振り返れば、新しい時代の始まりだったことがわかる。1980年。現代中空アイアンの祖「グランド・シルバード」が「フォーティーン」の創始者、竹林隆光氏によって開発された。低重心でボールが上がりやすく、ボリューミーな背面はウッドのように上下のミスにも強かった。それから8年。まだアイアンセットは3番からが定番で、ユーティリティもショートウッドも、キャビティアイアンでさえ一般的でないなか、竹林氏設計のプロギア「インテスト」が登場する。現在に通じるステンレスとカーボンのコラボヘッドは、その色合いから「タラコ」の愛称をつけられ大ヒット。広がりはじめた認知は、2002年の全英オープンをアーニー・エルスがフォーティーンの「HI-858」と制覇したことで世界的なものになった。そして今。さらなる進化を遂げた中空アイアンを合田洋プロとチェックした。
画像: 【試打・解説】合田洋。プロゴルファー。1994年日本プロ優勝。個性を尊重した型にはめないレッスンが好評。クラブにも精通し、試打の経験も豊富

【試打・解説】合田洋。プロゴルファー。1994年日本プロ優勝。個性を尊重した型にはめないレッスンが好評。クラブにも精通し、試打の経験も豊富

上級者も納得のスッキリ形状。この顔つき、中空とは思えない

楽にボールが上げられて、打感もいい中空アイアン。タイトリストの718MBと中空構造の718T-MBをくらべるとロフトは中空アイアンのほうが2度立っているのに、打ち出し角はほぼ同じ。高弾道で飛ばせることがわかる。

構造や形はモデルによってさまざまで、最新モデルは中空とは思えない、すっきりした顔をしているものも多い。さて、あなたの好みは?

タイトリスト 718T-MB「マッスルにしか見えない中空アイアン」

タングステンウェートを配して低・深重心に。「厚みはあるがトップブレードが薄いから構えたらマッスルにした見えない。打感も喰いつくような柔らかさ」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:33度、長さ:37インチ(NSプロ950GH)
打ち出し角度:21.3度
スピン:5414rpm
高さ:34Y
キャリー:164Y
トータル:167Y

タイトリスト 718 AP3「飛距離、許容性、見た目のトータルバランスに長ける」

重量を左右に配分。スウィートエリアが大きくなりボールが楽に上げられる。「ヘッドが長い分、構えたときに安心感がある。打感はやや硬めだが球が高く上がって飛んでいく」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:30度、長さ:37インチ(NSプロ950GH)
打ち出し角度:20.7度
スピン:4877rpm
高さ:34Y
キャリー:171Y
トータル:175Y

PXG 0311P GEN2 「バックフェースのウェートで重心の高さを変えられる」

極薄フェースや新内部構造など、すべてを見直し。「P」タイプは操作性と寛容性のバランスを追及。「見た目と違ってキャビティ系の顔。すごく構えやすくて、やさしいモデル」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:31度、長さ:37.5インチ(スチールファイバーi95)
打ち出し角度:19.6度
スピン:5035rpm
高さ:34Y
キャリー:173Y
トータル:177Y

テーラーメイド P790 「ヘッド内部に充填剤で心地よい打感と打音」

オフセットが少なくトップラインが厚すぎないデザイン。「鍛造なのに、弾き系のいい打音。比重の重いタングステンを配して重心距離を長くしているのでつかまりすぎない」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:30.5度、長さ:36.75インチ(DG105 S200)
打ち出し角度:20.2度
スピン:5346rpm
高さ:34Y
キャリー:170Y
トータル:173Y

ピン G700 「ストロングロフトで飛びを追及」

高強度の極薄マレージングフェースを採用。スウィートエリアが広がり、上下左右のブレが軽減。「ロフトが立ってて、これは飛ぶ。ヘッドが長くてグースなので、ほとんどUT」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:28度、長さ:37インチ(NSプロ ゼロス6)
打ち出し角度:20.6度
スピン:4486rpm
高さ:36Y
キャリー:184Y
トータル:188Y

プロギア RSフォージド(2016) 「インテストから30年。シャープな見た目」

#4~#9は反発性に優れる素材を薄肉化し高初速化。ヘッド内には振動減衰材を重点しソフトな打感。「喰いつきのいい打感。これはプロでも使える。見た目も中空には見えない」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:32度、長さ:36.75インチ(Spec steel Ⅲ ver.2)
打ち出し角度:20度
スピン:5239rpm
高さ:33Y
キャリー:166Y
トータル:172Y

三浦技研 IC-601 「軟鉄鍛造の三浦があえた鋳造で作った」

ターゲットをイメージしやすいシャープなトップブレードと滑りのいい幅広ソール。「こんなに小さい中空ヘッドは初めて。いい当たりをしたときの打感は絶品。このグースはスライサーにいい」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:31度、長さ:37インチ(NSプロ ゼロス7)
打ち出し角度:20.4度
スピン:5177rpm
高さ:35Y
キャリー:172Y
トータル:176Y

藤本技工 FGビリーバーHIA 「特許取得のワンピースによる半中空構造」

落とした重量をヘッド全体に適正に配分してやさしさを追求。「ネック周りの立ち上がりがよく、いい顔している。打感も独特で、鉄で打っている感じがしない。気持ちいい」

テストクラブ:7番アイアン/ ロフト角:33度、長さ:37インチ(DG S200)
打ち出し角度:20度
スピン:5517rpm
高さ:33Y
キャリー:166Y
トータル:169Y

楽に上がって飛ぶだけじゃない。中空構造のもうひとつのメリットが「打感」

「マッスルバックの打感こそ最高」という人が多いですが、それは昔の糸巻きボールでの話。今はボールが硬くなり、マッスルでは打感が硬くなりすぎる。それにマッスルは難しいから、たまに芯を喰ったときに格別に打感がいいとかんじるのでしょう」(合田)

「中空構造のヘッドだとボールが喰いつくような柔らかい打感になり、いちばんいい当たりをすれば、それこそ何も感じないほどです」

週間GD2018年7月3日号より

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