このコラムでは、1980年に週刊ゴルフダイジェストが短気集中連載で報じた「県別、優良会員権ガイド」と、2019年現在の会員権市場を照らし合わせることで見 えてくる、ゴルフ場の「本当の価値」を考察していきます。第4回目は「茨城」 の巻。

茨城県には日本のベスト100コースに選出される「大洗」「龍ヶ崎」「大利根」 「茨城」「筑波」といった名コースがそろい踏み。名前を聞くと、第3回「埼玉県」の巻でお伝えした埼玉名門エリアに匹敵するゴルフ場界のスター揃いですが、(1980年の)会員権相場を見ると、大利根のみが1000万円超で、全体的に低相場になっています。問題はアクセスだったようです。

1970年に三郷JCTから千代田石岡ICまでの整備計画が閣議決定されましたが、柏ICから谷田部IC(19.5キロ)が開通したのが1981年のこと。東京からは国道6号(水戸街道)を使うしかなく、行き帰りの渋滞に会員権相場が影響していたようです。

コース内容は良いのに、交通網が悪い。そんな茨城県ですが、2019年現在、外環道、圏央道が開通。主要高速道路につながったことで、アクセスは劇的に向上し ています。

当コラムは、1980年の記事(『』で囲んだ部分)に、2019年現在の市場をGD会員 権サービスが【一言】加筆して構成しております。

【ゴルフダイジェスト社・会員権サービス部】
会員権取引57年、10万件超をお手伝い
1962年(昭和37年)から、ゴルフ会員権取引業務を始めました。以来57年、ゴルフダイジェスト社でお手伝いさせていただいた方は、延べ「10万件」を超えております。ゴルフダイジェスト・ブランドがもつ安心感に加え、豊富な情報量、経験豊かなスタッフによる適切なアドバイスで全国をカバー。よりよいゴルフライフ、豊かなメンバーライフのお手伝いをさせていただきます。

友部、水戸、那珂にゴルフ場ができる前…

1980年2019年
ゴルフ場相場名変相場名変
大利根1350200360400
筑波69030420100
茨城68550580100
龍ヶ崎660100195230
金乃台370305050
取手国際3557540300
江戸崎300402580
大洗30075240115
常陽2353055100
セントラル22030350
フレンド175305040
16520330
坂東150202030
アジア下館140301010
霞台100151540
名称変更/取手新日本→取手国際
     新東京→坂東
相場/2019年7月現在

『改めて地図をみると、茨城県の南部の境は、利根川である。常磐線で利根川を 渡ったところの取手が、なんといっても「ゴルフ銀座」である』

『銀座には、皆さんご承知のように、いろいろ意味がある。「にぎやか」な代名詞でもあり、「高い」代名詞でもある』

『はっきりいって、ここが茨城の代表。あとは川の上流にややのぼって県内最高 の大利根CCがあるくらい。残りは、コースがよくても、まず相場は低いところばかりになる。それはかえって大衆サラリーマンには、交通の便さえ都合がよければ大いに買い、ということになる』

『茨城は、この交通網が完備されていない。何しろ、このスピード時代にハイウェイがない。「取手銀座」は全国一とほめ上げたものの、それはコースがいいだけの話。ゴルフ場の行き帰りの国道6号線くらい、イライラさせる道路はない』

『はじめて行った人は「二度とクルマでなんか来るもんか」と言いたくなる。よほど電車(常磐線)のほうが速いし、メンタル面でも救われる』

【GD会員権サービスから一言】
つくばエクスプレスが2005年に開通したことで、みらい平からクラブバスで行ける(電車で行ける)コースが増加しました。圏央道の延伸も重なり、車、電車を問わず、アクセスが飛躍的に向上、都心や埼玉方面のゴルファーも充分検討対象になるゴルフ場が増加しました。

『(1980年当時)会員権相場で高いものから15番目まで並べてみた。20年以上 経ったゴルフ場は、大洗をトップに、取手新日本(現・取手国際)、龍ヶ崎、筑波、そして大利根がこの10月、20年を迎えた』

