
ふむ。どうやらこの街は、ただの街ではなさそうだ(ホームズ)
Q. セントアンドリュースの街には、どの路地にもゴルフがある?
セントアンドリュースに駅はなく、車を使うのが一般的。エジンバラからなら車で1時間半ほどで到着する。駅がないので当然駅前はなく、街はメインストリートであるマーケットストリートを中心に栄えている(下のマップの⑤のある縦の道)。スコットランドの街並みは素朴だ。


地図の上側(北)にある大聖堂から見た、セントアンドリュースの街
ゴルフコースと共に歩んできた街らしく、路地のいたるところでゴルフを感じることができる。そもそも街を歩いているだけでも、オールドコースが見えるのだからゴルファーにとってはたまらないだろう。
地元ゴルファーのように、マーケット通りから口笛を吹きつつ、路地を散策
1. コース隣接「18番グリーンショップ」

プレーに必要な小物やウェア、ギフト。オールドコースに訪れたゴルファーは必ず立ち寄る
2. ゴルフの歴史が詰まった「ゴルフミュージアム」

オールドコースの1番ティ手前にあるのが総本山「R&A」。その裏手にある歴史ミュージアム

往年の用具や絵画、書籍などを展示。併設ショップのギフトアイテムは群を抜いて豊富。写真はトム・モリスの優勝カップのレプリカ
3. 地元名手のブランドショップ「トム・モリス・ゴルフショップ」

スコアカードを持っていけば記念のプレートに仕立ててくれる
3.世界の洒落者ゴルファーが集う「オールドコースショップ」

カシミアなどが豊富。ショップの前はオールドコース18番

オールドコースから街を眺める。左の建物が「R&A」。正面奥が「The Old Course Shop」
3.最古参のショップはクラブマニアも納得「オークターロニー」

オールドコースまで徒歩30秒。ギアが充実した最大規模のショップ。日本製のクラブも豊富
4.ギアとカスタムの品揃えで地元ゴルファーご用達「The Pro Shop」

クラブやシューズなど、なんでも気軽に相談できる
4.ずばり「ゴルフショップ・オブ・セントアンドリュース」

セントアンドリュースロゴのアイテムが勢ぞろい
5. 街の目抜き通り「マーケットストリート」

石畳も一部残る街のメインストリート。外観は中世を残し、どの店も中に入ると近代的
Q. セントアンドリュースには、ゴルフ倶楽部がいくつある?
職業や階級社会の名残がクラブを決める
記録に残されている最古のゴルフ倶楽部は1744年に設立されたジェントルマン・ゴルファーズ・オブ・リース。その10年後にセントアンドリュースの繁栄を願って紳士22人が「R&A」の前身を結成した。
それが次第に地位を持ち、国王がパトロンとなってロイヤルの称号を得ることになり、現在では世界のゴルフを「R&A(ロイヤル&エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース)」として統括している。
そんなゴルフの総本山を持つ街では、100年以上前に、上流階級以外の人たちから新たな倶楽部を結成しようという動きがでた。
「年齢」、「性別」、「職業」や「所属」、そして自分のゴルフの「趣向」、それらを総合して楽しめる倶楽部が決まっていったのだ。
答えは13。まるで英国社会の縮図のような倶楽部がずらり
ロイヤル&エンシャント ゴルフクラブ

歴史は250年。貴族らが集った最古の倶楽部のひとつ。全英オープンの主催者であり、倶楽部がメンバーを選ぶ特殊な形態
ニューゴルフクラブ

ビジネスマン、教職者が集う。中間階級が増えてきた1902年に創立。創設時にはトム・モリス父が名誉会員に選ばれた
セントルールクラブ

女性の「ソーシャルクラブ」として1898年に設立、現在のメンバーは約500人。ゴルフ以外にも活発に活動
RAFルーチャーズゴルフクラブ

「RAF」は英国空軍のこと。ゴルフ好き兵士たちが結成した倶楽部。訓練を終えてコースに直行する人もいるそう
セントアンドリュース大学GC(男子)

大学ゴルフの最高峰に君臨。地域の大学リーグで常に上位に入る。一軍入りできるのはHC3まで
セントアンドリュースクラブ

R&Aに対抗した職人たちが結成。R&Aの次に規模が大きく、メンバー数は約2000人
セントレギュラスゴルフクラブ

ゴルフ好きの女性の倶楽部。メンバーは200人程度だが、ゴルフ熱は厚い。ひたすらプレーに没頭するのだとか
シッスルゴルフクラブ

競技志向の腕利きが集う。シッスルは国花「アザミ」のこと
マドラスカレッジゴルフクラブ

ジュニア最強のセントアンドリュースの倶楽部。18歳以下の女子中心
セントアンドリュース大学GC(女子)

メンバー数は190人ほど、腕前で3つのグループに分けられる。競技志向でなくても入会可能
XIXthゴルフクラブ

ゴルフよりもお酒が大好き? アフターゴルフを楽しむ倶楽部。ハウスはホテルや街のバーを使用
レディースパッティングクラブ

ベテラン主婦が中心で、パッティングを愉しむ倶楽部。メンバーは約100人
セントアンドリュースチルドレンGC

街に唯一ある子供のゴルフ倶楽部。5~15歳の男子で構成。聖地のゴルファーらしく育つのが目標
日本では倶楽部があってコースを持つのが一般的だが、この地ではまず先にコースがあって、そこに倶楽部ができたわけだ。
ところで、セントアンドリュースには、「オールドコース」以外に5つもリンクスコースがある。
女王在位50年記念が名前となった「ジュビリー」(原設計不明/6742Y/P72)
近くの河から名前をとった「イーデン」(ハリー・コルト設計/6195Y/P70)
最初はR&A専用コースだった「ニュー」(B・H・Blyth設計/6604Y/P71)
初心者向けでも難しい「ストラスタイラム」(D・スティール設計/5620Y/P69)
21世紀に完成した「キャッスル」(D・M・キッド設計/6789Y/P71)
セントアンドリュースのすべてのコースを管理する「リンクストラスト」に、各倶楽部単位で登録していて、プレーする枠が倶楽部の規模によって割り当てられているという。
街と人々とコースが見事に同居している、それがセントアンドリュース。さすが「ゴルフの聖地」だ。(ホームズ)

オールドコースを回る地元ゴルファー。コースに自生する「ハリエニシダ」の前で!
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