師走に入り、さすがに寒さが増してきた今日この頃。この時期のゴルフでもっとも注意したいのが、朝イチのスタートホール。普段どおりのつもりでも、寒さで体が硬く動きが悪くなり“おはようOB”からの~大叩きなんてことありますよね。そこで今回、最低でもボギー発進するための方法を教えてもらった。気持ちよく2020年を打ち納めよう!
【ルール1】
柔軟はしっかり、行動はゆっくり
――寒い冬。スタートホールでいきなり大叩きした経験がある人も多いはず。今回登場するアマチュアの稲田さんもその1人。そこで今回、なんとかボギー以内で上がるための方法を早川プロが稲田さんへ伝授してくれた。まず伝えたのは、“心拍数”についてだった。
早川 もうすぐスタートですけど、練習しましたか?
稲田 もちろんですよ! 100球は打ちましたよ。でも曲がってばかりで……。パットもやったんですけど、まったく入らないし不安ばかりです。
早川 心臓バクバクしてそうですね(笑)。まずショット練習は30球まで球筋なんて見なくて体が温まればOKです。パットも入れるというよりグリーンの速さがわかれば十分です。とにかく、いかに1番ホールを冷静に迎えるかがポイントです。あと、寒い時季ですから球を打つのも大事ですけど、ストレッチにじっくり時間をかけてください。体が硬いとヘッドが走らず曲がる原因になりますからね!
5分でできる! 寒さががブッ飛ぶ ゴルファーストレッチ➍
ストレッチ①
両手でクラブを挟み持ちスウィングする
肩甲骨の可動域を広げるストレッチ。ドライバーを両手で挟むように持ち、そのままアドレスしてテークバック&フォローを繰り返す。このとき手のひらで押し込むようにクラブを動かすといい
ストレッチ②
両手にクラブを持って広げ腕を回転させる
肩関節の柔軟を促すストレッチ。両腕を地面と平行に伸ばしてアイアンを持ち、そのまま腕をグルグルと回転させる。勢いをつけずにゆっくりと10回くらい回せばOK
ストレッチ③
ひざを広げて回し股関節を動かす
股関節を動かすストレッチ。ひざを中心にして円を描くように、内回りと外回りを5回ずつ左右の足で行おう
ストレッチ④
クラブを持ったまま首を回す
首の柔軟。寒い時季は、インパクトの衝撃が首へ強くくるため、これも必ずやっておこう。このとき、両手でクラブをしっかり持っておくと、よりストレッチ効果が出るという
【ティショットの心得】
体を起こして構え
猫背フィニッシュ
早川 冬の朝イチのティーショット、なにか気をつけてることありますか?
稲田 とにかく、ちゃんとボールに当てたいし、さらに曲がらないようにするため、インパクトにすべてを集中させて振るようにしてます。
早川 でも、どスライスとかしてませんか。
稲田 た、たしかに……(泣)。
早川 まず、インパクトに集中してはダメなんです。ボールを当てにいこうとすると、どうしても上から叩きにいきがちです。そうなると、バックスピン量が増えやすくなるので、曲がりが大きくなりやすいんです。そのために、まずアドレスはいつも以上に起こすことです。要はヘッドの通り道を確保しておくことです。
稲田 上体を起こして構えるんですか! 知らなかったです。
早川 あとは、フィニッシュまで振り切ることが大切ですが、大きなカッコいいフィニッシュは厳禁です。なぜなら、インパクトで上体が起き上がりやすく振り遅れスライスの原因になるからです。振り切れさえすればいいので、小さく猫背フィニッシュなら確実に2打目がいいところから打てるはずです。
ティショットの心得①
上体を起こしてヘッドの通り道を確保する
「ちゃんと当てたい!」という意識と、寒さによる体の硬直でアドレスが屈み気味になりやすいので、意識して上体を起こして構える。あとは頭の位置が上下動をしないように振り切ることだけ意識すればOK
ティショットの心得②
指2本分短く握ってシャフトを硬く使う
短く握ることで、シャフトが硬くなり振り遅れなくインパクトできる。逆にミート率も上がるので、体が硬くて振れないこの時季でも距離もそこそこ出すことができる
ティショットの心得③
ボールの右側からアドレスに入っていく
朝イチは体が硬くヘッドを走らせづらいので、スライス気味になる。逆にそれを生かして、ティーイングエリアの右側から、フェアウェイ左サイドを対角線で狙うことを心がけよう
①ボールの斜め右後ろから目標を定め
②目標を見ながらボールに寄っていき
③アドレスに入れば完成
ティショットの心得④
カッコいいフィニッシュはいらない猫背になって振り切る
フィニッシュまで振り切ることが大前提だが、大きなフィニッシュを取ろうとすると、まして体が硬いこの時季は上体が起き上がりやすく、振り遅れて大スライスを招く。フィニッシュは小さく猫背くらいでOK
【アイアンの心得】
ベタ足&大きい番手
早川 次はグリーンを狙うアイアンショット。このときは何か気をつけていることありますか。
稲田 手先で操作すると曲がりそうなので、小さめの番手でしっかり振り切ります。
早川 振り切るのはいいことです。でも冬場のスタートホールですから、いくら準備したからといっても体はやっぱり硬い。いつもより距離が出ないと諦め、大きめの番手で打ちましょう。
稲田 そうなんですね。
早川 スウィングも力まないのが大前提ですが、インパクトまで右足かかとを上げない意識を持つと、体の正面でインパクトしやすくなるのでミスヒットは避けられるはずです。
稲田 もし、グリーンを外したらアプローチしないといけないですが、注意点とかあるのですか?
