【ドライバー調査の舞台/日経カップ企業対抗2018】
会社員ゴルファーの振興と参加企業の交流促進のために発足、今年で7回目の開催。
会場/筑波カントリークラブ(18H・7055Y・P72)
ルール/1チーム4名が競技(上位3名の合計スコア/チーム登録は6名)
チーム年齢構成/出場4名は全員30歳以上、40歳以上と50歳以上が入ること
出場企業/40チーム(プレデンシャル生命保険が231打で優勝。予選は160チーム参加)
160人の使用率1位は、テーラーメイドM2。その数15人!
「テーラーメイドの『M2』はMシリーズの中でもかなり飛ぶモデルです。とくにボール初速が速い弾き系ヘッドで、中古市場でも値が下がらず高評価を得ています」(木名瀬)。決勝大会の160人中、15人が使用。使用率は9.3パーセント。この二代目『M2』の発売は2017年3月だから、すでにロングセラーモデルといえる。
使用率2位は、テーラーメイドM4
「この『M4』は、『M3』と同時に発売したニューモデルということもありますが、Mシリーズはどのヘッドも飛距離性能が高いです」(木名瀬)。大ヒットした『M2』の後継として2018年2月に発売。直後にD・ジョンソンが試合で433ヤードのパー4をワンオンさせて話題になった。ミスヒットに強く、直進性が高いモデル。使用者は14人、使用率は8.7パーセントだ。
使用率3位は、タイトリスト917とテーラーメイドM3。9人で3位タイ
『M3』と同率3位に入ったのが、タイトリスト『917』。「『917』は『D2』も『D3』も非常に完成度の高いヘッドです。競技ゴルフをやる私自身も好きなモデルで、『D2』は直進力が高く、曲がらないのが特徴です」(木名瀬)。内訳は『D2』が4人、『D3』が5人。「440ccの小ぶりヘッド『D3』は操作性が高く、ドローやフェードを筑波のホールに合わせて打ち分けたのではないでしょうか」と分析した。
タイトリスト『917』と並び、3位タイは『M3』。『M3』は460ccと440ccの2タイプがある。内訳は460が5人、440が4人。「440はヘッドスピードが速い人向けでロフトが少ないと球が滑ることもある、やや難しいヘッドですが、4人いるというのは、さすが社会人上級者の戦いだと思います」(木名瀬)
5位T キャロウェイ エピックスター(6人)
5位T ピンG400LSテック(6人)
5位T 本間TW737(6人)
8位T ピンG400(5人)
8位T テーラーメイドグローレ(5人)
5位タイのキャロウェイ『エピックスター』とピン『G400LSテック』には似た特徴があると木名瀬さん。「どちらも飛距離重視のモデルで、弾くヘッドで、どちらも引っ叩いても曲がりにくい、直進性に長けたモデル。飛距離が期待できます」。同じく5位に入った本間ゴルフ『TW737』は460ヘッドが1人、455が4人、450が1人だった。8位タイのピン『G400』は『LSテック』に比べて深重心設計でミスに寛容なモデル、同8位のテーラーメイド『グローレ』は女子プロに愛用者も多い、つかまりのいいモデルだ。
全体として、テーラーメイドMシリーズが上位を占めたが、目立ったのはピン『G400』シリーズは40代に多く、50代は『グローレ』が多かったこと。球をつかまえやすく、ヘッドスピードが多少落ちても飛ばせる点が支持されている理由のようだ。
ヘッドスペックは「460cc」の「9.5度」が1位
160人のうち、3人に2人が460ccを使用。ヘッド自体が460cc全盛なので当然と言えば当然。上級者であっても、操作性重視の小ぶりヘッドは少数派だ。「460ccが多いのは予想通りです。ヘッドの大きさは460ccが絶対に有利ですから。スウィートエリアも広く、慣性モーメントも大きい。当然飛距離も出ます。企業対抗はあくまで会社員ゴルファーの大会ですから、操作性より飛距離を重視しているのでしょう」と解説。
ロフトのデータを見てみると、9.5度が半数に迫り、次いで10.5度、10度が続く。「7割近くが460ccと考えると、大型ヘッドは重心距離が長く、つかまりが悪くなるので、本来ならつかまりやすい10.5度がセオリーです。ただし海外ブランドは、表記ロフトよりもリアルロフトの大きなモデルが多く、表記が9.5度なら実際は10.5度くらいです。競技派ゴルファーは使う前に試打しているはずですから、リアルロフトで10.5度というのが本当ではないでしょうか」
シャフト部門は3大メーカーが人気
グラファイトデザイン、フジクラ、三菱ケミカルは3大シャフトメーカーと呼ばれるが、集計結果もこの三強が53%のシェアを獲得。「3大メーカーで半分以上を占めているのは、大手クラブメーカーでカスタムシャフトが注文しやすくなったからです。この3メーカーならほぼクラブ購入時にセットアップできるはず。シャフトは自分に合ったものが基本になるので、上級者の大会で純正が少なく、カスタムシャフトが多くなるのは自然な流れですね」(木名瀬)
メーカーではなく個別のモデルを見ていくと、1位はスピーダーの『エボリューションIV』となった。「『エボIV』はしっかりめで、動かないシャフトといえます。自分からシャフトをしならせる必要がありますが、重量を軽くすればヘッドスピードが遅い人や女性でも十分に振り抜けます」
ツアーADは『TP』が9人、『IZ』は8人。「『TP』は動きやすいシャフトでインパクトで弾く感じです。いい意味でスウィングを助けてくれるシャフトで、ヘッドスピードが遅めでも振りやすいです。『IZ』は左に引っかけたくない人に合います。球が上がりすぎる人がボールを抑えたい、強くしたいという目的で選ぶのが『ディアマナ』です。上から叩くイメージが合いますね」
シャフト重量は60グラムが5割強、50グラム台も多い
上級者が好む重さやフレックスも気になるところ。重量で多かったのは60グラム台。こちらはフジクラ、三菱、グラファイトともにモデルが充実し、シャフトの定番重量。また、PGAツアーで流行りの「軽・硬」に当たる、50g台も支持を集めていた。「シャフトを軽くすると、フレックスを硬くできるほか、全長も長くできます。つまり飛ばしに有利に働くわけです」
フレックスについてはSがXを2倍近く上回った。その理由を木名瀬さんは「カスタムシャフトだから」だという。「純正シャフトの場合、X表記でもSの硬さということがあるのですが、カスタムであればSはSです。またXが30%いることも『軽・硬』の傾向が見て取れます」
では、長さについてはどうか。「今のトレンドは45.25~45.75インチ。シャフトの性能が上がったことで、全長も長くなる傾向があります」という木名瀬さんの分析通りの結果となった。
【解説】木名瀬和重(クラフトマン)
茨城県水戸市「クラブ工房キナセ」を主宰。HC+2の競技ゴルフプレーヤーでもある。三角ソールのトライアングルウェッジなどクラブ開発も行う
週刊GD2018年11月13日号より