『茨城、筑波両コースは、隣組で常に相場がきっ抗してきた。文字通り抜きつ、抜かれつである。フレンドシップと新東京も、お互い近くにあって似たり寄った り、比較対象の素材になる。それにしても、首都圏の外にありながら、大利根が 1千万円台を維持、名門コースの看板をかかげているのは立派である』

画像: 筑波カントリークラブ(18H・7055Y・P72)

筑波カントリークラブ(18H・7055Y・P72)

画像: 茨城ゴルフ倶楽部(36H・14156Y・P144)

茨城ゴルフ倶楽部(36H・14156Y・P144)

【GD会員権サービスから一言】
現在は交通網が発達したことで、隣組で拮抗というよりは、範囲が広がって地域間で相場が比較されています。しかしながら、現在も筑波と茨城は常に比較対象となっており、相場も競り合っています。「新東京」は圏央道・坂東ICにあやかって「坂東ゴルフクラブ」と名称を変更。経営会社も変わり、相場は立たず。会員数も少ないことから流通はほとんどありませんが、アクセスが良くなって来場者も多いので、セミパブリックのような運営になっています。
      
平成10年に東急系列の「猿島」が開場し、フレンドシップの比較対象となりました。フレンドシップは補充会員の募集も好調に進み、法人無記名の募集は更なる起爆剤になるかという状況です。

相場でいったら大利根を抜いて茨城1位、筑波2位

『これは大利根である。コースは井上誠一の設計で、ハウスは山下寿郎。ともに、その世界の権威者。しかし、意外にOB線が多いので注意したいコース。メンバーが36ホールで1500人余りは少ない。平日会員にしても300人たらず。ここで特筆したいのは、年会費がたったの2千円。通信費程度しかもらわない姿勢はいい。なかには、神奈川のスリーハンドレッドのように、年会費10万円というところもあるのだから、いかに安いかおわかりになろう』

『しかし、所せん一般庶民にとっては高嶺の花』

画像: 大利根カントリークラブ(36H・14089Y・P144)

大利根カントリークラブ(36H・14089Y・P144)

【GD会員権サービスから一言】
現在の相場は、大利根400万円、筑波400万円、茨城600万円。相場では、1位茨城、2位が大利根、筑波がタイで並んでいます。この3コースが茨城県の3強という立場は変わりません。但し、大利根は名変料300万円と入会預託金100万円で合計800万円、筑波は名変料のみ100万円で合計500万円、茨城は名変料のみ100万円で合計700万円。名変料と入会預託金の額を考えると、大利根の相場の高さ、評価の高さが伺えます。この中で唯一18ホールである筑波の健闘も光ります。
     
大利根の年会費は現在6万円。2千円からはかなり値上げされていますが、筑波は8万円、茨城が4万円と考えるとこのクラスとしては決して高くない金額設定と言えるでしょう。

『もう少し安くて居心地がよければという人には、300万円以内で江戸崎だろう。昨年(1979年)、開場16年を迎えた林間コース。日本緑化土木が造った自営コース。成田空港へ向かう東関東自動車道・成田インターでおりれば、あと約30分』

『高いものを買う人は龍ヶ崎に、グンと安くていいもの買いたい向きは、桜に流れてしまった。中間にあって売り買いがいまひとつなかったところ。江戸崎は杉林に囲まれ、落ち着いた雰囲気がいい』

『リゾートで持つなら大洗。一時、用地返還問題などあったが、いまは落ち着いている。昨年(1979年)12月、名変料を25万から40万に上げ相場はストップした』

画像: 江戸崎カントリー倶楽部(36H・13747Y・P144)

江戸崎カントリー倶楽部(36H・13747Y・P144)

画像: 龍ヶ崎カントリー倶楽部(18H・7047Y・P72)

龍ヶ崎カントリー倶楽部(18H・7047Y・P72)

画像: 大洗ゴルフ倶楽部(18H・7200Y・P72)

大洗ゴルフ倶楽部(18H・7200Y・P72)

