昨年暮れ、2019年を「謎」と表現した渋野日向子。なぜこんな結果が出たのか? なぜここまで活躍できたのか? 本人でさえわかっていない。しかし、青木翔コーチに取材を進めると渋野が強くなった理由がよくわかる。さらに、渋野と青木コーチのやり取りには、一般ゴルファーにも役立つヒントがたくさん詰まっている。2020年、“しぶこ式”でスタートダッシュを決めよう!
画像: 【解説】青木翔 あおきしょう。1983年生まれ福岡県出身。渋野日向子をはじめ数々のツアープロやアマチュアを指導している。週刊ゴルフダイジェストで「笑顔のレシピ」連載中

【解説】青木翔
あおきしょう。1983年生まれ福岡県出身。渋野日向子をはじめ数々のツアープロやアマチュアを指導している。週刊ゴルフダイジェストで「笑顔のレシピ」連載中

ゴルフ急上昇の秘密は“聞く力”

── 2019年の渋野選手はすごい活躍でした。

青木 おかげさまで、しぶこが全英女子オープンに勝ってからは、世界が180度変わりました。

── さて、今回は渋野プロの練習法や、練習に対する姿勢からヒントをもらい、上達しようという企画です。何度も聞かれていると思うのですが、改めて、渋野プロはどんな選手か教えてください。

青木 とにかく素直で、ひとつのことを継続できる根気強さがあります。

── 具体的には?

青木  「これをやりなさい」と課題を与えると、素直に取り組みます。そして、こちらがOKを出すまでやり続けることができる。これは素晴らしいことですね。

── 以前お話されていましたが、素直にやるということと、言われたことを言われたとおりにロボットのように行うのは違うんですよね?

青木 もちろん。自分で考えて、工夫して練習することは必要です。彼女はそれができる選手です。それと同時に、“聞く力”がある選手ですね。

画像: ゴルフ急上昇の秘密は“聞く力”

── 聞く力ですか?

青木 質問力とも言えますが、わからないことは聞いてきます。だからといって、なんでもかんでも聞いてくるわけではありません。

── 一度自分で考えてから聞いてくるわけですね。

青木 こちらが言ったことを一度素直に受け止めてやってみる。そして考え、疑問に思ったことを聞いてくるんです。

── では、渋野プロがどんなことを質問してきたのか、詳しく教えてください。

聞く力を磨くつのキーワード

【キーワード1】やり続ける強さ
ひとつのことをやり続ける根気強さも聞く力を養うには必要。やり続けることで疑問が生まれ、質問になる。大事なのは、考えながらやり続けるということ。「あれもこれも」と次から次へとやることを変えていては、そのなかで疑問も生まれてこない.。

画像1: 聞く力を磨くつのキーワード

【キーワード2】素直な心
課題を与えると素直に取り組む渋野。「素直に取り組むと言っても、決してロボットのように言われた通りやるということではありません。自分で考えて、工夫しながらできる。彼女にはその素直さがあるから、本当に聞きたいことが何かわかるのだと思います」

画像2: 聞く力を磨くつのキーワード

しぶこ、初めての“質問”「左手の甲の向きこのままでいい?」

── 渋野プロが青木さんに初めて聞いてきたことってなんだったんですか。

青木 トップの左手の向きですね。彼女は左手の甲が空を向くんですが、これを直したほうがいいか聞いてきました。

── 悩んでいたというわけですね。青木さんは何と?

青木 それはしぶこの個性だから直さなくていいと答えました。

画像: トップで左手の甲が空を向く

トップで左手の甲が空を向く

── ダメな形ではない?

青木 あくまでも〝しぶこにとっては〞ダメではなかった。トップで左手の甲が空を向くということはクラブをシャットに使っている。球をつかまえる動きになるのですが、彼女は体の強さがあるので、そこから体の回転で下ろしてくることができる。そして、それが彼女にとっては自然な動きだったので、直す必要がないと思いました。

── ダスティン・ジョンソンなども同じですよね。だから直さなくていいということもあるんですか?

青木 それはありませんね。変な話、どれでも、どんな形でも正解なんです。大事なのは、その人にとって自然な動きをしているかどうか。しぶこにとって、トップで左手の甲が上を向くのは自然な形だったから直さなかった。それだけなんですよ。

画像1: 青木コーチ解説

青木コーチ解説

渋野と同じように振るには体の強さが必要だと青木は言う。「彼女にとってはそれが自然だっただけで、体の強さがあるからこそできること。トップの形だけを見て真似をしても上手くいくとは限りません」

QT会場にて“質問”「ロングパットの距離感が合いません…」

青木 2018年のファイナルQTのとき、突然「ロングパットの距離感はどうやって合わせたらいいんですか?」って聞いてきたんです。QTの会場ですよ。びっくりしました(笑)。

── 翌年の出場権がかかった試合で……すごいですね。で、青木さんの答えは?

