霞ヶ関、東京などが並ぶ名門コースエリアの中で、松の独立樹を最も見事に活かしているのは、「日高カントリークラブ」であろう。その功績は、プロ設計家ではなく、植物学者・相馬正胤をコース設計に選んだことにある。

ゴルフコースことはじめ
文芸評論家を経て、ゴルフジャーナリストとしても活躍した田野辺薫氏。ゴルフコースの目利きとして全国のコースを取材し、週刊ゴルフダイジェストで「ゴルフの歴史を歩こう」を連載(2005~2013年)。それを一冊にまとめた「美しい日本のゴルフコース」から多くの人に名コース誕生の歴史を知ってもらおうと再編集公開しています。

松の大木が絵のようなメンバーシップコース

昭和36年1月、開場したとき、多くの背の高い松の大木がフェアウェイに残されていた。攻めあぐねたメンバーは「樹が多くて難しいのが名コースのつもりか」と批判。

その時、相馬正胤は全く騒がず怯まず「長い間には自然災害、松喰い虫害、そして人的被害で多くの大木が倒れる。多すぎるぐらいで、20、30年後には程よいコースとなる」という意味の対応をしたという。そして今も、日高のフェアウェイには、いくつもの松の大木が絵のように見事だ。

その代表は西5番ホール。80ヤード間隔で一直線に残された大木のアンサンブルは、他のコースにはない美しさだ。

画像: 西5番ホール/415㍎/パー4 僅かに左ドッグレッグ。攻略ルートはフェアウェイやや右

西5番ホール/415㍎/パー4 僅かに左ドッグレッグ。攻略ルートはフェアウェイやや右

経営株を発行し、経営責任の軸を明らかにした

コース設計を担った相馬正胤は、旧相馬中村藩主の末裔。駒沢コースで日本初のベント芝を開発した孟胤の弟だ。12年間の英国留学、滞在中に多くのゴルフコースの知識を蓄えた。

日高CCの創業者・髙橋修一は、東京・銀座交詢社の集まりで正胤と会い、意気投合、武蔵野の松の平地林を活かしたコースを造るには「自然に勝る人工はない」とする英国型ゴルフ教養に賭けたのである。

髙橋修一は出版人である。昭和6年日本評論社入社、昭和23年日本評論の後身、経済往来社を復活、会長となる。30年金融界社を設立。経済・金融界に知名度が高く、特に時の日銀総裁・一万田尚登の信用が大きかった。

画像: 東2番ホール/173㍎/パー3 松の木立と池が絶妙の配置

東2番ホール/173㍎/パー3 松の木立と池が絶妙の配置

画像: 東7番ホール/453㍎/パー4 左ドッグレッグ。グリーンオーバーすると返しのアプローチが難しい

東7番ホール/453㍎/パー4 左ドッグレッグ。グリーンオーバーすると返しのアプローチが難しい

画像: 西1番ホール/362㍎/パー4 真っすぐのスタートホール。難しいハザードもなくパーが狙いやすい

西1番ホール/362㍎/パー4 真っすぐのスタートホール。難しいハザードもなくパーが狙いやすい

画像: 西2番ホール/499㍎/パー5 ティショットは右サイド狙い。3打目付近から打ち上げの砲台グリーン

西2番ホール/499㍎/パー5 ティショットは右サイド狙い。3打目付近から打ち上げの砲台グリーン

画像: 西5番ホール/456㍎/パー4 ゆるやかな左ドッグレッグ。左のAグリーンは松を避けて右サイドから

西5番ホール/456㍎/パー4 ゆるやかな左ドッグレッグ。左のAグリーンは松を避けて右サイドから

髙橋が最初に関係したゴルフ場は、箱根CCである。母体会社奥箱根興業の社長となるが、小田急資本の参入で退任。武蔵CC豊岡コースの前身でも大木建設と計画を進めながら、途中意見が対立して退陣している。髙橋は経営システムでも新しい発想を生かした。

明快なゴルフ会員権システムでスタートした日高カントリークラブ

昭和30年代前半はメンバーシップコースの株式会員制が流行だった。全会員が1株ずつ同じ権利を持つ、倶楽部民主主義としては理想に見えるが、経営責任の所在がハッキリしない、そこで髙橋は特定社を対象にプレー権のない経営株を発行、経営責任の軸を明らかにした。当時は斬新に見えたが、非常にクレバーなアイデアのもと、日高CCは船出していった。

画像: 日高CCはA、Bの2グリーン。どちらもペンクロスのベント芝

日高CCはA、Bの2グリーン。どちらもペンクロスのベント芝

日高カントリークラブ
埼玉県日高市高萩1203 ☎042-989-1311
開場日:昭和36年1月23日
コース:9H/3471Y/P36(東)
    9H/3488Y/P36(西)
    9H/3058Y/P36(南)
設計:相馬正胤
公式サイトはこちら

美しい日本のゴルフコースより(弊社刊)

取材・文/田野辺薫

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画像: golfdigest-play.jp
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