【GD会員権サービスから一言】
江戸崎は現在会員権相場40万円、名変料80万円、年会費3.5万円。アクセスは圏央道開通で、まず阿見東ICから11kmとなり、平成21年の延伸後には稲敷ICから3kmと、現在ではインターチェンジから近いゴルフ場になっています。
    
龍ヶ崎は現在会員権相場200万円、名変料200万円、入会預託金30万円、年会費10万円。年会費を平成12年に2.5万円→5万円、平成20年に5万円→10万円と値上げを実施。名変料も平成19年に150万円→200万円に。会員権相場は平成19年に1000万円超だったものが現在は200万円になってしまいました
    
大洗は現在会員権相場220万円、名変料100万円、入会預託金15万円、年会費5万円。名変料が平成19年に40→80万円、平成23年に80→100万円とたったの4年間で2.5倍の値上げ。平成19年に750万円だった相場は、平成23年に500万円、現在は220万円。経済状況も含め、会員権全体の低迷もありますが、やはり名変料、年会費の値上げは大洗や龍ヶ崎と言えども相場への影響は大きいようです。

『安ければ多少遠くてもいいという人は、霞台はいかが。作家の井上友一郎が社長で、ちょうど10年前にオープン。霞ヶ浦一帯がクラブハウスから見える。全体に高低差が少ないのはありがたい。霞コースなどはフェアウェイ幅がたっぷりとってあるから、ビギナーでも心配ない』

『作家の丹羽文雄が理事長、理事に川口松太郎、水上勉、石原慎太郎、高橋義孝、文壇の名士がずらり顔を揃えている。名変料を入れて115万』

『とにかくフラットなコースという人は、利根川沿いにある常総岩井コース(18ホール)はどうだろう。河川敷コースとは違う。しかし、土手があるのでプレー にきて間違える人もいる。コース内にはクリークが流れ、変化がある。ここのオーナー高森勇は名門、千葉CCをはじめ、野田市営パブリックなど28コースを造り上げた高森建設の社長でもある。現在(1980年)相場は50万円。名変料20万 円、年会費1万2千円。会員は約1700人とまあまあ。50万から相場が動かない』

【GD会員権サービスから一言】
常総は平成28年に名変料を9万円にし、さらに預託金充当制度を実施する等入会しやすくしていますが、会員権相場が低迷、流通もあまり無い状況です。ビジターフィの安さが仇となり、メンバーの価値を下げてしまっているのが残念。

『レイアウトうんぬん言われる玄人好みには、浅見でしょう。昭和49年の9月に オープン。玄人筋が一様にほめる27ホールのゴルフ場です。コース名の通り、浅見緑蔵プロの設計。ここの社長でもある。一時、社長勇退説が出てごたごたがあったようだが、いまは元のさやにおさまったのは何より。コース内には大小さまざまな池があり、一段と見栄えがいい。と同時に、戦略的にも難しくなる。コースレートは、北、中、南コースどれを組み合わせても「71以上」あるのはさすがである。常磐線・友部駅から車で約15分。現在(1980年)相場は60万円。名変料 が30万円。年会費1万8千円』

『もうひとつ、桜ゴルフ(27H)もいい。ここも、コースレートは72に近い。むかし、18ホール時代、関東プロゴルフ協会の林由郎、佐藤精一、栗原甲子男、内田義男、宮本留吉、山本増二郎、中村寅吉といった人たちが、各ホールを分担して設計、総合監修を安田幸吉、浅見緑蔵両プロが担当した。その後、改造されてしまったが、同じ形のホールがひとつもないのが特徴だった。現在(1980年)相場165万円』

画像: 浅見ゴルフ倶楽部(27H・10180Y・P108)

浅見ゴルフ倶楽部(27H・10180Y・P108)

画像: 桜ゴルフ倶楽部(27H・10096Y・P108)

桜ゴルフ倶楽部(27H・10096Y・P108)

