどうです?

それは今年のファーマーズインシュランスオープンの3日目の出来事だった。2日目に「67」を出して優勝を狙える位置で決勝ラウンドを迎えた松山英樹は、最終日で優勝争いするためにも、スコアを5つか6つは伸ばしたい日であった。

しかし結局、前半はパープレーと伸ばせず、後半は2オーバーと崩れ、優勝争いからは脱落してしった。記者の待つミックスゾーンに現れた松山は、さぞや落胆している、と思いきや、意外にもその日のプレーを饒舌にしゃべり始めたのだ。

画像: 昨シーズンよりスウィング改造に取り組んできた松山。短いスウィングから「ドロー」を意識して練習してきたが、今季は試合でもドライバーで安定した「ドローボール」で飛ばせている。1月のマキロイとのラウンドは、スウィング改造の手応えを感じるものとなった

昨シーズンよりスウィング改造に取り組んできた松山。短いスウィングから「ドロー」を意識して練習してきたが、今季は試合でもドライバーで安定した「ドローボール」で飛ばせている。1月のマキロイとのラウンドは、スウィング改造の手応えを感じるものとなった

「ドライバー見ました?  ローリーにおいていかれなかったでしょ」(松山)

いいコメントが取れないだろうと心配していた我々取材陣は、彼の興奮している姿を見て、あっけにとられた。確かにその日の松山は、ドライバーでナイスショットを連発し、10番ホールではマキロイをアウトドライブするシーンもあった。

画像: マキロイ先生 僕のドローどうです?

思えば松山はかねてより「試合でしっかりとつかまったドローボールが打ちたい」と話していた。そしてある意味お手本でもある“マキロイ先生”と同組で回り、自分のスウィングをやり切って飛距離で肉薄したことに満足していたのだった。

画像: 同組で回るマキロイと松山

同組で回るマキロイと松山

スコアこそ負けたものの、上機嫌にもなるのも無理はなかった。まさにマキロイは世界のトップ選手をも虜にする魅力的なゴルファー。でもいったいどのように飛ばしているんだろうか、ますます気になってきたぞ。

【ローリーの練習】
棒の右側にでるように打っている

この写真は、2年前の『WGCブリヂストン招待』でマキロイが行っていた練習風景のもの。

ボールから約3㍍先に棒を刺して、出球のチェックなのか、4時間強もトラックマン(弾道計測器)を使いながら、スウィングなどいろいろと確認しているマキロイの姿を、GD編集部員はずーっと観察していた。

夕方近くになり、やっと練習が終わったマキロイに直撃し、何の練習をしていたのかについて聞いてみると、快く答えてくれた。

画像: 練習後のマキロイ本人に直接話を聞く編集部員。ウェッジからドライバーまで約4時間、休憩もせず練習を続けていた

練習後のマキロイ本人に直接話を聞く編集部員。ウェッジからドライバーまで約4時間、休憩もせず練習を続けていた

GD 棒を刺していた練習は何のためですか?

マキロイ(以下RM) 最近、試合で目標に対して球が左に出ているのが気になったんだ。僕は、右に出球が出るドローボールが出るのが自然だから、棒を刺して棒の右側に球が出るように調整していただんだ。

画像: 飛球線上に棒を刺してその右側に向かって出球を調整している

飛球線上に棒を刺してその右側に向かって出球を調整している

GD 試合を重ねていく中で、左に出やすくなった?

RM そうだね。左に出るようになって、フェードっぽくなっていたんだ。それを元の気持ちいいドローボールに戻さないといけなかったんだよ。

画像: 棒までの距離は約3メートルほど。ボールの入ったカゴを“おかわり”してトラックマンの数値とにらめっこしていた

棒までの距離は約3メートルほど。ボールの入ったカゴを“おかわり”してトラックマンの数値とにらめっこしていた

GD トップの位置を気にするような仕草がありましたが。

RM トップで少し手元が体の後ろに入りすぎて、その反動でダウンでアウトから入っていたんだ。だから、少し手元を高くして、自然とインサイドから下ろせるように修正していたんだよ。そうすれば、自然なドローが出るから、コースで余計なことを考えず楽に打てるようになるからね!

【テクニカル①】
オープンスタンスが
マキロイドローの真骨頂

身長175㌢と日本人とさほど変わらない体格のマキロイだが、PGAツアーのドライビングディスタンスで3位につける飛ばし屋だ。そのスウィングについて、小柄な飛ばし屋としてティーチングを行う武市プロに聞いた。

画像: 【解説/武市悦宏】167㌢と小柄な体格ながら、1年で100㍎飛距離を伸ばし、最高348ヤードを記録したティーチングプロ。今年に入り、今まで以上にスウィング研究に没頭する日々を送っている。2013年レッスン・オブ・ザ・イヤー

【解説/武市悦宏】167㌢と小柄な体格ながら、1年で100㍎飛距離を伸ばし、最高348ヤードを記録したティーチングプロ。今年に入り、今まで以上にスウィング研究に没頭する日々を送っている。2013年レッスン・オブ・ザ・イヤー

武市 マキロイといえばドロー。ドローは飛びますし、プロなら誰でも打てますが、出球、弾道、強さ、スピン量など試合で使える精度で打つことが難しいんです。でもマキロイは、先天的にゴルフクラブの使い方を知っているから、ドローでボールを操ることができるのだと思います。

画像: 【テクニカル①】 オープンスタンスが マキロイドローの真骨頂

武市 マキロイがドローを打つときの特徴として、少しオープンに構えることが挙げられます。これには2つ理由があって、入射角をゆるやかにしてインサイドからアッパーで振っていくため。もう一つは腰の回転のスピードアップをうながすためです。

ゴルフクラブの使い方を完璧に知っている天才です

ゴルフクラブは重心点がシャフト線上にないため、フェースが開きたがる性質がある。おそらくクラブを握り始めたときからマキロイはわかっていたはずという武市。

画像: 【飛ばし】小さい体で何であんなに飛ぶの? キャリー369㍎。みんな大好きマキロイ!(前編)

ほとんどの人は、右写真のようにアウトサイドから振り下ろすためスライスが出るが、マキロイはインサイドから振り下ろせるためドローが打てる。

ほんのり“オープン”にする2つの理由

【理由①】入射角がゆるやかなインサイドアッパーで振るため

【理由②】腰の回転を素早く行うため

【ポイント①】
つま先とひざのラインをオープンにしている

腰のラインまでオープンにすると、ヘッド軌道がアウトサイドから下りてきやすいのでつま先とひざだけオープンにしている。

画像1: ほんのり“オープン”にする2つの理由

【ポイント②】
オープンにするとボール位置は右になる

オープンにすると、ボールを右に置くことと意味合いは同じなため、自然に振り下ろせばインサイドからクラブが下りて、右方向へ打ち出しやすくなる。フォローも体から遠いアウト軌道でヘッドを動かしやすい利点がある。

画像2: ほんのり“オープン”にする2つの理由
画像: しかし、オープンにせずボールを右に置くと、インパクトで手元が詰まりやすくヘッドを振り出しにくくなる。さらに、ヘッドの入射角がキツくなりドローが打ちにくい

しかし、オープンにせずボールを右に置くと、インパクトで手元が詰まりやすくヘッドを振り出しにくくなる。さらに、ヘッドの入射角がキツくなりドローが打ちにくい

マキロイテクニカル②③、ギアに続く

PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Seiichi Nomura、ARAKISHIN

週刊GD7月7日号より

今回マキロイのスウィング解説をしてくれた武市プロの大人気合宿をご紹介! 3日間みっちり習って飛距離を伸ばそう

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