ふわふわで軟らかい砂のバンカーは見た目はキレイだけど、実は脱出させることすら難しい厄介者。
「いつものバンカーショットとはそもそも打ち方が違うんです」と教えてくれたのはコブちゃんこと小袋秀人。その極意を大公開する!

画像: 【解説/小袋秀人】 こぶくろひでと。1991年生まれ、神奈川県出身。2012日本アマチャンピオン。松山英樹、石川遼と同世代。先日行われた、AbemaTVツアー『ディライトワークスチャレンジ』でプレーオフの末、優勝を果たした。戸塚CC所属

【解説/小袋秀人】
こぶくろひでと。1991年生まれ、神奈川県出身。2012日本アマチャンピオン。松山英樹、石川遼と同世代。先日行われた、AbemaTVツアー『ディライトワークスチャレンジ』でプレーオフの末、優勝を果たした。戸塚CC所属

バンカーだから
上から打つはNG

GD そもそも砂が軟らかいとなぜ難しくなるんですか?

小袋 砂が軟らかいのは砂の粒子が細かいということ。粒子が粗い砂とくらべるとヘッドが潜りやすくなるんです。

GD そうするとエクスプロージョンがしにくいということ?

小袋 そうなりますね。バンカーといえばやや上目からヘッドを打ち込んで砂を爆発させるイメージがあるかもしれませんが、その打ち方だとヘッドが深く潜ってしまって脱出すらできない可能性もあります。

GD 深く刺さると振り抜けなくなりますよね?

小袋 そのとおり。だから爆発させず、砂の表面をサラッと薄く取る打ち方をします。イメージは、ボールに直接コンタクトする感じ。それでも砂が軟らかいのでバウンスが当たって砂は薄く取れるはずです。

画像: 砂粒が小さいことをわかってね

砂粒が小さいことをわかってね

GD なるほど。では、そもそも軌道が大きく異なるとうことですね?

小袋 軌道はもちろんですが、アドレスも変わります。では砂を薄く取るためのセットアップから説明していきましょう。

画像: バンカーだから 上から打つはNG

だから、ふわふわバンカー専用の“準備”と“打ち方”が必要!

画像: 右手のひらで砂の表面を薄く切り取るようなイメージで振ってサラッと振り抜くのがコツ。上から打ち込むイメージだと砂に深く潜ってしまい振り抜けずにまったくボールが飛ばないことも

右手のひらで砂の表面を薄く切り取るようなイメージで振ってサラッと振り抜くのがコツ。上から打ち込むイメージだと砂に深く潜ってしまい振り抜けずにまったくボールが飛ばないことも

アドレスは
ドライバーと同じ

GD 通常のバンカーショットと異なる構え方とは?

小袋 まず必要な軌道をイメージします。今回の場合は、緩やかなU字です。通常はV字をイメージしますが、ヘッドが深く潜ってしまいます。緩やかなU字軌道を描くにはどう構えればいいのかを考えると、スタンスはスクエアでフェースも開かなくてもいいという結論になります。

GD フェースも開かなくていいんですか?

小袋 たとえばハイティーアップしたボールをウェッジで打とうとしたら、フェースを開くとダルマ落としになりそうですよね。ふわふわバンカーは、それと同じ状況ということ。だから極端にいえば、構え方はドライバーと同じが正解(笑)。そうすれば、ハイティーアップしたボールでも横からクリーンに打つイメージが作れるはず。通常のバンカーショットとは真逆のイメージが必要になります。

画像: ドライバーで打つわけじゃないよ(笑)

ドライバーで打つわけじゃないよ(笑)

バンカー入り口で足裏で砂質確認を!

実際にバンカーの砂がふわふわかどうかのジャッジは足裏で感じるのが一番。バンカー内に入る第一歩でまずは砂質を感じて、さらにボール位置で足場を安定させる際にも足裏でしっかり感じよう

画像1: 【バンカー】キレイだけど、入ると厄介! 白砂ふわふわのバンカーからウェルアウト

アドレス4つのポイント

【ポイント①】
フェースは開かなくていい

緩やかなU字軌道でボールの真横からヘッドを入れるには、フェースは開かずスクエアのほうがボールだけを拾いやすくなる

画像1: アドレス4つのポイント

【ポイント②】
足をしっかり砂に埋める

砂が軟らかいぶんだけスウィングしたとき、足場がズレやすくなる。砂質の確認しつつ、しっかり足は安定させる

画像2: アドレス4つのポイント

【ポイント③】
スタンスはスクエア

スクエアに構えることで鋭角に上から入ることを防げる。また、ボール位置も真ん中よりも右には絶対に置かないこと

画像: ボール位置は真ん中より右はない!

ボール位置は真ん中より右はない!

【ポイント④】
体重配分は5:5の均等に

通常のバンカーショットでは打ち込みたいので、左足体重にするが砂を薄く取りたいときは左右均等でいい

画像3: アドレス4つのポイント

打ち方の
イメージも準備しよう!

