前回に引き続き、タイガーの元コーチ、クリス・コモが若いときに感じた「コーチによって教えることがバラバラ」という疑問について、クォン教授に聞いた。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

前回のお話し

吉田 前回、ゴルフでは「ショットの結果に対する正確性」が極めて重要だという話を伺いました。

クォン うむ。たとえどんなに速いヘッドスピードと素晴らしい飛距離を生み出せたとしても、正確性を欠いていたら、せっかくのスピードを生かせていないことになる。

吉田 まさに飛距離の無駄遣いですね。

クォン もちろん、競技のレベルが上がるほど、飛距離のアドバンテージは重要になってくる。しかしそんななかでも、高い正確性を有する選手はいるし、結果として、そんなに飛ばない選手が勝ってしまうことも珍しくない。

吉田 先日ソニーオープンを制したマット・クーチャーがいい例ですね。ソニーオープンまでのスタッツを見ると、飛距離は291㍎(136位)と平均以下ですが、フェアウェイキープ率は77・1%で全体の6位。この飛距離で今季すでに2勝を挙げています。

クォン ショットの結果が重要である以上、スウィングの良しあしも、ショットの結果によって判断されやすい。つまりいいショットを打っている選手が、いいスウィングとみなされやすいということ。これが、さまざまなスウィング理論が乱立している要因じゃないかな。もはやカオスにも似た状況だよね(笑)。

画像: いいショットが出たら、そのスウィングはいいスウィングだと思われがちだが、そうとは限らない。大事なのは、体に負担が少なく、効率的にヘッドを走らせることができているかどうか。それには、スウィングの良しあしを生体力学的に分析する必要がある

いいショットが出たら、そのスウィングはいいスウィングだと思われがちだが、そうとは限らない。大事なのは、体に負担が少なく、効率的にヘッドを走らせることができているかどうか。それには、スウィングの良しあしを生体力学的に分析する必要がある

吉田 結果の一貫性が求められるスポーツだけに、結果を出している選手のスウィングがいい動きと思われる風潮はたしかにあるかもしれません。

クォン スウィングの形がどうであれ、インパクトでフェースがボールにきれいに当たりさえすれば、たしかに真っすぐには飛ぶ。でも、スウィング全体の流れが悪ければ、必ず体のどこかに負担がかかってケガをしやすいし、効率よくスピードを出すことも難しい。

吉田 いろんなコーチがいろんなことを言いますが、教えている選手の結果が出さえすれば、その理論は正しいことになってしまう。でも、それが必ずしも生体力学的に理に適った動きであるとは限らないわけですね。

クォン ゴルフの動きは複雑だと思われがちだが、それはいろんな理論が乱立しているせいであって、生体力学の面から研究すると、決して難しい動きではない。方向が一回だけ変わるひとつながりの動きにすぎず、極めてシンプル。あとは、ゴルファーがこの科学的事実を受け入れてくれるかどうかだけだね。

週刊GDより

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