「自分の最低のショットを覚えていればイライラなんてしない」今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第五十九話。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

前回のお話し

自分を下手やと思えばええ

高松 練習場ではまあまあ打てても、コースではさっぱりいうもんは多い。でもそこで「なんでいつもみたいに上手いこといかんのや」とイライラするんよね。

奥田 まだゴルフ歴があんまり長くなくて、ゴルフに一番アツくなってる時期の人は特にそうなりやすいですね。頭のなかがスコアアップ一色やから。

高松 上手くなりたい、負けたくない、そう思うほどイライラする。今回、一緒に回ってくれたアマチュアのNさんもまさにその口。

奥田 はい。ゴルフ歴3年で、最近は週2回ラウンドしてるそうですから、一番燃えてる時期でしょうね。しかも、今日は僕らと回るいうことで気合いも人ってたのに、出だしからつまずきっぱなし。ほんまにイライラしてたと思います。

高松 本人も「とにかく不調な日のメンタルをどう安定させたらええのかさっぱり分かりません」いうてたわ。

奥田 同伴者に対してイライラするなら、まだ対処の仕方もある。でも、自分に対しての場合はすぐに解消するのは難しいですわね。先生ならどないしますか。

画像: 高松志門プロ

高松志門プロ

高松 そらもう自分は下手やと思えばええよ。下手やと思ったらイライラなんてせんから。オレはずっとそうやってきた。

奥田 要は自分の最高の球を思うてたらイライラしやすいいうことですわね。自分の最低の球を知っておいて、そっちのほうを思えたらええと。

高松 そうそう。最高の球はみなよう覚えてるけど、最低の球は打った本人が一番すぐ忘れるやろ。それでコースに来たら「なんでいつもの最高が出んのや」と腹立ててる。いつもの最低はどこいったんやと思うんやけど。

奥田 最低の球を知ってそれだけ思っておけば、「ああ、今日は最低ばっかりよう出るな」としかなりませんね。だって最高と最低が出る確率は同じ。つまり、最高ばかり出る日があれば、最低ばかりが出る日も必ずある。そういうもん。

高松 そもそもほんまに上手いやつは練習場でも一発もミスショットせんしな。自分がそういうゴルファーかどうか考えたら、イライラする必要なんて微塵もないことが分かるはずや。

奥田 でも先生、人間、自分の最低ってなかなか認められないもんですよ。それに「最低ばっかり考えろ」と教えると、あまりにも向上心がないんちゃうかと世間一般では思われますしね。

高松 最高を増やすことが向上、というのが普通やからな。

奥田 そうですね。でも本物の向上というのは最低をなくすこと。最低を底上げすることに向上心を持つべきです。

高松 あと、つけ加えるならゴルフというゲームをよう知ることで、さらにイライラは解消できる。野球でいうたら、全員が4番バッターでは9回全体のゲーム運びはできない。1番は打つことより相手に10球投げさせるとか、2番は送りバントだけは絶対失敗しないとか。阪神の上本なんて打つ気さらさらないけど、なくてはならん存在や。

奥田 つまりゴルフも同じで、全ショットが4番バッターばっかりの一本調子になってはゲームにならんいうことです。ゴルフを長くやってれば、一本調子ではゲームメイクするのは無理ということに気づく。硬いグリーンにはこう、狭いホールにはこうと、1番バッターから8番バッターまで揃えておかんと対処ができない場面がたくさん出てくるから。Nさんもそういうのを覚えたらええですね。

高松 そうや、奥ちゃん。あかんかった!

奥田 どないしたんですか。

高松 Nさんは中学でソフトボールやってたんやけど、8番ライトやった。4番の当たりを求めるのも無理ないわ。

2015年月刊GDより

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