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あっ! また斜面にボールが……。とショックを受けてるそこのアナタ。「山国ニッポンでは傾斜からのショットは必須ですよ!」というのは3人の傾斜の達人たち。斜面を制したクラブチャンピオン3人に夏の斜面の打ち方を聞いてみよう。
画像1: 【トラブルショット】傾斜ショットは“山国ニッポン”の必須テクニック。丘陵コースのクラチャンに聞いた、「斜面の打ちかた」

ユニオンエースGCクラチャン
吉岡伸也さん(50歳・HC2)(左)

東名CCクラチャン
斉藤清裕さん(54歳・HC0)(中)

白水GCクラチャン
森村貞夫さん(68歳・HC+4)(右)

【左足下がりの達人】
東名CCクラチャン斉藤清裕さん

「ここを攻略できたら怖いものなし!」と斉藤さんが言うのは東名CC愛鷹Cの6番。かなりの打ち下ろしで、セカンドからはグリ―ンにかけてコースが狭くなっている。斉藤さんはどうやらこのホールの攻略に「ピッ」という擬音語を使うらしい。いったいその技とは……。

GD 斉藤さん、その左足下がりでする「ピッ」って何のことですか?

画像: 左足下がりは右足が邪魔をするもの

左足下がりは右足が邪魔をするもの

斉藤 まずはアドレスしたときに右足を大きく開きます。右足を「ピッ」と上げるぐらいのイメージで右足を開くんです。左足下がりで一番気になるのはダウンスウィングで右足が邪魔になることです。右サイドが高く少し窮屈に感じてアウトから下りてきて、引っかけなどのミスが出てしまいます。右足を開くだけでフラットなライから打つくらい楽に振れますよ。意識することは2つあります。普段のスウィングの7割の振り幅で打つことと、目線を低くしてあげることですね。

画像: 右足つま先を開くことで手の通るスペースができる 左足下がりは基本的に右サイドが高いのでダウンスウィングでクラブの行き場がなく詰まりやすい。つま先を開くことでスペースができ、スウィング中の詰まった違和感がなくなる

右足つま先を開くことで手の通るスペースができる 
左足下がりは基本的に右サイドが高いのでダウンスウィングでクラブの行き場がなく詰まりやすい。つま先を開くことでスペースができ、スウィング中の詰まった違和感がなくなる

GD これなら僕らでもできそうですけど、ほかにも注意することありませんか?

斉藤 これだけで左足下がりが楽になりますからやってください。だれでも右足を開くだけで簡単にできちゃうから僕の“奥義”なんですけど、ここだけのハナシにしといて下さいね。

画像: セカンド地点から左足下がりがきつく傾斜のうねりがあるホール。2打目以降はグリーンに向け狭まった難易度の高いホール

セカンド地点から左足下がりがきつく傾斜のうねりがあるホール。2打目以降はグリーンに向け狭まった難易度の高いホール

3つのポイント

ポイント①
右足のつま先を大きく“開く”

テークバック時に右サイドが広くなるので、しっかりとねん転を作ることができる。ダウンスウィング時も同様に、邪魔をしていた右足がなくなるので、右足太ももの前にスペースができて、詰まることなくキレイに振り抜ける

画像1: 3つのポイント
画像2: 3つのポイント

ポイント②
振り幅は小さく、7割スウィング”

アドレスしたときの左右の足の高さがちがうので、通常のスウィングをするのが難しくなる。下半身の動きに制限があるので、安定させながら振るには7割スウィングでコンパクトに振るといい

画像3: 3つのポイント

ポイント③
目線は低く、起き上がらない”

左足下がりはボールの行方を見ようとして、すぐにヘッドアップしやすい。頭が上がると前傾が起きやすくなる。打ち出すボールよりも目線を低く持っていき、前傾の起き上がりを防ごう

画像4: 3つのポイント

右足が邪魔をしない! 傾斜を気にせず振り抜ける

【つま先下がりの達人】
ユニオンエースGCクラチャン吉岡伸也さん

ドライバーは平均280㍎飛ぶという吉岡さんだが、ときに暴れ球が出るという。そんなときはだいたい左のノリ面が定位置で、つま先下がりがいつの間にか上手くなったという。ハテサテそのコツは?

