全国の企業120社以上が参加した「日経カップ企業対抗」には、競技派サラリーマンが多数出場。そこで決勝に出場した40チーム160名のドライバーをモデル名からスペックまで綿密チェック。ゴルフクラフトマンにして自身も競技アマの木名瀬和重さんと徹底調査した。そこから見えた競技派ゴルファーのクラブ選びのポイントとは?

【ドライバー調査の舞台/日経カップ企業対抗2018】
会社員ゴルファーの振興と参加企業の交流促進のために発足、今年で7回目の開催。
会場/筑波カントリークラブ(18H・7055Y・P72)
ルール/1チーム4名が競技(上位3名の合計スコア/チーム登録は6名)
チーム年齢構成/出場4名は全員30歳以上、40歳以上と50歳以上が入ること
出場企業/40チーム(プレデンシャル生命保険が231打で優勝。予選は160チーム参加)

画像: 決勝進出は40社40チーム

決勝進出は40社40チーム

画像: 【出場者の年齢分布】 30代が34人、40代が47人、50代が66人、60代が12人、70代1人

【出場者の年齢分布】
30代が34人、40代が47人、50代が66人、60代が12人、70代1人

画像: 【出場者のHC分布】 プラスハンディ5人、0~4が61人、5~9が56人、10~12が8人、ハンディを持たない人は28人

【出場者のHC分布】
プラスハンディ5人、0~4が61人、5~9が56人、10~12が8人、ハンディを持たない人は28人

160人の使用率1位は、テーラーメイドM2。その数15人!

画像: テーラーメイド「M2」

テーラーメイド「M2」

「テーラーメイドの『M2』はMシリーズの中でもかなり飛ぶモデルです。とくにボール初速が速い弾き系ヘッドで、中古市場でも値が下がらず高評価を得ています」(木名瀬)。決勝大会の160人中、15人が使用。使用率は9.3パーセント。この二代目『M2』の発売は2017年3月だから、すでにロングセラーモデルといえる。

使用率2位は、テーラーメイドM4

画像: テーラーメイド「M4」

テーラーメイド「M4」

「この『M4』は、『M3』と同時に発売したニューモデルということもありますが、Mシリーズはどのヘッドも飛距離性能が高いです」(木名瀬)。大ヒットした『M2』の後継として2018年2月に発売。直後にD・ジョンソンが試合で433ヤードのパー4をワンオンさせて話題になった。ミスヒットに強く、直進性が高いモデル。使用者は14人、使用率は8.7パーセントだ。

使用率3位は、タイトリスト917とテーラーメイドM3。9人で3位タイ

画像: テーラーメイド「M3」とタイトリスト「917(D2とD3を合わせて)」

テーラーメイド「M3」とタイトリスト「917(D2とD3を合わせて)」

『M3』と同率3位に入ったのが、タイトリスト『917』。「『917』は『D2』も『D3』も非常に完成度の高いヘッドです。競技ゴルフをやる私自身も好きなモデルで、『D2』は直進力が高く、曲がらないのが特徴です」(木名瀬)。内訳は『D2』が4人、『D3』が5人。「440ccの小ぶりヘッド『D3』は操作性が高く、ドローやフェードを筑波のホールに合わせて打ち分けたのではないでしょうか」と分析した。

タイトリスト『917』と並び、3位タイは『M3』。『M3』は460ccと440ccの2タイプがある。内訳は460が5人、440が4人。「440はヘッドスピードが速い人向けでロフトが少ないと球が滑ることもある、やや難しいヘッドですが、4人いるというのは、さすが社会人上級者の戦いだと思います」(木名瀬)

5位T キャロウェイ エピックスター(6人)
5位T ピンG400LSテック(6人)
5位T 本間TW737(6人)
8位T ピンG400(5人)
8位T テーラーメイドグローレ(5人)

5位タイのキャロウェイ『エピックスター』とピン『G400LSテック』には似た特徴があると木名瀬さん。「どちらも飛距離重視のモデルで、弾くヘッドで、どちらも引っ叩いても曲がりにくい、直進性に長けたモデル。飛距離が期待できます」。同じく5位に入った本間ゴルフ『TW737』は460ヘッドが1人、455が4人、450が1人だった。8位タイのピン『G400』は『LSテック』に比べて深重心設計でミスに寛容なモデル、同8位のテーラーメイド『グローレ』は女子プロに愛用者も多い、つかまりのいいモデルだ。

