「冬ラフなんて、気にしない」なんてゴルファー、多いはず。「おいおい、冬のラフをなめちゃいけないよ。確かに、からみつくような夏ラフに比べれば打ちやすいのは事実。でも、冬ラフはHSが速くなくても、フライヤー気味に飛びすぎることがあるし、球の下をくぐるミスも出る。注意が必要なんだ」青山プロの教え、知っておくと冬のゴルフに役立ちますよ!

画像: 解説/ 青山薫プロ 本誌おなじみのツアープロ。最近では、女子プロやシニア、トップアマら、テレビの対決番組でも活躍中

解説/ 青山薫プロ
本誌おなじみのツアープロ。最近では、女子プロやシニア、トップアマら、テレビの対決番組でも活躍中

「飛び過ぎ」「ポッコン」
両方出るから厄介だ

GD 冬のラフは、ボールが浮いていて打ちやすいと思うことが多いのですが、フェアウェイウッド(以下FW)で球の下をくぐるいわゆる「ポッコン」のミスがよく出ます。

青山 パー5の2打目で、2オンさせてやろうと、力んで打ち込んでしまう、ありがちなミスだ。冬ラフは、ボールが浮いていて打ちやすそうなライだからこそFWで安易に振ってミスするという、落とし穴に陥りやすい。ボールが浮いているということは、3~5センチティーアップしているようなものだからね。

画像: 「飛び過ぎ」「ポッコン」 両方出るから厄介だ

GD 逆に、飛び過ぎることもあります。

青山 HSが速くなくても、フェースとボールの間に芝が挟まってスピンが減るフライヤー現象が冬ラフは起こる。FWともうひとつ、ショートアイアンも冬は要注意。

GD 同じミスが出やすいと?

青山 グリーンを狙えるショートアイアンだからこそ、距離感を合わせるのが難しくなる。まずは冬のラフの特性を知ることが大事だね。

冬ラフはこれが起きやすい

画像: 【ラフから脱出】飛びすぎ! ポッコンのミスを防ぐ。意外と知らない、冬ラフの対処法!

【浮いてる冬ラフ!】
FWで打てる

まず、FWを構える前に、ボールが何センチ浮いているか、ボールとヘッドの間に芝がどれくらいあるかをチェックする。

画像1: 【浮いてる冬ラフ!】 FWで打てる

ティーアップしたボールをとらえるイメージ

ボールが何センチ浮いているのか。ティーアップしたボールを打つつもりで、ボールの手前から払い打つこと。打ち込むとヘッドの上に当たる、いわゆるポッコンのミスが出やすい

画像2: 【浮いてる冬ラフ!】 FWで打てる
画像3: 【浮いてる冬ラフ!】 FWで打てる

✖ ヘッドとボールの間の芝が多ければFWを握らないこと

ヘッドとボールの間にフェースが隠れるほどの芝が挟まるようであれば、FWは握らず、ショートアイアンでフェアウェイや花道を狙うのがベター。

画像4: 【浮いてる冬ラフ!】 FWで打てる

【じつは浮いているライ!】
ショートアイアンはボールの沈み具合に要注意

打ち込むことが多いショートアイアンでは、浮いているボールはフェースの上に当たりやすい。ヘッドとボールの間と、地面とボールの間の芝の量をチェックすること。

画像1: 【じつは浮いているライ!】 ショートアイアンはボールの沈み具合に要注意

【ライチェック①】
ボールが浮いているか沈んでいるか

【ライチェック②】
冬ラフはヘッドとボールの間の芝の量が多くても打てる

“隠れ浮きライ”とは、芝からボールの頭が顔を出しているだけで、沈んでいるように見えるが、地面とボールの間に芝がある状態。隠れ浮きライでは芝とフェースにボールが挟まってフライヤーが起きやすい

画像2: 【じつは浮いているライ!】 ショートアイアンはボールの沈み具合に要注意

構える前にボールの手前で芝の深さをチェックする

沈んでいるようで実は浮いているライからポッコンのミスを防ぐためには、構える前にボールの手前で芝の深さをチェック!

①まずはボール手前の芝の深さをチェック

画像3: 【じつは浮いているライ!】 ショートアイアンはボールの沈み具合に要注意

②芝の深さが分かったら、ボールに対して構える

画像4: 【じつは浮いているライ!】 ショートアイアンはボールの沈み具合に要注意

脱力すれば自然と
シャロー軌道に!

GD 冬ラフから、FWで打つとき、ティーアップしたボールを払い打つイメージを持つとのことですが、打ち方のポイントは?

青山 浮いているライでは、少しヘッドを浮かして構えて、緩やかなシャロー軌道でボールをとらえたいね。

GD 緩やかな軌道で振るには?

青山 力まないこと。浮いているとはいえ、ラフだから、力が入りやすい。腕や手、上体の力をいかに抜けるかだ。

GD 上体の力を抜くのが、なかなか難しいです。

青山 今流行りの『鬼滅の刃』って知ってるか?

GD アニメも映画も観ました。

画像1: 脱力すれば自然と シャロー軌道に!

