GD アプローチはドロー回転で打ったほうが距離感が合うとのことですが、そもそも“ドロー回転”という発想がまったくないのですが……。
伊澤 カットでももちろん打ちますが、ドローのほうがミスが少なくなおかつピンに寄る。実はこれ、プロでも使う技術、しかも意外とカンタンなんです。ドロー回転のアプローチの特徴は、入射角が鈍角になりインパクトゾーンが長くなることです。上下の打点のミスが少なくなり、毎回同じ球が打てるんです。なので、とにかく距離感が合わせやすい。
GD なるほど。ただ、ドローだと球が強くなりそうです……。
伊澤 その心配は無用です。フェースにボールが乗る時間が長くなるので、しっかりスピンが入りますし、手首を返してドローをかけるわけではないので、強い球が出る心配はしなくていいんですよ。
スピンが安定するワケ
【ワケ①】
入射角が緩やかになる
インサイドからヘッドを入れるので入射角が緩やかになる。上から打ち込まず、横から払うためインパクトはマチマチにならず、常に安定してヒットできる。
【ワケ②】
インパクトゾーンが長くなる
点ではなく線でボールをとらえられるので、インパクトゾーンが長く、打点のブレが少なくなる。フェースにボールが乗る時間が長くなり、スピンもしっかり入る。
【ワケ③】
当たり負けしない
カットにいれるアプローチと違い、切るように当てないのでラフからでも当たり負けしにくい。フェース面の向きが変わりにくく、一定のスピン量が保てる。
【チェック!】「キャリーとラン比率は3対1」
「クラブやボールにもよりますが、キャリーとランは3対1くらいですね。もちろんライが変われば止まりにくいこともあります。今回の花道からであればこれくらいを目安にしてください」(伊澤
スピン量が一定だから距離感が合わせやすい!
軌道でおうぎを
作ってみよう
GD ではドロー回転をかけるには、具体的にはどうすればいいですか?
伊澤 まず、覚えてほしいのは、『ドロー回転はスウィング軌道で作る』ということ。上から見たときに“おうぎ形”になるように、イントゥインで振ります。弧を描くような軌道で振ることで、ドロー回転がかかります。
GD インサイドからクラブを入れるということですね。
伊澤 そのとおりです。クラブが体から離れないように、一定の距離を保って振るようにしましょう。体から離れると、おうぎを描けません。またフォローでは左手でクラブを引っ張る意識を持つと、スムーズにインに抜けていきます。
伊澤 引っ張るといっても、体の正面からクラブが外れてはダメですよ。大事なのは、短い距離でも体の回転で打つこと。手先だけでも打ててしまいますが、それだと軌道が真っすぐになりやすい。背骨を意識して振ることで、軸のブレも防げますし回転するイメージも湧きます。体とクラブを同調させて回転することで、きれいなおうぎを描くことができるんです。
まずはアドレスをチェック
「手元の位置は左わきの下が正解です!」
左手をだらんと下に垂らしたところが手元の位置。右手をそこに添えるように握る。ボール位置は真ん中にセットし、ハンドファーストになった分だけフェースは開く。スタンスをオープンにすることで、フォローでクラブをインに振り抜きやすくなる。
【ポイント1】左わき下にセット
【ポイント2】ハンドファーストな分、フェースは目標の右を向く
【ポイント3】オープンスタンスで構える
おうぎで振るためのポイント
【ポイント①】
体の近くにクラブを通す
スウィング中、グリップが体の近いところを通るように振る。真っすぐ引くと、体から離れていきおうぎを描けない
【ポイント②】
背骨を中心に体を回転する
距離が短くても、体の回転は忘れない。体とクラブが同調するように振る。背骨に軸を意識すると、軸を中心に回転できる。軸自体もブラさないように
【ポイント③】
左手でクラブを引っ張る
フォローでもインに振り抜くため、クラブを引っ張る意識を持つ。ピンに向かってボールを出したい気持ちが強いと真っすぐ動きやすくなるので注意
【ドリル】
ヘッドの後ろに物を置いて打ってみよう!
おうぎ形の軌道を作るために、ボールの真後ろにものを置いて打つ。ものに当てないように上げることでインサイドに引く意識がつきやすい
フォローで左手の甲を
下に向ける
伊澤 ドロー回転で打つためには、スウィング軌道に合わせて、フェース面の意識も大切です。
GD フェース面の管理ということですね。
伊澤 フォローでフェース面が自分に向いていればOKです。手首を返して、フェース面が見えなくなるのは間違い。フェースを返してドローを打ちたくなりますが、それでは球足が強くなり、距離感が合いません。
GD では、具体的にどうするのですか?
伊澤 左手と右手にわけて考えてみましょう。まず左手の使い方ですが、インパクトからフォローで左手の甲を空に向けるように動かします。ロフトを立てるように使うのではなく、球を持ち上げていく感覚です。次に右手の感覚ですが、インパクトでボールを包み込むようなイメージで打ちましょう。横からやさしく包み込んでいくのがいいと思います。カット軌道になると上から切る動きになり、フェース面の向きがばらつきます。
正しくフェースを使おう!
【ポイント①】
フェース面が自分を向く
目標に対してフェースを開いたアドレスの状態のまま、フォローではフェースを自分に向ける。自分からフェース面が見えないのはNG。フォローでは球を上に上げるイメージを持つ
【ポイント②】
ボールを包み込む意識
右手はボールをやさしく包み込むイメージで打つ。横から払っていく感覚。カット軌道になると、アウトからこする動きになりスピン量が不安定になる
クラブを上から入れないから柔らかくスピンのきいた球になる
ピンが近いときは?
GD ピンが近かったらさすがにドロー回転のアプローチは使わないですよね?
伊澤 いえ、ピンが近いときでもドローは使えます。基本の打ち方にひと工夫するだけで、カットで止めるアプローチよりもカンタンに寄せられるんですよ。ポイントはふたつです。ひとつめは、アドレスでソール全面を芝にくっつけること。ふたつめは、ヘッドが地面をするくらい低くテークバックすることです。フェースに乗る時間が長くなり、よりスピンが入ります。フェースを開いているぶん球も高く上がるのでピンが近くても問題ありません!
【構え方のポイント】
ソール全部を芝につける
基本のアドレスを作ったら、そこからソール全体が地面に着くくらい、フェースを開く。最大限バウンスを使えるので、カットよりもカンタンに打てる
【打ち方のポイント】
地面すれすれにヘッドを通す
ヘッドの位置は低くを意識。入射角をより鈍角にしたいので、基本のスウィングよりも、イントゥインの度合いは強くなる
PHOTO/Hiroaki Arihara
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