GD つま先下がりはボールとの距離を変えないってどういうことですか?

吉岡 アドレス時の腕とクラブの長さをキープしたままインパクトできると、ボールとの距離が変わらないからダフリ・トップは無くなります。そこに僕は注目しました。左腕とクラブを1本の棒にして、さらにスウィング中は左ひじを曲げません。

画像: 〇つま先下がりは左ひじを曲げない、×ヒザを曲げてボールとの距離を作ると、ヒザが伸びたときに距離が変わってしまう。ヒザは伸ばしてしっかりボールとの距離を保とう

〇つま先下がりは左ひじを曲げない、×ヒザを曲げてボールとの距離を作ると、ヒザが伸びたときに距離が変わってしまう。ヒザは伸ばしてしっかりボールとの距離を保とう

GD 左ひじを曲げずにスウィングって難しくないですか?

吉岡 7割ぐらいのスウィングって左ひじは曲がってませんよね。そんなイメージです。

画像: 全体的に左から右に傾斜しているホール。右のOBが浅く、左に逃げるとつま先下がりで長い距離の難しいショットが要求される

全体的に左から右に傾斜しているホール。右のOBが浅く、左に逃げるとつま先下がりで長い距離の難しいショットが要求される

GD 打つときも7割ですか?

吉岡 もちろんです。足元が安定しない斜面では10割厳禁です。もう1つの大事なポイントは、左ひじと胸との距離間です。この距離をキープしたままテークバックすることで、上下のねん転が生まれて手打ちを防ぐことができます。

つま先下がりは、打つ前が大事!

ポイント①
左ひじと胸との距離をキープしてスウィングする

テークバックするときの注意点として左ひじと胸との距離をキープする。手で上げると左ひじが胸に近づき、上体の回転不足で手打ちになる。この2点の距離を保ち、そこに上体の回転が加わってボールとの距離をキープしたまま打つことができる

画像: 左手のグリップは親指と人差し指の2本は緩く持つ。5本指で力を入れてしまうと腕とクラブを一直線にしにくくなる

左手のグリップは親指と人差し指の2本は緩く持つ。5本指で力を入れてしまうと腕とクラブを一直線にしにくくなる

ポイント②
ボールは1個分右におく

通常のショット時のボール位置よりも1個分右足よりに置く。ボールに早くコンタクトさせるためで、スウィング中のわずかなミスも軽減される

画像1: つま先下がりは、打つ前が大事!

ポイント③
上体を使ってひねる

ヒザを伸ばしたときの上体はひねりにくくなる。背筋・腹筋などの大きな筋肉を意識してひねることで、ボールにパワーをしっかり伝えることができる

画像2: つま先下がりは、打つ前が大事!

【左足上がりの達人】
白水GCクラチャン森村貞夫さん

森村さんの平均飛距離は220㍎。群馬の浅間山の山裾にある白水GCは、つねに傾斜からのショットが求められる。とくに7番は、左足上がりがキツイはずなのだが、クラブハンデ+4の森村さんにかかってはそうでもはいようだ。

GD 森村さんは距離のある傾斜の場合、どんな対処をしていますか?