早川 ボギーで上がればいいので、グリーンに乗らなくてもまず焦らないこと。アプローチの注意ポイントは、打つ前にフォロー(フィニッシュ)の位置を決めてから打つこと。インパクトで距離感を出そうとすると、緩みの原因になりザックリしてしまうので注意してください。
アイアンの心得①
インパクトまで右足かかとを上げない
絶対に避けたいのがインパクトでの上体の起き上がり。そのために、インパクトまで右足かかとを地面に着けたまま打つと、体もフェースも開きにくいので真っすぐ狙ったところへ打ち出しやすくなる
アイアンの心得②
大振りを避けるため1番手上げる
よくインパクトで緩まないように短い番手で強く振る、といわれるが寒い時期は逆。大きめの番手を握ってゆったり振ることを心がける
アイアンの心得③
スタンスを狭くして体重移動を減らす
スタンス幅を狭めにしてなるべくスウィング中の体重移動を少なくする。体のブレが少なくなるぶん、打点のズレも最小限に抑えることができる
アイアンの心得④
両ひじを柔らかく使い腕打ちで振る
両ひじを柔らかく使ってヘッドを走らせる意識を持って振ると、上から打ち込む感覚がなくなり、ミスが軽減する。このとき、フォローまで胸をボール方向に向けたまま振り抜くと、さらにヘッドが走りしっかり距離が出せる
【アプローチの心得】
フォローの高さは一定にする
アプローチの心得①
グリップは短く握らない
アプローチになると、“短く握る”という固定概念は捨てよう。逆にグリップは余さずに握る。ヘッドの重みを利用して振り下ろしたほうが、手先で操作しないぶん、ザックリなどのミスが出にくい。さらに、寒い時季は手先がかじかんでいるので、ヘッドの重みを利用して振ったほうが確実に寄せられる
アプローチの心得②
フォローの高さを決めておく
テークバックは距離によって大きさを変えるが、フォローの位置(フィニッシュ)は一定にしておくといい。どんな距離も振り切れ、最終地点が決まっているので、インパクトで緩まず距離感も出しやすくなる
少しでもライが悪ければ距離があってもパターで打つ
冬のグリーン周りは、芝が生えそろっていない場所があるため、ウェッジで打つとザックリのミスが起こりやすくなる。そんなときは、迷わずパターを握ろう。この時季は、芝が枯れていてボールの転がりへの抵抗も少ないので、状況によっては50㍎くらいまでならパターで対応できる
【パッティングの心得】
目線使いを覚える
稲田 でも、やっぱりパッティングが決まらないと、簡単にダボやトリになっちゃいます。
早川 とにかく2パット以内でしのぐ方法を紹介します。ロングパットが残ったら、ヘッドがスムーズに動くように上体を起こして構えて振り幅で距離感を出すようにしてください。問題なのはショートパット。絶対にヘッドアップは避けたいので、即効性のある秘策を伝授します。左目をつぶって右目だけでボールを見て打つ。さらに左耳でインパクト音を聞く。これさえすれば、ほぼ外さないのでやってみてください。
稲田 これなら簡単にできそうなので、今度試してみます!
ロングパットの心得①
上体を起こして構えボールを上から見る
ロングパットで注意しないといけのが、インパクトの強弱で距離感を出したらダメだということ。しっかり大きなストロークで距離を合わせることを心がける。そのためには、上体を起こして、ボー
ルを真上から見るように構えること。手元が詰まらないので、ストロークがスムーズになる
ショートパットの心得①
左目をつぶって右目だけで見て打つ
パクトの瞬間、ボールの行方を目で追ってしまいミスヒットになることを避けたい。そのために、左目をつぶって右目だけでインパクトを見るようにすると、ヘッドアップしにくくなる
ショートパットの心得②
左耳でインパクト音を聞く
目線の修正だけではどうしてもムリという人は、インパクト音を左耳で聞くようにするといい。これ
もボールの行方を見るタイミングが遅れるので、ヘッドアップ防止には最適だ
ミスパットをなくす裏ワザ
ボールに“目”を描き見つめ合う
ボールを見続ける絵を描いてみよう。特に冬のこの時季は、体が硬くストロークが縮こまりやすいので、ボールの行方を追いやすくヘッドアップが起きやすい動きが抑えられる
PHOTO/ARAKISHIN
週刊GD12月22日号より
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