青木 手で転がしてみろって(笑)。

── えっ、それだけ?

青木 そうです。手で転がして距離感が合わないのに、打って合うはずがありませんからね。

画像: QT会場にて“質問”「ロングパットの距離感が合いません…」

── やっぱり古典的(笑)。

青木 でも、転がし方が結構大事で、しぶこは中腰でボーリングのよう転がしていたんです。

── それのなにがいけないんですか?

青木 “転がす”ではなく“投げる”になっていたということです。パッティングではキャリーさせませんよね? だったら手で転がすときもキャリーさせずに転がさないと、同じ感覚にはなりません。

── なるほど。あまり考えたことなかったです。

青木 「なんのために手で転がすのか」を考えたらわかりますよね。すべての取り組みには、必ず理由があるんです。

画像2: 青木コーチ解説

青木コーチ解説

転がすときにキャリーを出したら意味がない!

手で転がすときもできるだけパットのイメージが必要。キャリーをさせずに転がすことが大切で、渋野は「転がせ」というと、中腰でボーリングのように転がしていた。これでは距離感のイメージは出せない

画像: しぶこはこうやって転がしてました

しぶこはこうやって転がしてました

画像3: 青木コーチ解説

青木コーチ解説

右手→両手の順で打ってみましょう

手で転がしてイメージが出たら右手一本で打って距離を確認。その後両手で行い距離感を作っていく。右手一本で行う理由は「手で転がすときも右手で転がしているんだから、右手だけのほうが感覚が出やすいでしょ」(青木)

画像: ステップ1 右手一本で転がす

ステップ1 右手一本で転がす

画像: ステップ2 両手で転がす

ステップ2 両手で転がす

不調に陥り“質問”「ショートパットが入りません…」

── ショートパットで聞いてきたことはありますか?

青木 ありますよ。入らないって言ってきました(笑)。

── それはまたすごい話ですね……。

青木 でも、僕は入らない理由ははっきりわかっていました。

── 答えがわかっていた?

青木 しぶこはショートパットになるほど、カップを見て、ボールを追いかけてしまうクセがあります。最後までボールを見ずにインパクトするときがあるんです。それが入らいない理由でした。

画像: ボールに点を書き、そこに意識を集中させることでしっかりボールを見るようになった。青いペンで書く理由は「青は心が落ち着く色だから」(青木)

ボールに点を書き、そこに意識を集中させることでしっかりボールを見るようになった。青いペンで書く理由は「青は心が落ち着く色だから」(青木)

── カップを気にしていたというわけですね。

青木 そうです。だから僕はしぶこに、ボールに点を書いてそれを見ながら打てと言ったんです。点を見ることで、最後の瞬間まで頭が上がらずインパクトすることができます。頭を押さえたりすることもできますが、これなら試合中も意識できるのでやらせたんです。

── またしても古典的な練習ですね(笑)。

青木 こらっ! しぶこの場合はフォローで悪いクセが出ていましたが、点を見続けることでテークバックでヘッドを追うこともなくなります。アマチュアの方にも大いに参考になると思いますよ。

画像4: 青木コーチ解説

青木コーチ解説

フォローでボールを追いかけることが減った

距離が近くなるほどカップを気にして目で追っていた渋野。点を書いて以降、顔が残せるようになり、調子が戻ってきた。「テークバックでヘッドを追いかけてしまう人にも効果的ですよ」

画像: 不調に陥り“質問”「ショートパットが入りません…」

【練習方法】インパクトの形からフォローを出す

インパクトの形をスタート地点にして、そこからフォローを出して転がす練習。お腹を使ってフォローを出す意識が必要。追いかける動作が入るとボールは上手く転がらない。

画像: 「慣れてくると10メートルいけます」

「慣れてくると10メートルいけます」

しぶこと一緒に上手くなろう(後編)に続く

PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Sinji Osawa、Hiroaki Arihara

週刊GD1月7・14日号より

しぶこをもっと知ろう。しぶこコンテンツはこちら

ゴルフ会員権ならゴルフダイジェスト会員権サービス部!

画像1: golfdigest-play.jp
golfdigest-play.jp

ゴルフ旅行はゴルダイジェストツアーセンター!

画像2: golfdigest-play.jp
golfdigest-play.jp

This article is a sponsored article by
''.