最終日に「64」を出し、圧巻のゴルフで並みいる強敵を倒したコリン・モリカワ。緊張する場面で
もフェアウェイを狙い撃ち。その安定感の高いスウィングの秘密を内藤雄士プロコーチが語る
アメリカの現地の解説者は彼のスウィングを「オイリー」と呼ぶ。関節にオイルを塗りたくったように淀みなく体が動くことから、そう評している。
モダンとクラシックの
いいとこ取り
全米プロの最終日、コリン・モリカワが16番ホールでイーグルを奪ったときのドライバーショットが優勝の決め手となったと騒がれているが、内藤雄士は、その前の15番のティショットを絶賛していた。
内藤 14番でチップインしたあとなので、そのあとのティショットはたいてい力むものです。でも彼はさらっとフェアウェイに置きましたよね。あ、この選手勝つなと、あの瞬間思いましたよ。
4日間を通してのフェアウェイキープはナンバー1。曲がらないし、アイアンもピン筋に飛んでいく、ライバルにとっては、戦いづらいことこの上ない。
内藤 彼のスウィングの強みは何といっても、いつも変わらないリズムと力みのない滑らかさですよね。強く叩こうとか、120%の力を出してぎりぎりまで飛ばそうとかは考えていない。つねに8割ぐらいの力で、コントロールできるなかで振っている。
内藤 ドライバーからアプローチまで再現性が高いんだと思います。一方でいまどきの飛ばしの要素も少し入れていて、トップでは掌屈(左手首が手のひら側に折れる)が入って、フェースをシャットに使っています。
【a】…「トップからダウンスウィングにかけて手首の掌屈をゆるめながら腕がローテーションをする。インパクト付近からは強烈なヒップターンが入る。J・トーマスとD・ジョンソンのいいとこだけを取って生まれた形ですね」(内藤)
【b】…「インパクトからフォローにかけて手首をこねる動きはまったくなく、腕のローテーションを使っています。ナチュラルにローテーションできているからとにかく安定した球が打てるんです」
【c】…「力みのないスウィングでナチュラルなインパクトポイントを持ち、リズムやプレーンもナチュラル。まさにオイリースウィングが彼の強みですね」
内藤 ただしそこからはフェースがシャットのまま下りてこずにスクェアに下ろし、ハーフウェイダウン以降は、いま流行りの『シャット×ハンドファースト』ではなく、腕のローテーションも入れている。いまどきの打ち方とクラシックな打ち方のいいとこ取りのスウィングと言えるでしょうね。
解説/内藤雄士プロコーチ
週刊GD9月1日号より
PHOTO/ Tadashi Anezaki
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