森村 そうですね、もともと飛距離が出ないほうで、どのホールも平らなフェアウェイまで届かないんです。毎度斜面からのショットでしたのでたくさん揉まれてきました。長年研究した結果、傾斜に対して平行に構えることが重要だとわかりました。

画像: アドレス時の体重配分は左足が4、右足が6の割合。体重移動は意識せず、その場で回転するように意識する。また、コンパクトにスウィングする森村さんはキレイにボールのみを拾い打つ。飛距離は出ないが、安定性と再現性の高いスウィング

アドレス時の体重配分は左足が4、右足が6の割合。体重移動は意識せず、その場で回転するように意識する。また、コンパクトにスウィングする森村さんはキレイにボールのみを拾い打つ。飛距離は出ないが、安定性と再現性の高いスウィング

森村 ヘッドも地面に沿って振りたいので、肩と腰、ヒザのラインは地面に平行するのが鉄則です。スタンスは少しオープンにして振りやすくし、グリップはギリギリまで短く持ってコンパクトに振ります。自分のゴルフ仲間から聞いたりして、いろいろ試してよかったものだけを自分の技として磨いています。ヘッドは、ほうきではくようにサッと振り、ボールだけを打つイメージです。これができればどの傾斜も安心です。

森村さんの“左足上がり”の3つのお約束

ポイント①
斜面に逆らって立たない

アドレスで傾斜に逆らって構えてしまうと、ヘッドが地面と喧嘩をしてしまう。ボールだけをきれ
いに打つためには、肩、腰、ひざのラインを地面と平行にする必要がある。ラインを合わせると、ヘッドの軌道が斜面に沿った軌道に。

画像1: 森村さんの“左足上がり”の3つのお約束

ポイント②
スタンスをオープンにして振り抜きやすくなる

「左足上がりはインパクトからフォローにかけて体が回転しにくくなります。そこでオープンスタンスにすることでインパクト後の体が回転しやすくなり、スムーズにフィニッシュまで振り抜けます」(森村さん)

画像2: 森村さんの“左足上がり”の3つのお約束

ポイント③
グリップはギリギリまで短く持つ

「傾斜ショットはコンパクトに振ることが鉄則です。長いクラブでもグリップギリギリまで持ちます。するとクラブのバランスが軽くなり、不安定な斜面でも安定してコンパクトに振ることができるんです」(森村さん)

画像3: 森村さんの“左足上がり”の3つのお約束

“つま先上がり”でいっちょあがり!

傾斜に逆らわず
打ったら左足を引く(斉藤清裕さん)

「傾斜だからといって、下半身を安定させようとする人もいますが、かえってバランスを崩してミスにつながります。そんなとは傾斜に身を任せてショット後は2、3歩足を低いほうに踏み出すと楽に打てますよ」(斎藤さん)

画像1: 傾斜に逆らわず 打ったら左足を引く(斉藤清裕さん)

ポイント:フェースを少し開く

「つま先上がりでフェースを真っすぐにすると地面に刺さりやすくなります。フェースを少し開いてあげることで、ソールの接地面が少なくなって、つま先上がりがよりやさしくなります」

画像2: 傾斜に逆らわず 打ったら左足を引く(斉藤清裕さん)

つま先上がりは
上からクラブを吊る(吉岡伸也さん)

「つま先上がりも同様にボールとの距離間を保ちます。クラブを上から吊る意識が難しいので、真っすぐ伸ばした腕をゆっくり下ろすことで、自分の腕とクラブが正しい距離を作ってくれます。あとはこの距離を保って打つだけで攻略できます」(吉岡さん)

画像1: つま先上がりは 上からクラブを吊る(吉岡伸也さん)

ポイント:つま先上がりはヘッドが落ちやすいのでトウ先をプレーンに乗せてあげる

「つま先上がりのスウィングプレーンは平らなときよりフラットになります。横振りのスウィング中は重力を受けてヘッドが落ちようとしてしまうので、ヘッドのトウ先をプレーンに乗せて上げるような重力に逆らう動きが必要です」

画像2: つま先上がりは 上からクラブを吊る(吉岡伸也さん)

PHOTO/Shinji Osawa

ILLUST/Takanobu Okabe 

※アマチュアの方々には、ボランティアで協力してもらいました

週刊GD8月18日号より

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