R&AとUSGAが共同で調査している世界のプロゴルファーたちのドライバー飛距離に関する報告書。2018年最新版が発表された。それによると2017年のプロの飛距離は、16年と比較して3ヤード以上伸びたという。「たった3ヤード」と思うことなかれ、15年から16年の報告書では年間0.2ヤードの伸びだったのだから、これは一種の異常事態だ。

報告書では、この飛距離の伸びを「普通ではなく、懸念される」と結論

将来的なボールやクラブの飛距離性能抑制への含みを持たせる報告書となった。これに対して、クラブメーカー世界大手「テーラーメイド」のCEOデビッド・アベルズ氏はこの"含み"に敏感に反応した。

「製品性能を後退させるような、いかなる決定、またはルールの付け足しについて、断固反対する」との声明を発表した。

実際問題として、なぜプロの飛距離が急激に伸びたのか。

画像: 最長記録は430ヤード。世界ランク1位、D・ジョンソンは400ヤード超えを今季ツアーで6回記録

最長記録は430ヤード。世界ランク1位、D・ジョンソンは400ヤード超えを今季ツアーで6回記録

画像1: 報告書では、この飛距離の伸びを「普通ではなく、懸念される」と結論
画像2: 報告書では、この飛距離の伸びを「普通ではなく、懸念される」と結論

飛距離を大幅に伸ばした、弾道解析器の存在

スウィングの最新トレンドに詳しい横田英治プロは「『トラックマン』に代表される弾道解析機器を、スウィング調整に利用するのがツアープロの間で一般的になった結果」と分析する。

「トラックマン」は実際に打った弾道をレーダー追尾して、インパクトの諸条件や、空中での最高到達点、スピン量、キャリー飛距離などを表示してくれる。

画像: 試合中のドライビングレンジは、トラックマンでの測定分析が日常となっている(写真はUSオープンでのD・ジョンソン)

試合中のドライビングレンジは、トラックマンでの測定分析が日常となっている(写真はUSオープンでのD・ジョンソン)

これを使えば「今まで『これは当たった』という勘に頼っていた部分が、明確に数字で見えるようになり、どうスウィングして、どう当てれば、最大飛距離が出るかということが、はっきり分かるようになった。みんながそれをやり始めた結果、飛距離が一気に伸びたんだと思います」(横田プロ)

また、NHKBSのPGAツアー中継解説でおなじみの佐渡充高氏も「トラックマン」がプロとクラブメーカー双方にもたらした影響が大きいと指摘する。

「実際の弾道を正確に計測することで、本当に飛距離が出る理想的な数値、とくにスピン量の数値が明らかになりました。プロはその数値に合わせて自分のクラブをフィッティングすることで、飛距離アップを図ることができるし、メーカーは新たな設計をクラブに盛り込むことで飛距離アップに貢献できるというわけです」(佐渡氏)

スピードは上がらずとも、スピン量をチェックすれば飛距離は伸びる!?

グラフを見ると、ヘッドスピードの高速化以上に、弾道の低スピン化が目立つ。バックスピンを減らして最適スピン量に近づけるほど飛距離は伸びるということがわかったからだ。これは弾道測定器による目に見える効果だと言える。

こういった測定器による恩恵を受けるべく、我々アマチュアに置き換えてみると……。

実際のところ、トラックマンを購入することは可能だが、シングルレーダー版で150万円以上と敷居が高い。

そこで注目されているのが、リーズナブルなポータブル測定器だ。

たとえば、ポータブル弾道測定器「mevo(フライトスコープ ミーボ)」。価格は10万円程度。一般ゴルファーでも少し背伸びすれば、手が出させるのではないだろうか。

画像: こちらは手のひらサイズの弾道測定器「mevo(ミーボ)」。1球ごとに数値で弾道の良しあしが分かるため、「いいスウィング」だったかフィードバックが得やすい

こちらは手のひらサイズの弾道測定器「mevo(ミーボ)」。1球ごとに数値で弾道の良しあしが分かるため、「いいスウィング」だったかフィードバックが得やすい

ボール初速やクラブスピード、スピン量や打ち出し角度、キャリー飛距離などを測定。測定結果はスマホを介して即座確認できる。トッププロにあやかって、自身のスウィング分析に活かしてみるのはいかがだろう。

画像: 「mevo(ミーボ)」の測定結果画面

「mevo(ミーボ)」の測定結果画面

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テクノロジーの進化はいずれアマチュアにこそ還元されるもの

本題に戻すと、R&AとUSGAの報告書ではアマチュアの飛距離について、「高反発時代のピークよりは落ちるが、長期的に見れば伸びている」というが、大きな飛距離アップは見られてない。

トッププロの劇的な飛距離アップが、ギアにおける飛距離性能の過剰な規制を引き起こし、結果としてアマチュアの夢に水を差す決定がなされないことを……。

週刊GD2018年8月21・28日号より

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