一度、法的整理を受けたゴルフ場はもう大丈夫?
バブル崩壊後のゴルフ場の法的整理といえば、和議や会社更生法の申請が主流でした。しかし、2000年の民事再生法が施行されると、これを採用するゴルフ場がほとんどとなりました。民事再生法だと、経営陣が残ることができますが、議決権者の過半数の同意が必要となるため、預託金会員等の債権者を納得させるために、債権の圧縮率を低めに抑える必要がありました。
会社更生法では額面の98%、99%カットという大胆な例も見受けられましたが、民事再生ではそこまではできず、中途半端に債権を残す結果となり、二次整理につながるゴルフ場も出ていきました。
鳩山カントリークラブ(埼玉県)は平成16年(2004年)9月に民事再生法を申請。カット後に残った31%の預託金を拠出金ではなく、再預託金として残していたことや、新たに会員募集した際の、新たな預託金(230万円)を含んでいたことで、平成30年(2018年)3月、二度目の民事再生法を申請することになりました。
負債額は32億円、退会会員へは22.21%を弁済し、継続会員は完全株主会員制として、再スタートしています。
鳩山カントリークラブの会員権相場は、2019年10月現在、「売り250万、買い150万、名変料100万」となっています。
法的整理を受けたゴルフ会員権は、その後どの様になっていくか…。大きく分けると以下のように移行していきました。
●無額面のプレー会員権
●預託金(弁済率)のある従来通りの会員権
●中間法人制へ移行した会員権
●株主制へ移行した会員権
●一般社団へ移行した会員権
●永久債となった会員権
今回は、「中間法人制」「株主制」「一般社団」に移行し、再生に成功した「5コース」を見ていきたいと思います。いずれも相場がしっかり立ち、運営されているゴルフ場になります。
石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県)
会員権相場/売り60万、買い20万/名変料200万/一般社団
平成14年(2002年)7月、経営会社の親会社「大日本土木(株)」が民事再生法を申請。同じくして石坂ゴルフ倶楽部(埼玉県比企郡鳩山町石坂)の経営会社「鳩山スポーツランド(株)」も民事再生法を申請しました。その後、間接株主会員制で再生計画が成立。預託金60%カット、残り40%を新預託金としました。
新預託金の据置期間は10年。期間満了後の退会は、「退会前年度の経常利益(現金ベース)の50%を限度として返還」と定めています。現在の経営会社は、「一般社団法人石坂クラブ」となっています。
木更津ゴルフクラブ(千葉県)
会員権相場/売り65万、買い40万/名変料100万/中間法人
平成14年(2002年)12月、運営会社の「(株)木更津ゴルフ倶楽部」が、ゴルフ場所有会社の「内房産業(株)」の破産を債権者として申し立て。預託金返還問題が原因でした。平成15年12月に会社更生法を申請します。
しかし、運営会社と所有会社が対立。当初は日本経済新聞社グループがスポンサーに選定されましたが、撤退。その後、ゴールドマンサックスが新スポンサーに選定されるも、会員が設立した「中間法人木更津ゴルフクラブ」との2スポンサーで審議されることとなりました。
結果、会員側の案が可決され、ゴールドマンサックス側の管財人は退任します。会員は一律で預託金の10%を弁済し、会員を継続する場合には正会員40万円、平日会員20万円を中間法人に預託して入社。預託金はクラブの解散時まで返還しない、ということになりました。
南総カントリークラブ(千葉県)
会員権相場/売り180万、買い135万/名変料50万/一般社団
平成22年1月、(株)南総カントリークラブが民事再生法を申請。再生計画案のゴールドマンサックスが経営を引き継ぐ案が会員により否決されます。その後、会社更生法に申請を変更し、ゴールドマンサックスが経営から排除されました。
「南総CCを守る会」が先頭に立ち、一般社団法人南総倶楽部をスポンサーとして契約。継続会員は、カットされた預託金を搬出金とすること間接的な株主会員として再スタートしました。
浜野ゴルフクラブ(千葉県)
会員権相場/売り220万、買い175万/名変料100万/株主制
平成9年(1997年)12月に和議申請、平成14年7月に民事再生法に切りかえ申請しますが、「浜野GCを守る会」が中心となって、平成15年2月に会社更生法が適用されます。
その後、預託金付き株主会員制「(株)浜野ゴルフクラブ」としてスタートしました。継続会員の預託金は83%カット、残り17%の預託金の中から正会員は70万円を出資して2株(1株35万円)、平日会員は35万円を出資し1株取得しました。株取得後の預託金残金の80%は再度カットとなり、残り20%を新預託金となりました。
浜野GCの「ゴルフ場身体検査」はこちら↓
清川カントリークラブ(神奈川県)
会員権相場/売り75万、買い50万/名変料120万/間接株主制
平成12年(2000年)、ローンスターグループが清川カントリークラブの債権を買い取り競売申し立てますが、平成13年に会員の有志によって会員総会で更生計画案を作成。平成15年12月に会社更生手続きが決定しました。間接株主会員制に移行し、「新生・清川カントリークラブ」としてスタートします。
旧会員の他にも、出資金150万円(基金2万円、会員保証金148万円)を支払って新たに入会された会員もいます。出資金はクラブ解散時の返還となっています。
唐沢GCは倒産回避策として一般社団法人化に…
唐沢(栃木県)は預託金を順次返還していましたが、平成26年(2014年)5月以降、分割での返還にシフトしました。
しかし、残る預託金の返還は約20億円。将来的に厳しいという見通しとなったため、倒産を回避し、経営を維持するという会員の賛同のもと、一般社団法人へ移行しました。
一般社団法人にすることで…
●預託金会員は、預託金の「70%」を社団の基金として拠出
●株式会員は株式「満額」を基金として拠出
この拠出金の返還請求権は永久債化(返還時期は会社清算後)
預託金会員の残り30%の預託金は令和3年6月30日以降に退会を条件として、年1回年間償還減資額の範囲内で償還(抽選または按分)としました。
唐沢ゴルフ倶楽部の会員相場は、「売り30万、買い10万、名変料45万」(2019年10月現在)
新スポンサーの元、再生に成功したゴルフ場
河口湖、平塚富士見、レイクウッド、総武、KOSHIGAYA、東京国際、宍戸ヒルズ、大多喜城、平川、猿島・・・に関しては、こちらの記事をご覧ください↓
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