木更津で知らぬ人はいない。「バー弁」ことバーべキュー弁当。「チャー弁」ことチャーシュー弁当。
2018年春、テレビで紹介されてから、全国にその名が知れ渡るようになり、一時は即完売なんてこともあったが、現在はちょっと落ち着きを取り戻し、以前と変わらぬ様相を取り戻している。とはいえ、としまやの棚を見ていると、次から次へと「チャー弁」が手に取られていき、浜屋では、裏の厨房がひっきりなしに動き「バー弁」を作っている。どうやら人気は相変わらずのようだ。
それもそのはず、どちらの弁当も近隣住民たちにとって「いつもの昼ごはん」として長年親しまれてきたもので、とくに飾り立てる必要もなく、客寄せの広告を打たずとも、お腹をすかせたお客が自然とやってくる。
では実際に木更津の人々が熱愛する2つの弁当を食べ比べてみることに。どちらもズシリと重く、ほのかに温かさが残っている。まずはチャー弁。こちらは内房全域に12店舗を構える「としまや弁当」の一番人気。としまやと言えば、お弁当以外にもお菓子や雑貨が並ぶ、いわばご当地コンビニ。
店内にはイートインコーナーがあったが(うかがったのは木更津市新宿店)、あえて海辺の公園で食べることにした。
蓋を開けると、ぎっしり詰まったご飯の上に、厚さ1センチはあろうかというチャーシューが5枚。ガバッと箸でチャーシューごと取り、食べてみると、香りの通り甘辛い醤油が柔らかい煮豚に染み込み、ご飯とよく合う。甘辛い醤油の香りだけでもご飯が進みそう。米の量が多いのもうなずける。
つづいて木更津周辺に3店舗を構える弁当専門店「浜屋」のバー弁。奥の厨房を覗かせてもらうと、その名の通り、秘伝のタレに漬け込んだ豚ロース肉が直火で焼かれている。器はチャー弁より少し小さめだが、負けず劣らずズッシリ重い。昭和37年に木更津駅西口で生まれて以来、変わらぬ製法と味を守りつづけているそうで、長年の常連も多いという。
まず大きな豚ロースを食べてみると、思ったよりも柔らかく、あっさりめの甘辛醤油味。500円ちょっとの値段とは思えない肉質のよさに驚いたが、それよりも凄いのがモチモチもお米。聞けば弁当に最適な「ゆうだい21」という、甘みと食感に特化した品種なのだそうだ。
バー弁、チャー弁、どちらにも言えるが、シンプルで旨く、お米が進むこと。よくよく考えてみれば、弁当の基本のようなキーワードだが、そこが突き詰められているから、特に飾りることをしなくても、長年、愛される理由なのだろう。2つの内房ソウル弁当、おそるべしだ。
「チャー弁」と「バー弁」 食べるならどっち?
千葉市から木更津内房エリアに12店舗(チャー弁)
としまや弁当本部
TEL.0438-62-8590
公式ホームページはこちら
木更津駅周辺に3店舗(バー弁)
お弁当の吟米亭 浜屋
TEL.0438-22-4161
公式ホームページはこちら
月刊GD2018年12月号より