D・ミュアヘッド(1923~2002年)
スコットランド生まれ。建築工学や造園学を学んだのち、世界15ヵ国で110以上のコース設計に携わった
奇才の本質は破壊ではなく、自然との調和
リンクスで育った設計家の素顔
リンクス育ちのミュアヘッド。おそらく早い時期から自然には勝てないということを身をもって知っていたのだろう。調査を進めるうち、鬼才の源流は意外にも自然との調和であることがわかった。その一端がここ「アバイディングクラブゴルフソサイティ」でもうかがえる。
山肌に造られたのにリンクス然「アバイディングクラブ」
象徴的なのは、周囲に馴染んだ曲線美。もしかするとミュアヘッドの見た原風景に近かったのだろうか。房総丘陵の中央に位置する長南の山肌に、まるで砂地に造られたようなリンクスが広がる。
ティーイングエリアが円形。直線は自然に馴染まない
ミュアヘッド設計のティーイングエリアは角ばった四角状ではなく楕円状。自然界に直線はないでしょ、と言っているかのよう。
周辺の植物までも設計に反映
設計予定の土地を歩きながら、原案を描き上げていくのがミュアヘッドの設計スタイルだそうだ。その際に、周囲の木々や植生にも着目していく。
アバイディングクラブ ゴルフソサイエティ
18H・6731Y・P72
1994年開場
千葉県長生郡長南町竹林10
☎0475-46-3333
公式ホームページはこちら
友人が語る"ほんとうのミュアヘッド"
「奇抜なコースは彼の遊び心」
「60年代から70年代初頭にかけ、世界的に評価されるコースを多く造ったミュアヘッド。ですが、そこから10年間ほどの空白期間があるのです」と語るのは、ミュアヘッド設計のブリック&ウッドクラブ創設を手掛けた顧問の坂征郎さん。
LPGAメジャー会場のミッションヒルズCCをはじめ、世界のトップ100コースに数多くランクインしているミュアヘッドのコース。その設計思想は坂氏の言う10年のブランクを経て大きく変化する。
コース設計に象徴主義やアート、神話といったテーマを持たせた設計への変貌だ。
これらは時として、伝統的な人々の反感や抵抗を受けることになるが、坂さんはそこには大きな誤解があると言う。
「奇抜な設計は決して彼の本質ではなく遊び心にすぎません」と坂さん。
ミュアヘッドの意志を継ぐ「ブリック&ウッドクラブ」
ミュアヘッドの口癖に「土地はすでにそこにある。必要なのはデザインだ」という言葉があるが、これには続きがある。
「ゴルフ場は土地の形状を変えて造ることはできるか、なぜそうするかという理由が必要だ」
奇抜な発想は、あくまでも仕上げの味付けでしかないのだ。
18ホール中、試練のホールを必ず造る
ミュアヘッドは「ゴルフ場は難しくあるべき」と言う一方、技量に応じ難易度を選択できるようにとの配慮から、早い時期から多くのティを設定していた。
その中にゴルファーの技能を試す"試練のホール"を設定するのも通例だ。マウンドや窪地を強調することで、景観と調和を取りつつ難度を上げる手法は、地形主義という彼の哲学から導き出された。
この哲学はコースだけにとどまらず、周囲にまで及ぶ。ゴルフ場を中心とした"町"まで創りだしてしまうところに凄みを感じる。
天才か異端かは回る人が決めればいい。本当のミュアヘッドは、回るごとに見えるはずだ。
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ブリック&ウッドクラブの試練ホール、2番・パー4
ブリック&ウッドの難ホールは、スタート早々の2番にやってくる。1打目の落としどころが狭く、2打目も距離が残る。1打目は最も安全な220ヤード地点を狙うのが定石。「ミュアヘッドはここを、ロングアイアンの実力を測るホールと呼びました」
コースだけでなく街まで設計
ブリック&ウッドクラブでは現在、ミュアヘッドの遺志を引き継いだ坂さんが中心となって、ゴルフ場と宅地・別荘地を一体とする「ミュアヘッド・フィールズ」の開発を進めている。
ブリック&ウッドクラブ
18H・7002Y・P72
2000年開場
千葉県市原市山口
☎0436-98-1330
公式ホームページはこちら
芸術作品をモチーフにしたミュアヘッド
18人の芸術家の作品がモチーフ
北斎やゴッホといった芸術家をイメージした18ホール。フラットだが複雑な起伏がある。
大小5つの池の攻略がカギ「芝山ゴルフ倶楽部」
芝山ゴルフ倶楽部
18H・6438Y・P72
千葉県山武郡芝山町大台2176
☎0479-77-4123
2000年開場
公式ホームページはこちら
巨大な1グリーンは要注意
「ゴルフ5カントリー オークビレッヂ」
中世の騎士道物語、アーサー王伝説をモチーフにデザインされた18ホール。各ホールに伝説にまつわるネーミングがつき、その由来にちなんだ形状のバンカーや池、モニュメントが仕掛けられる。
コースレートは超難の73.6、18ホール中13ホールに池やクリークが絡んでいる。
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Photo/Takanori Miki
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【訂正】月刊ゴルフダイジェスト3月号の「にっぽんゴルフ漫遊記」記事113ページにてアバイディングGCソサイティと表記しましたが、正しくは「アバイディングクラブゴルフソサイティ」でした。お詫び訂正します。