「考えた数だけ悲劇は起こる。だから減らす」今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第五十八話。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

前回のお話し

スパットは空中に

高松 打つ前にティインググラウンド上にスパットを見つける儀式をせんと、構えられへんいうもんが結構おるね。

奥田 おりますね。打つ前に球の後ろから線付けて、その線上にスパット見つけて、それに合わせて構えに人る。自分では思った方向に打つためにごっついええことしてる気になってますけど、そういうもんをたくさんかき集めればかき集めるほど、大変な事件が起きるいうことが分かってないんです。

高松 頭のなかで浮かんだ考えごとの数だけひどいことが起こる。そやからなんもやらんのが一番よ。良かれと思ってやってることを全部捨てるのが一番。

奥田 こうやったほうが絶対ええ球になるという決まりごとをですわね。

高松 せめてスパット見つけるなら、地面やのうて空中に見つけたらええねんけどな。

奥田 そうですね。うちの流派では打つ前に飛んでいく球の全体像を絵にして思い浮かべますけど、それがいきなりは難しいいうんやったら、空中に一点でいいから目標物を見つけたらいい。

高松 「あの雲やな」と思ったら、雲に対して地面のスパットと同じ手順で構えてな。

奥田 そしたら地面見なくていいですもんね。地面なんて球は一回も通らないんやから。

画像: スパットは空中にみつける

スパットは空中にみつける

高松 こないだ一緒に回ってくれたアマチュアのFさんもスパット派やったからそれを教えたんよ。そしたら「打ち下ろしのショートだけはそうやってやってます」いうてたわ。

奥田 なるほど。完全に僕らと逆行ってますね。僕らは反対で、打ち下ろしはグリーンを見る。実は僕も昔は空中を見てやってたんです。そしたら一緒に回ってた橘田先生に「お前、グリーンどこにあんねん」って聞かれて、「下です」って答えたら、「そしたらなんで上見とんねん。下見て打たんかい!」って怒られたことがありましたわ。

高松 そらもう目つきから仕草から全部見てるからね。

奥田 はい。勝手に素っ裸にされてました。

高松 話は戻るけど、アマチュアFさんみたいなスパット派は、全部きっちりやらないかん、なんか見落としたらいかんいうて、いい加減にできん。そこがいかんね。

奥田 そういえばFさんは、普段は必ず距離計測器持って回ってるいうてました。奥さんがバラしてくれたんやけど、僕らと回るから「可能な限り捨ててきました」いうてました。

高松 可能な限りでもまだ足りんかったいうことやね。

奥田 それで「ヘッドのことだけ考えな、考えな」って思って来たんですけど、回り始めるとやっぱりそれを忘れてしもうたらしいです。

高松 今までやってたことを1割減らしてやって、それで結果が出たら継続する気になるけど。そうやろ、やり切れるかな。1割減らしてそこからなんか生まれるかどうか。

奥田 前に先生いうてましたけど、減らすとか落とすということをゴルファーはなかなかできない。すべてをマックスできっちりやりたがる。だから、たとえば飛距離を全番手10㍎落として18ホール回れいうたって、誰一人最後までできんいうてましたね。

高松 たった10㍎の話なんやけど、できんな。そこと柑当強い気持ちで向き合わんと。

奥田 でも、そこをやり切ることができたら、1割減らすことの本当の意味が見えてくるですわね。

2015年月刊GDより

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