軟らかい砂の上にボールが乗っている状況は、ちょうどハイティーアップしたボールと同じ状況だと考える。そうすると、オープンスタンスでフェースを開いて構えると、ティーの下を打ってしまうイメージが出てしまう。それではボールを飛ばせないので、自ずとスタンスはスクエア、フェースも開かないアドレスになる。

画像: ダルマ落としになったらダメよ!

ダルマ落としになったらダメよ!

ティーアップされたボールをSWで打つイメージを持っておこう

緩やかなヘッド軌道をイメージしよう!
緩やかなU字軌道だと砂の表面だけを薄く取ることができるので、ボールを前に飛ばすことができる

画像1: 打ち方の イメージも準備しよう!

V字軌道だとヘッドが潜ってボールは飛ばない
通常のバンカーショットではV字軌道をイメージして鋭角にヘッドを入れるが、砂が軟らかいと潜ってしまう

画像2: 打ち方の イメージも準備しよう!

体の内側から
振り下ろそう

GD 準備は完璧です! 次は実際に振るときの注意点は?

小袋 砂を薄く取りたいので、できるだけ入射角を鈍角にしたい。そのためにはインサイドからヘッドを入れます。

GD バンカーショットでインサイドから入れるのは聞いたことがないですね!

小袋 あまり砂を取らないためのコツです。バンカーショットでエクスプロージョンが苦手な人は、意外とこの打ち方のほうが楽に脱出させられるんです。

GD ポイントは?

小袋 まずテークバックでコックを入れずに、低い位置にヘッドを上げることです。体の回転に沿ってややインサイドに上げるのがコツです。切り返し後は、右足体重のまま体を回転させます。ダウンスウィングで左足に体重を乗せると、ヘッドの入射角が鋭角になってしまいます。

画像: 流行りのシャローイングのイメージですね(笑)

流行りのシャローイングのイメージですね(笑)

GD いま流行のシャローイングと同じ感じですね?

小袋 たしかに(笑)! 低い位置からヘッドを入れるという共通点は一緒ですね。

ポイント①
トップは低くしてインサイドから入れる

手先でクラブを上げずに、体の回転に沿ってインサイドにヘッドを上げていく。トップ位置は高く上げずに低くすること。フラットな軌道をイメージすると、インサイドにヘッドを上げやすくなる。外側に上げると、アウトサイドイン軌道になりヘッドの入射角は鋭角になる

画像1: 体の内側から 振り下ろそう
画像2: 体の内側から 振り下ろそう

ポイント②
右足体重のまま振り下ろす

コックを使わずにヘッドを体から離すようにしてテークバックしたら、ダウンスウィングではそれを戻すだけ。やや右足体重のままで体を回転させることで、ヘッドの入射角が浅くなる。打ち込む意識が少しでもあると体が突っ込んだり手が前に出る動きが入りやすい

画像3: 体の内側から 振り下ろそう
画像: コックを使う意識が強いとヘッドが鋭角に下りて振り抜けない

コックを使う意識が強いとヘッドが鋭角に下りて振り抜けない

画像: ハンドファーストの意識もミスの原因になる

ハンドファーストの意識もミスの原因になる

ポイント③
右足をベタ足のまま腰を回転させる

しっかりと埋めた足場は、そのまま動かさないイメージで腰から上の動きだけでスウィングする。とくに右足は、ベタ足で振ると入射角を緩やかにヘッドが入れやすくなる

画像4: 体の内側から 振り下ろそう

インサイドアウトに振れば自然と砂が薄く取れる

大きなボールと
思って打つ

小袋 ふわふわバンカーは、クレーターのような目玉になりやすいのも特徴ですが、打ち方はこれまでの説明と真逆です。

GD 同じ軟らかい砂なのに?

小袋 目玉からの脱出のポイントは、ヘッドをいかにボールの下に入れるかです。通常のバンカーより、ヘッドは潜りやすくなっていますが、軟らかいぶんヘッドが刺さりすぎることも警戒しなければならない。そこでヒールから入れて、クレーターごと掻き出すイメージが必要になります。

画像: ふわふわバンカーだとよく出くわすライ

ふわふわバンカーだとよく出くわすライ

GD なかなかパワーが要りそうですね。

小袋 いつもより3倍は大きいボールを打つイメージを持ってください。

ポイント
上から叩き込むイメージを持つ

薪割りのように、真上からヘッドを振り下ろすくらいのイメージでタテにヘッドを振り下ろす。大きなボールをイメージして、それを飛ばすつもりでスウィングする

画像: 大きなボールと 思って打つ

クレーターごと砂を大爆発させて脱出

画像: フェースは開かず構えトップは高く大きく上げる。コックはほどかず、上から打ち込む!

フェースは開かず構えトップは高く大きく上げる。コックはほどかず、上から打ち込む!

PHOTO/Hiroaki Arihara

週刊GD11月24日号より

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