ゴルフ会員権を購入して、ハレてメンバーになったその月から請求されるのが「年会費」になります。初年度は年会費を12カ月で割った額を入会時に支払いますが、2年目からは、年に一度一括で払うのが通例です。その年会費ですが、最近では「値上げ」をしてくるゴルフ場が増えています。年に3万円でも10年在籍すれば30万円、5万円なら50万円、10万円なら100万円の大金をプレー代の他に支払う必要があり、これが意外と維持コストとしてのしかかってくる場合があります。「あっ、払い忘れた」となると翌年は倍額、2年滞納してしまうと年会費3万円でも3年分で9万円(プラス消費税)となります。年会費を未納にしてしまうと、ゴルフ場に行きにくくなります。会員権購入の際は、年会費のことも考えておきましょう。

同じ会員制でも日本と米国で異なる「年会費」

年会費はゴルフ場によって異なります。安いゴルフ場で2万円台、高いところでは10万円以上のゴルフ場も増えてきています。一番高いのは千葉県のイーグルポイントの100万円。大千葉、常陽のように「年会費なし」というゴルフ場もありますが、ほとんどすべての「会員制をうたう」ゴルフ場は、メンバーから年会費を徴収しています。

「会員制をうたう」とあえて言ったのは、米国と日本を比べた場合、あきらかに会員制の意味が異なるからです。米国ではパブリックコースが多く、会員制ゴルフ場は少なくなり、米国で会員制ゴルフ場といったら、「高級プライベートコース」になります。

年会費の桁も違います。米国のプライベートコースの年会費は100万円~300万円と高額になります。支払いは、一括、月賦のいずれもあるようですが、基本プレー代は年会費に含まれることが多いようです。ゴルフ場来場時の支払いは、キャディフィもしくは、カートフィ。中には「月いくらまで」と飲食代も年会費に含むところもあるようです。

米国のプライベートコースはメンバーからの年会費でクラブ運営をしているので、プレー代はその都度いただかない、という考えになります。会員数1000人で年会費1人100万円なら「10億円」、200万円なら「20億円」、300万円なら…。それにプラスしてメンバーゲストのプレーフィがゴルフ場収入になるので、ビジターを大量に入れる日本の会員制システムとは大きく異なります。

日本の会員制ゴルフ場の収入をざっと計算してみましょう。18ホールで年間4万人(1日110人)が来場したとします。プレーフィを15000円とした場合、「6億円」になります。いつも賑わっていると感じるゴルフ場だと年間5万人、「7億5000万円」です。会員数が1500人で、メンバーのプレー割合が「4分の1」(メンバー1に対してビジター3人)だとしたら、不足分5千万円を1500人で負担するとなると、年会費は「3万3333円」となります。

会員制ゴルフ場の収入は、年会費、メンバーフィ、ビジター(ゲスト)フィ、レストラン、その他(ショップ、売店)の売り上げとなります。徴収の仕方は、米国と日本では異なることを、わかっていただけたでしょうか。

年会費値上げに踏み切るゴルフ場が増えている

画像: 東京クラシッククラブの年会費は36万円。(18H・7220Y・P72)

東京クラシッククラブの年会費は36万円。(18H・7220Y・P72)

「新名門」と言われる、イーグルポイント(100万円)、ザ・ロイヤル(60万円)、東京クラシック(36万円)は、小金井の30万円よりも高い設定になっています。いわゆる市場で売買可能な「名門」でも鷹之台(18万円)、我孫子(18万円)、武蔵(15万円)、箱根、相模原(12万円)となっています。

米国と日本の年会費事情をみると、日本のゴルフ場も欧米化がはじまったようにみることもできます。日本一の年会費を徴収するイーグルポイントは、会員数100名。年会費収入は1億円になります。年間入場者は1万2000人程度、営業収益は4億円、内訳はプレー収入2億円、レストランその他収入1億円、年会費収入1億円、かなりおおまかですが、このような計算になるようです。

年会費は会員制ゴルフ場にとって大きな収入源になります。ビジターのプレーを制限すれば、会員制ゴルフ場の格式を維持することができます。しかし、売り上げは落ちてしまうので、年会費を値上げせざるを得ません。健全経営のゴルフ場なら、年会費の高さは、すなわち「メンバー重視度」を計ることもできますが、コースや施設の改修を目的とした長期計画に基づいて値上げしているところもあるので、一概にそうとも言い切れません。

また、近所のゴルフ場が値上げをしたからウチも上げる「便乗値上げ」もあるかも知れません。あそこが5万円なら、ウチも5万円。あそこが10万円なら、ウチも…。いわゆる名門クラスの年会費がここにきて総じて値上がっています。10万円に到達したと思ったら、10万円を超えはじめた背景にはそんなことがあったのでは? と考えてしまうのは早計でしょうか。