全体として、テーラーメイドMシリーズが上位を占めたが、目立ったのはピン『G400』シリーズは40代に多く、50代は『グローレ』が多かったこと。球をつかまえやすく、ヘッドスピードが多少落ちても飛ばせる点が支持されている理由のようだ。

ヘッドスペックは「460cc」の「9.5度」が1位

160人のうち、3人に2人が460ccを使用。ヘッド自体が460cc全盛なので当然と言えば当然。上級者であっても、操作性重視の小ぶりヘッドは少数派だ。「460ccが多いのは予想通りです。ヘッドの大きさは460ccが絶対に有利ですから。スウィートエリアも広く、慣性モーメントも大きい。当然飛距離も出ます。企業対抗はあくまで会社員ゴルファーの大会ですから、操作性より飛距離を重視しているのでしょう」と解説。

画像1: ヘッドスペックは「460cc」の「9.5度」が1位

ロフトのデータを見てみると、9.5度が半数に迫り、次いで10.5度、10度が続く。「7割近くが460ccと考えると、大型ヘッドは重心距離が長く、つかまりが悪くなるので、本来ならつかまりやすい10.5度がセオリーです。ただし海外ブランドは、表記ロフトよりもリアルロフトの大きなモデルが多く、表記が9.5度なら実際は10.5度くらいです。競技派ゴルファーは使う前に試打しているはずですから、リアルロフトで10.5度というのが本当ではないでしょうか」

画像2: ヘッドスペックは「460cc」の「9.5度」が1位

シャフト部門は3大メーカーが人気

グラファイトデザイン、フジクラ、三菱ケミカルは3大シャフトメーカーと呼ばれるが、集計結果もこの三強が53%のシェアを獲得。「3大メーカーで半分以上を占めているのは、大手クラブメーカーでカスタムシャフトが注文しやすくなったからです。この3メーカーならほぼクラブ購入時にセットアップできるはず。シャフトは自分に合ったものが基本になるので、上級者の大会で純正が少なく、カスタムシャフトが多くなるのは自然な流れですね」(木名瀬)

画像: シャフト部門は3大メーカーが人気

メーカーではなく個別のモデルを見ていくと、1位はスピーダーの『エボリューションIV』となった。「『エボIV』はしっかりめで、動かないシャフトといえます。自分からシャフトをしならせる必要がありますが、重量を軽くすればヘッドスピードが遅い人や女性でも十分に振り抜けます」

ツアーADは『TP』が9人、『IZ』は8人。「『TP』は動きやすいシャフトでインパクトで弾く感じです。いい意味でスウィングを助けてくれるシャフトで、ヘッドスピードが遅めでも振りやすいです。『IZ』は左に引っかけたくない人に合います。球が上がりすぎる人がボールを抑えたい、強くしたいという目的で選ぶのが『ディアマナ』です。上から叩くイメージが合いますね」

シャフト重量は60グラムが5割強、50グラム台も多い

画像1: シャフト重量は60グラムが5割強、50グラム台も多い

上級者が好む重さやフレックスも気になるところ。重量で多かったのは60グラム台。こちらはフジクラ、三菱、グラファイトともにモデルが充実し、シャフトの定番重量。また、PGAツアーで流行りの「軽・硬」に当たる、50g台も支持を集めていた。「シャフトを軽くすると、フレックスを硬くできるほか、全長も長くできます。つまり飛ばしに有利に働くわけです」

フレックスについてはSがXを2倍近く上回った。その理由を木名瀬さんは「カスタムシャフトだから」だという。「純正シャフトの場合、X表記でもSの硬さということがあるのですが、カスタムであればSはSです。またXが30%いることも『軽・硬』の傾向が見て取れます」

では、長さについてはどうか。「今のトレンドは45.25~45.75インチ。シャフトの性能が上がったことで、全長も長くなる傾向があります」という木名瀬さんの分析通りの結果となった。

【解説】木名瀬和重(クラフトマン)
茨城県水戸市「クラブ工房キナセ」を主宰。HC+2の競技ゴルフプレーヤーでもある。三角ソールのトライアングルウェッジなどクラブ開発も行う

画像2: シャフト重量は60グラムが5割強、50グラム台も多い

週刊GD2018年11月13日号より

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