【GD会員権サービスから一言】
浅見は平成13年から名義書換停止中。募集入会のみ可能。募集金額は49万円。桜は一時期「国際桜」と名称を変更していたが、元に戻しました。現在の会員権相場は10万円以下。名変料30万円で、総額50万円以下のコースとしては内容はいいです。圏央道が出来て、アクセスが良くなったコースが増える中、それほど恩恵を受けられず、会員権相場としては苦戦を強いられています。

『土日祝日のスタートが取りやすさでは(1980年)相場370万円の金乃台(18H)をあげたい。先に、ある東京の大手会員権業者が、関東一円の主要コース108のメンバー約51万人にアンケートを
出して「自分のコースをどう思っているか」の質問をした。その答えを集計したら、なんと小金井、我孫子など古い名門コースを飛び越えて、金乃台がトップになった』

『「とりやすい」と答えた人が98.1%、「とりにくい」はゼロ。大したものである。ちなみに、2位は小金井、3位に栃木の名門、小山が入っていた。会員数は1100人余り。日本製鋼社長、金子信男が理事長で宣伝ひとつしない地味なコースだが、評判はいい』

『前述のアンケートで、従業員のサービスもいい(いい78.2%、悪い5.5%)と出ており、安心して入れるのでは。ただ、ここはメンバーになるには、正会員、 理事各1名ずつの紹介がいる』

画像: 金乃台カントリークラブ(18H・6433Y・P72)

金乃台カントリークラブ(18H・6433Y・P72)

【GD会員権サービスから一言】
金乃台は現在会員権相場が50万円。平成25年から行っている名変料半額キャンペーンを継続し、相場が維持されている。現在の入会条件は、理事推薦は不要になりましたが、在籍5年以上の正会員の推薦と他クラブ在籍が必要となっています。総額100万円程度のコースとして、比較的候補に挙がりやすいゴルフ場です。

穴的中? 圏央道が開通してグッと身近になった新東京とフレンドシップ

『穴場といったら新東京(18H)15万が面白い。多治見国武社長一家、それこそ息子、娘、奥方までが一団となって経営に力を注いでいるのも珍しい。ここは1983年に常磐高速道が柏から分かれて岩井市(現・坂東市)に入る道路ができ、東京からだいたい1時間以内といわれているからだ。そうなれば今の値は安い』

『長距離運転が好きな人には、これも大穴になると思うコースがある。白帆である。霞ヶ浦の向こう側だから、遠いという印象が第一に起きる。コースは文句なしにいい、と評判(設計は富澤誠造、1974年開場)。2、3年後に成田空港から先に佐原まで東関東自動車道が延びる。そこまで一気に飛ばせば信号なし、あと国道51号線は割と空いている。大きな値上がりはないが、従来の高値までなんとかいけそう』

画像: 白帆カントリークラブ(18H・6932Y・P72)

白帆カントリークラブ(18H・6932Y・P72)

【GD会員権サービスから一言】
白帆は現在会員権相場20万円。名変料30万円。預託金充当制度があるので、額面に応じた相場にはなりますが、総額50万円程度で入会出来ます。高速からのアクセスが東関道でも常磐道でもICから20km超、ビジターフィの安さも考えると、それだけコースの評価が高いといえるでしょう。

『投資で買いたいという人は、前述の取手銀座の一角にある常陽が注目株。茨城、筑波と500万以上、取手新日本も400万に近づいている。隣組の常陽だけが235万から240万で、もたもたしている。コースが前記3コースに比べて狭い、無記名会員がまだ若干残っている、それらが、いまひとつ相場を上げない。しかし、年会費無料は魅力のはず。来年、常磐自動車道・谷田部インターが開通すれば、そこからコースまで約5分は便利』

画像: 常陽カントリー倶楽部(18H・7025Y・P72)

常陽カントリー倶楽部(18H・7025Y・P72)

【GD会員権サービスから一言】
常陽は現在の会員権相場は55万円。名変料100万円。何と言っても年会費無料は魅力です。年会費を値上げするゴルフ場が多い中、今でも徴収しないのは評価すべきだと思います。つくばエクスプレスのみらい平駅からクラブバスで10分と電車派にもおすすめのコースになります。

(週刊ゴルフダイジェスト1980年10月29日号)

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