年会費の高い関東のゴルフ場

ゴルフ場所在年会費相場名変
イーグルポイ千葉100-停止中
ザ・ロイヤル茨城601000募集
東京クラシ千葉361850募集終了
小金井東京3044001500
鷹之台千葉181510300
我孫子千葉18690400
成田ハイツ千葉17.1610以下110
武蔵埼玉15450850
嵐山埼玉14.3325300
旧軽井沢長野133100100
麻倉千葉12680300
箱根神奈川12751050
相模原神奈川124501100
戸塚神奈川1014501300
龍ヶ崎茨城10200230
千代田茨城105050
相場は2019年6月現在
名変料には追加預託金が
含まれるゴルフ場もあります

3万円なら良心的、5万円は仕方ない、それ以上になると「ちょっと…」

年会費の相場といったら3万円という時代が長くありました。そんな中で2万円なら「安い」、5万円は「高い」という感覚がありましたが、ここにきて、3万円なら「良心的」、5万円は「仕方ない」、6万、9万、10万円といった高額年会費のゴルフ場が増えてきています。

先ほどもお伝えしたように、年会費はゴルフ場の貴重な収入源になります。ゴルファー減少で来場者も減少、高齢化でスリープ会員(年会費未納)の増加、ゴルフ場の維持管理コストの高騰など、ゴルフ場の経営・運営を圧迫する要因は増えています。

そうなると、メンバーに負担を強いることになります。「年会費を3万円から5万円に改定します」旨の通達が届きます。これをきっかけに退会するメンバーも出てきます。退会者が増えると会員権は「売り優勢」となり、相場は下がってしまいます。年会費を2万円値上げしたことで、会員権相場が100万円下がったゴルフ場もあります。相場の下がったゴルフ場は、「何かあるのでは?」と疑った見方をされるようになり、ゴルフ会員権の価値だけでなく、ゴルフ場の「格」にまで影響を及ぼしかねません。

例えば、神奈川県の3コースを見てみましょう。長いこと、「戸塚と相模原」が相場をリードしてきましたが、ここにきて「磯子」が抜いてしまいました。戸塚も相模原も磯子も名変料のほかに追加預託金がかかることは共通です。しかし、相模原は年会費を12万円に、戸塚は10万円に値上げしました。(それをきっかけに?)「売り優勢」となり、相模原の相場は450万円まで下がっています。戸塚は80歳を過ぎると年会費が安くなる「満年齢による年会費区分」を適用し、1450万円をキープしています。

画像: 戸塚カントリー倶楽部の年会費は10万円。(西コース/18H・7261ヤード/パー72、東コース/18H・6749ヤード・パー72)

戸塚カントリー倶楽部の年会費は10万円。(西コース/18H・7261ヤード/パー72、東コース/18H・6749ヤード・パー72)

対して、磯子の年会費は破格の12000円です。立地がよく、メンバー重視の運営で、神奈川ナンバーワンの高額コースとなっています。系列のキングフィールズも年会費24000円の低額設定で、会員権相場410万円、名変料150万円。市原エリアでは2500万円で募集のカメリアヒルズを除けば、ナンバーワンの高額コースです。そう考えると、年会費が会員権相場に影響していることがわかります。

画像: 磯子カンツリークラブの年会費は破格の1万2000円。(18H・6624Y・P72)

磯子カンツリークラブの年会費は破格の1万2000円。(18H・6624Y・P72)

相模原は、会員権相場が下がったことで、2018年5月1日以降「入会資格事前認定制度」を導入することにしました。これは、「会員権を購入しても、入会できるとは限りません」ということを暗に言っています。会員権(相模原は株券)を取得しても入会を断られたら、その会員権は再び売りに出されます。そのようなこと増えると、相場はさらに下がってしまうので、入会事前審査を受けてから、会員権を購入するよう変更されました。

年会費の安い関東のゴルフ場

ゴルフ場所在年会費相場名変
大千葉千葉02220
常陽茨城055100
KOSHIGAYA埼玉1.218025
磯子神奈川1.21530650
天城高原静岡1.8100募集
伊豆にらやま静岡1.84510
沼津国際静岡21580
美里埼玉25030
南総千葉23550
一の宮千葉210以下25
赤羽東京2.43560
房総千葉2.410以下100
姉ヶ崎千葉2.47050
富貴埼玉2.45025
キングフィー千葉2.4410150
相模野神奈川2.510以下70
相場は2019年6月現在
名変料には追加預託金が
含まれるゴルフ場もあります
画像: 36ホールある姉ヶ崎カントリー倶楽部の年会費は2万4000円。東コース(18H・6831Y・P72)西コース(18H・6828Y・P72)。B・ランガーが契約監修するコースは一級品、ターフコンディションも上質

36ホールある姉ヶ崎カントリー倶楽部の年会費は2万4000円。東コース(18H・6831Y・P72)西コース(18H・6828Y・P72)。B・ランガーが契約監修するコースは一級品、ターフコンディションも上質

「安い」には理由があり、「高い」にも理由があります。年会費は毎年かかる維持コストなので、ゴルフ場の経営姿勢、メンバー重視度、長期改修計画などできるだけ情報を入手し、納得できる年会費かどうかを考え、会員権選びをしていただきたいと思います。

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