青山 孫がハマって、私も『鬼滅』を観たんだが、まさにあの「全集中の呼吸」と同じ。力むときって、息が止まったり、吸い込みすぎたりするが、息を吐くと、自然と手の力が抜ける。だから、息を吐きながらバックスウィングして、切り返しからダウンスウィングで、息を吸うというリズムでクラブを振れば、力まない。手の力が抜けると、軌道は緩やかになる。写真ではわかりやすいように、大げさに吸ったり吐いたりした顔をするけど、ふだんの息遣いで、スウィングできるようになるといいね。『鬼滅』でいえば、「全集中、常中(駐)」のこと。いつも同じように呼吸をして、つねに同じリズムでクラブを振る、これが力まないコツだ。

FWは緩やかな軌道でボールをとらえる

ヘッドはインパクトの手前から緩やかな軌道を描くイメージ。ヘッドを上げようとしたり、打ち込んだりしないこと

画像2: 脱力すれば自然と シャロー軌道に!

【全集中の呼吸一の型】
フゥーと息を吐きながらバックスウィング

浮いたライではヘッドを浮かせて構えるので手に力が入りやすい。クラブを上げるとき、息を吐きながらテークバックするのがコツ

画像3: 脱力すれば自然と シャロー軌道に!

【全集中の呼吸二の型】
切り返しで息を吸う

切り返しで息を吸う。バック 手の力を抜くのが最大のコツスウィングで息を吐き、ダウンスウィングで息を吸う。この呼吸のリズムは練習で身につけよう

画像4: 脱力すれば自然と シャロー軌道に!

【全集中の呼吸三の型】
おなかに全集中上体を起き上がらせない

ボールが浮いた冬ラフでは、ついボールを飛ばそうと上体が起き上がりやすくなる。そうならないよう、おなか(丹田)に力を集中させる

画像5: 脱力すれば自然と シャロー軌道に!

フィニッシュも自然に
形が変わってくる

GD FWが緩やかな軌道に対して、ショートアイアンは?

青山 FWの緩やかな軌道をUの字とするなら、ショートアイアンの軌道はやや鋭角なVの字。ただ、ボールが浮いているライと沈んでいるライの軌道は少し違う。

GD どんなふうに違いますか?

青山 浮いているライではV字を描くが、沈んでいるライは、Vを完全に描かない。インパクトでヘッドを止めるから、インパクトまでの一本線を描く感覚だ。

GD どう打てばいいですか?

青山 アドレスの形を変える。浮いているライでは、フェースの上っ面にボールが当たらないように、ヘッドが最下点を通過してからボールをとらえたい。そこで、ボール位置をやや左足寄りにして構える。沈んでいるライは、ボール位置を右足寄りにして、最下点の手前でボールをとらえて、最下点までターフをとる。沈んだ球をしっかりとらえるために、両足をインパクトの形にして構えるのもポイント。浮いたライでは、フィニッシュをとるが、沈んだライは、インパクトがフィニッシュだ。

【ボールが浮いているライ】

スタンスはスクエア
ボール位置はやや左足寄り

写真のようにヘッドの位置が真ん中で、ボール位置は一個分左寄り。最下点でボールをとらえると、ヘッドがボールの下をくぐって飛ばないポッコンになりやすいからだ。

画像1: 【ボールが浮いているライ】

池越えや谷越えはキャリーに全集中
"隠れ浮きライ"はフライヤーで飛び過ぎもあるから、芝の挟まり具合をチェックして、番手選びは慎重に。

画像2: 【ボールが浮いているライ】

フェースの上に当たらないように打ち込み過ぎに注意

ボール位置をやや左足寄りにしたのに、打ち込もうとすると、フェースの上に当たってしまう。

画像3: 【ボールが浮いているライ】

【ボールが沈んでいるライ】

スタンスはややオープン
両足をインパクトの形にして構える

ボールが沈んでいるライでは、両足をインパクトの形にして構えるのがポイント。インパクトの再現性が高まり、ヘッドスピードも上がる。ラフから脱出させるだけでなく、ナイスオンも狙える構えだ

画像1: 【ボールが沈んでいるライ】

ボールの先に長いターフをとるイメージで打ち込む

最下点の手前でボールをとらえ、最下点でヘッドを止める。惰性でフィニッシュをとると、長いターフがとれる。

画像2: 【ボールが沈んでいるライ】

フィニッシュはインパクトでヘッドを止める延長上

ボールが沈んだライでは、芝にヘッドが負けないように、最下点でヘッドを止める意識。フォローは惰性でとるイメージだ

画像3: 【ボールが沈んでいるライ】

構えたときに
気の迷いを振り払う

GD いままであまり難しいと意識していなかった冬ラフですが、本当の成功ショットを打つには、きちんとチェックすることが大切なんですね。

青山 そう、チェックして、番手や構え、打ち方を決めたら、そのジャッジを信じ切る気持ちも大切だよ。「このライは『隠れ浮きライ』だから、フライヤーしそう。1番手下げて9番にしよう」とナイスジャッジをしているのに、いざ構えてみると「このロフトじゃ届かないかも」なんて思い始めて、力んで振りにいってミス、というのはよくあること。『自分のジャッジを信じて打つ』、特に冬ラフでは大切なことだと覚えておいてほしいね。

画像1: 構えたときに 気の迷いを振り払う
画像2: 構えたときに 気の迷いを振り払う
画像: 青山薫プロ

青山薫プロ

その迷いがミスの元! 自分のジャッジを信じ切ろう

PHOTO/Yasuo Masuda 

週刊GD12月15日号より

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